医療 ― お役立ちリンク集 ― 血尿
定義:尿沈渣で5個/HPF(400倍強拡大1視野)以上を(顕微鏡的)血尿とする
診断には、随時尿あるいは早朝尿で中間尿採取を行い検査する
1)5個/HPF(400倍強拡大1視野)以上の場合(血尿)
尿沈渣は尿潜血陽性の確認のほか、円柱の有無、赤血球の形態などの情報も得られ、血尿の原因が糸球体性か非糸球体性かの鑑別に有用である。
赤血球円柱や変形赤血球が認められる場合、糸球体性血尿である可能性が高い。
非糸球体性の場合、尿路結石、尿路感染症、尿路悪性腫瘍の精査をすべきである。
2)4個/HPF(400倍強拡大1視野)以下の場合(非血尿)
ヘモグロビン尿(溶血)・ミオグロビン尿(横紋筋融解症)では、潜血反応陽性になるが、尿沈渣では赤血球はみられず、血尿とは言わない。
アルカリ性尿、細菌・精液・多量白血球の混入でも潜血反応は偽陽性に、また、アスコルビン酸(ビタミンC)などの還元物質の存在、高比重・高蛋白尿、多量の粘液成分混入などで偽陰性になるので注意が必要である。
◆ 鑑別
1)糸球体性血尿
①糸球体腎炎
糸球体毛細血管炎による係蹄壁断裂により、赤血球が漏出する
②家族性良性血尿(菲薄基底膜病)
反復性の血尿をきたすが、末期腎不全に至ることのない良性家族性血尿。
形態学的に糸球体の菲薄化を特徴とする症候群で、遺伝形式は多くは常染色体優性遺伝を示す。
光顕所見はほぼ正常であるが、電顕所見では基底膜がびまん性に菲薄化しているのが特徴である。
2)非糸球体性血尿
①腎尿路結石症、激しい運動、性行為など
尿路の機械的損傷によって出血が生じる
②ナットクラッカー現象
左腎静脈が腹部大動脈と上腸間膜動脈に挟まれると、静脈内圧が上昇して、左腎の毛細血管が破綻し血尿を生じる
③悪性腫瘍
腫瘍の浸潤による静脈系の破綻により血尿を生じる