HDS-Rを有効に活用するために

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HDS-Rを有効に活用するために

◆記憶(HDS-Rの3単語直後再生と遅延再生)
エピソード記憶の近時記憶を検査する方法
これらの課題は、記銘に関わる注意、発動性、意欲などの前頭葉機能、
記憶把持、記憶再生などのさまざまな因子の影響を受けることを
念頭に置いておくことが重要

・記銘(記憶形成)障害⇒前向性健忘 (anterograde amnesia)
・記憶の取り出し障害⇒逆行性健忘 (retrograde amnesia)

・アルツハイマー病:記銘―記憶保持の障害
・皮質下性認知症:注意障害による記銘障害、
思考緩慢による記憶の取り出し障害(記憶の利用障害)

3単語再生に対するヒントの有用性も記憶システムのどこに障害があるのかを
考察する際に重要である。
・記銘―記憶保持系に障害:ヒントは有効ではない
・記憶の取り出し過程に障害:ヒントは有効

ヒントが無効である場合には、再認検査を追加する
再認:選択肢を与えて、その中から選ばせる
例)「私の言った木の名前は、サクラ―モモ―ウメのどれでしょう?」
再認課題にも失敗した場合:記銘―記憶保持系の障害は高度
ヒントは無効、再認課題可能:記憶保持はある程度保たれている

・アルツハイマー病:直後再生は比較的保たれている(=作業記憶は保たれている)
遅延再生が高度に障害され、ヒントの効果は低く、再認課題も障害される
・皮質下性認知症:注意障害のため3単語直後再生がなかなか成功しない
(思考緩慢や注意障害による記銘障害)。
思考緩慢のために遅延再生が障害されている場合が多いが、
ヒントは有効であり、再認がかなり保たれている

*遅延再生課題の時に、その直前の課題である数逆唱または計算課題を指して、
「数字のことですか」と聞き直すことがあるが、それはアルツハイマー病の場合に多い

◆語想起
前頭葉機能を反映するが、当然言語機能にも依存した検査である。
想起のスピード、野菜の種類のサブカテゴリーが保たれているか、
最後に総想起数に注目する。

・アルツハイマー病:4~5個の野菜名を脈絡もなく列挙した後に、
答えに窮してしまうことが多い
・皮質下性認知症:思考緩慢のため返答がとつとつとしており、
考えている間に制限時間が経ってしまう
・前頭側頭型認知症:数個を早口で挙げた後、
「もうない、おしまい」と勝手に止めてしまう場合がある

野菜の種類のサブカテゴリーとは、
野菜の種類別カテゴリー(葉菜類、根菜類、果菜類など)、
用途別カテゴリー(サラダ用、漬物用、鍋用)、
季節別カテゴリーを意味する
これらのサブカテゴリーに準じた答えになっているかを観察する
・アルツハイマー病:潜在的な意味記憶障害を反映して、
カテゴリーに統一性がない場合、上位カテゴリー(いも、葉っぱ、まめなど)
で答える場合が多い。

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