医療 ― お役立ちリンク集
― 認知症 - 認知症とは - アルツハイマー病
ADによる認知症分類基準の提唱
①ADによる認知症の臨床的確診:主要臨床基準
認知症の基準を満たし、加えて次の特徴を有することが必要である
(a) 潜行性の発症
(b) 認知機能の増悪が病歴上明確であること
(c) 初期の最も顕著な認知機能の欠陥として、
健忘あるいは健忘以外(言語、視空間、遂行機能)の障害のいずれかと、
それ以外の認知領域の機能障害がみられること
また、ADによる認知症の臨床的確診の診断は、
以下が証明されている場合は適用すべきではない
【除外条件】
(a) 認知症の発症や増悪に時間的に関連のある脳卒中の病歴によって
明らかにされた実質的な脳血管障害の随伴、
あるいは多発性脳梗塞・広範な脳梗塞・高度の白質高密度の存在
(b) レビー小体型認知症の、認知症そのもの以外の主要な特徴
(c) 前頭側頭葉型認知症の行動異型の顕著な特徴
(d) 原発性進行性失語症の意味異型あるいは
非流暢/失文法異型の顕著な特徴
(e) 他の活動性の神経疾患や非神経疾患の同時共存や
認知機能に重大な影響を及ぼす薬物の使用の証拠
ADによる認知症の臨床的確診がより確実な場合
・ADによる認知症の臨床的確診の主要な臨床基準を満たす患者において
認知機能の減衰の記録がある
・ADによる認知症の臨床的確診患者でADの原因遺伝子(APP, PSEN1, PSEN2)
の変異が明らかにある場合
②ADによる認知症の臨床的疑診:主要臨床基準
以下のいずれかがある場合になされる
(a) 非典型的経過
(認知機能障害が突然発症するか、
認知機能の進行性衰退の詳細な病歴や客観的記載が不十分である場合)
(b) 上記の除外条件で示した病因の混在
③ADによる認知症の臨床的確診であり、
ADの病態生理学的過程の科学的根拠を有するもの
現時点で広範に研究されているバイオマーカーは、
測定する生物学的現象に基づいて2種類に分類される
(a) 脳内Aβの沈着:
髄液Aβ42の低下
PETによるアミロイドイメージングの陽性所見
(b) 下流の神経細胞変性や損傷:
髄液タウ(総タウ、リン酸化タウの両者)の増加
18F-FDG-PETにおける側頭頭頂葉皮質での取り込みの低下
MRIを用いた画像解析による側頭葉(内側、基底部、外側)や頭頂葉(内側)の委縮
バイオマーカーが明らかであれば、臨床的な認知症候群の基盤が
ADの病態生理学的過程にある確実性を高める
④ADによる認知症の臨床的疑診であり、
ADの病態生理学的過程の科学的根拠を有するもの
この区分は非ADによる認知症の臨床基準を満たすが、
ADの病態生理学的過程に関するバイオマーカーの科学的根拠を有するか、
ADの神経病理学的基準を満たすもののためにある
臨床的に非ADの表現型を呈し、ADの臨床的疑診の基準を満たす患者において、
バイオマーカー区分の両者が陽性であれば、
ADらしさの可能性は高くなる
⑤ADによる認知症で病態生理学的に証明されたもの
これは、患者がADによる認知症の臨床基準や認知機能基準を満たし、
神経病理学的検索によりADの病理像が示される場合に適用される
⑥ADによるものではなさそうな認知症
これは、ADによる認知症の臨床診断基準を満たさない場合か、
ADによる認知症の臨床的確診あるいは疑診の臨床基準を満たしていても
ADの代替となる、HIVによる認知症やハンチントン病による認知症、
その他のADにまれに併存する疾患の診断の十分な根拠がある場合、
あるいは、
ADによる認知症の臨床的疑診の基準を満たしていても、
Aβや神経細胞障害のバイオマーカーが陰性である場合に適用される