検査の時に観察すべき点

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検査の際に観察すべき点

◆意識・注意
病歴聴取中や検査施行中の意識レベルや注意集中力の変動を見る
・必要なことに十分な注意が注がれているか
・無関係なことに注意が転導しないか

一般的に
・初期のアルツハイマー病:注意は比較的保たれている
・前頭側頭型認知症:going-my-way症候群や無関心の一環として、
周囲への注意が障害されていることが多い
・認知症を伴ったパーキンソン病、レヴィ―小体認知症、進行性核上性麻痺など:
注意の狭窄化、注意転導が前面に出ることもある

◆態度
診察室という場にふさわしい態度と礼節を有しているかを観察する
そこから、人格や感情が保たれているかを判断する
・初期のアルツハイマー病:保たれており、人付き合いに支障はない
・前頭側頭型認知症、せん妄:妙になれなれしかったり、攻撃的だったり、
傍若無人な態度をとったり、その場にそぐわない態度が目立つ場合が多い

◆発動性・自発性
課題に対して真摯に取り組み、促されることなく自ら十分に考えようとしているかをみる
ボーっとしている場合は意識・注意障害が疑われる
一方、意識障害がないのにもかかわらず、考えるそぶりがなく
「知らない」「わからない」と安易に言う、
答えられなかったことにも公開を示さないなど
考えること全体に対する無関心さを考え無精という

・考え無精:前頭側頭型認知症で高率に見られる
進行性核上性麻痺や大脳皮質基底核変性症の一部でも見られる
・言い繕い:アルツハイマー病の初期で多い
*進行期のアルツハイマー病では無為や思考緩慢とともに考え無精が見られる
アルツハイマー病では、考え無精が独立して見られる頻度は低い

◆言い繕い
記憶障害をごまかし、社会接触性を良好に保とうとする一種の方便・言い訳
アルツハイマー病に多く見られる
例)日付を質問した時、「今日は新聞を見てこなかったから」など
*まことしやかにありえないことをいう作話は、前頭側頭型認知症に多い

◆依存性
質問を受けた際、自分が考える前に同席する家族の方を振り向いて
代弁を請うようなしぐさをする(head turning sign)のは、
アルツハイマー病に比較的特異的にみられる
アルツハイマー病の90%には、依存性が見られるとされている。
前頭側頭型認知症は、他人の意見など鑑みないので、
head turning signは出現しない。
注意障害と思考緩慢を主徴とする脳血管性認知症、認知症を伴ったパーキンソン病、
進行性核上性麻痺などでは、自ら考えることに使える注意力のほとんどを費やしてしまうので、
他人に代弁を請うという方策を同時に考えることが困難であり、
head turning signはまず見られない。

◆精神運動スピード
質問に反応すること、質問内容を考えること、それに対する答えを出す一連の思考過程が
滑らかに進まず長時間を要することを思考緩慢という。
思考緩慢は、皮質下性認知症の特徴であり、血管性認知症、パーキンソン病、
進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、レヴィ―小体型認知症の一部などで
顕著にみられることが多い。
前頭側頭型認知症では、あまり考えないで結論を出す傾向があるため、
精神運動スピードが上昇している印象さえ受ける

心理検査をするときの留意点

1 検査室の部屋の明るさ、静けさに配慮する

2 出来る限り検査について正しく説明を行い、被験者の不安を取り除く

3 被験者の視力、聴力などの感覚器官に配慮する

4 課題を教示する時は、大きな声でゆっくりと分かりやすく話す
なるべく一度に 2 つの指示は与えない

5 検査結果のみならず、検査中の様子や課題の取り組み方にも注意する

6 検査終了後は簡単なフィードバックを行い、検査後の不安を少しでも取り除く 心理職でなければ実施できないということはないが、他職種が実施する場合でも心理検査についてよく理解した上で行なうことが求められる

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