DLBの臨床診断基準(2017)
DLBの診断には、社会的あるいは職業的機能や通常の日常生活に支障をきたす程度の進行性の認知機能低下を意味する認知症であることが必須である。
初期には持続的で著明な記憶障害を認めなくてもよいが、通常進行とともに明らかになる。
注意、遂行機能、視空間認知のテストによって著明な障害がしばしばみられる。
中核的特徴(最初の3つは典型的には早期から出現し、臨床経過を通して持続する)
- 注意や明晰さの著明な変化を伴う認知の変動
- 繰り返し出現する構築された具体的な幻視
- 認知機能低下に先行することもあるレム睡眠期睡眠行動異常症
- 特発性のパーキンソニズムの以下の症状のうち1つ以上:動作緩慢、寡動、静止時振戦、筋強剛
支持的特徴
- 抗精神病薬による重篤な過敏性
- 姿勢の不安定性
- 繰り返す転倒
- 失神または一過性の無反応状態のエピソード
- 高度の自律機能障害(便秘、起立性低血圧、尿失禁など)
- 過眠
- 嗅覚鈍麻
- 幻視以外の幻覚
- 体系化された妄想
- アパシー、不安、うつ
指標的バイオマーカー
- SPECTまてはPETで示される基底核におけるドパミントランスポーターの取り込み低下
- MIBG心筋シンチグラフィーでの取り込み低下
- 睡眠ポリグラフ検査による筋緊張低下を伴わないレム睡眠の確認
支持的バイオマーカー
- CTやMRIで側頭葉内側部が比較的保たれる
- SPECTやPETによる後頭葉の活性低下を伴う全般性の取り込み低下 (FDG-PETによりcingurate island signを認めることあり)
- 脳波上における後頭部の著明な徐波活動
probable DLBは、以下により診断される
- 2つ以上の中核的特徴が存在する
- 1つの中核的特徴が存在し、1つ以上の指標的バイオマーカーが存在する
- Probable DLBは指標的バイオマーカーの存在のみで診断すべきではない
possible DLBは、以下により診断される
- 1つの中核的特徴が存在するが、指標的バイオマーカーの証拠を伴わない
- 1つ以上の指標的バイオマーカーが存在するが、中核的特徴が存在しない
DLBの診断の可能性が低い
- 臨床像の一部または全体を説明しうる、他の身体疾患や脳血管障害を含む脳障害の存在(ただし、これらはDLBの診断を除外せず、臨床を説明する複数の病理を示しているかもしれない)
- 重篤な認知症の時期になって初めてパーキンソニズムが出現した場合
DLBは認知症がパーキンソニズムの前か同時に出現したときに診断されるべきである。
PDDは、明らかなParkinson病の経過中に起こった認知症を記載するために用いられるべきである。
実際の場では、その臨床的状況に最も適した用語が用いられるべきで、Lewy小体病 (Lewy body disease) といった総称がしばしば役立つ。
DLBとPDDの区別が必要な研究では、認知症の発症がパーキンソニズムの1年以内の場合をDLBとする゛一年ルール”が推奨される。