医療 ― お役立ちリンク集
高次機能 ― 局所症状
方向性注意
◆ 概念
病巣と対側の刺激を見つけて応答することの障害を半側空間無視と言います。
これは病巣と対側への方向性注意の障害と考えられます。
同名性半盲とは違い、眼球や頭部を自由に動かせる状態で、体軸を中心として一側空間の刺激に対する反応が低下しているのが特徴です。
右半球病巣による左半側空間無視が多く、程度も強いものとなります。
消去現象とは、片側ずつ刺激すると反応するのに、同時に刺激すると片方に気付かない症状のことです。
◆ 診察項目
重度の半側空間無視があると、常に右側を向いています。呼びかけられると頸を右側に回して探索するなど行動からその存在がわかることが多いです。
中等度以下の半側空間無視は、検査をすることで明らかになります。
スクリーニングとしては、図形の模写、線分二等分試験、抹消試験などを行います。
図形の模写では、図形の一部を描き落としていないかを観察します。
線分二等分試験では、20cmの線をA4の紙に1本引いて二等分させます。
2回施行し、真の中点からのずれを計測し、平均を求めます。
左または右に1.3cm以上ずれている場合に異常と判断します。
抹消試験は、単純な線分抹消試験よりも特定に文字や記号を探して印をつける選択的抹消試験の方が感度が高くなります。
消去現象の有無は、視覚性、触覚性、聴覚性で確認します。
視覚刺激では、患者に正面視させ、片側の視野または両側の視野で示指を軽く動かし、動いたほうを答えさせます。
触覚刺激では、閉眼させ手背を片側または両側触ることによって行います。
聴覚刺激では、閉眼させて患者の背部に立ち、指をこすり合わせる音を片耳または両耳に聞かせます。
いずれの刺激でも、片側ずつの刺激は左右とも気づくのに、両側を同時に刺激すると片側に気づかない場合、消去現象があると判断します。
たとえば、片側刺激では、右も左も全問正答するのに、両側刺激すると「右側」と答える場合は、左側に消去現象があります。