睡眠」カテゴリーアーカイブ

眠りは心身の疲れをいやす

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睡眠には、身体の疲れだけではなく、脳の疲れをとる効果があると言われています。
これに関連していると言われているのが、2008年に発見されたFF (Fatigue Factor: 疲労因子)と言われるものです。

このFFという物質は、名前が示す通り疲労の原因物質です。
そして、その疲れを解消するのに活躍しているのがFR (Fatigue Recovery: 疲労回復因子)です。
FFが増える、つまり疲れがたまるとFRが作られます。
それによって、FFの発生によって傷ついた細胞を修復し、身体が疲れから回復するのを助けるのです。

つまり、FRが作られやすいと疲れから回復しやすく、作られにくいとなかなか疲れがとれないということになってきます。

では、このFRを増やすポイントを3つ
1. 毎日10~20分程度の軽めの運動:ストレッチやスクワット、ウォーキングがお勧めです
2. イミダゾールジペプチドを摂取する:鳥の胸肉やササミ、マグロやカツオなど赤身の回遊魚に豊富に含まれます
3. 副交感神経が優位な状態を作る:睡眠、リラックス

元ネタはこちら
http://www.human-sb.com/fatigue_factor.html

脳とこころの豆知識 - 睡眠

睡眠不足でも寝過ぎでも高血圧や糖尿病になるリスクが高くなる

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睡眠の質ということを考えると寝だめはあまりお勧めできません。人は眠れば眠るほど疲れがとれるというほど単純じゃないのです。
あまり長時間眠ると逆に疲れることすらあります。

これは、ふだんより多く眠ることで体内時計と睡眠のリズムが狂ってしまうことに加え、長時間同じ姿勢でいることで肩や背中の筋肉に凝りや疲れ、だるさを感じるためだとされています。
寝過ぎで頭が痛くなるのは、眠っている時はリラックスして脳の血管が広がるためだと考えられています。

まぁ、本当は休日だろうと平日だろうと適切な時間眠って、しかもだいたい同じ時間に寝起きするのがベストってことです。
睡眠不足でも寝過ぎでも糖尿病や高血圧発症のリスクが上がるという報告もあります。

シカゴ大学が健康な人を対象に行った研究で、1日4時間睡眠を6日間続けると、糖を与えた時の血糖値のコントロールが悪くなり、血糖値が上がるということがわかりました。
さらに、6.5~7.5時間寝ている人は、睡眠時間6時間を切っている人や8時間以上寝ている人より糖尿病や高血圧になりにくいそうです。

ふだんからしっかり休んで休日に疲れをためないようにしたいものです。できればね。

元ネタはこちら
http://news.nifty.com/…/det…/postseven-20141108-284800/1.htm

脳とこころの豆知識 - 睡眠

眠っている時も人の話を聞いている

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眠っているからといって、近くで何を話していても大丈夫というわけではないようです。実は、私たちは、眠っていたとしてもちゃんとまわりの人の話し声が聞こえていると言われています。

フランスの高等師範学校で行われた研究です。
18人にさまざまな言葉を聞いてもらい、それをカテゴリーに分類してもらいました。
最初は「動物」、例えば「ねこ」のようなものなのか、「物」、例えば「帽子」のようなものなのかです。
次に実際にある単語、例えば「ハンマー」のようなものなのか、偽の単語(実際にない単語)、例えば「はかみ」のようなものなのかです。
そして、脳波でどの部位が活性化するのかを測定しました。

そして、今度は、被験者たちが眠ってしまってからもう一度同じ単語のリストを聞いてもらいました。
するとしっかり起きていた時と同じ脳の場所が活性化したそうです。つまり、起きていた時と同じように眠っている時も単語の判断をしていたということです。

当然ながら、眠っている間のことは覚えていませんでした。

Sid Kouider et. al. Inducing task-relevant responses to speech in the sleeping brain. Current biology Vol 24 (18) 22 September 2014, Pages 2208–2214

Brains can make decisions while we sleep – here they are in action
The conversation September 17, 2014 11.06pm AEST

脳とこころの豆知識 - 睡眠

時差ボケを緩和するには

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昨日、クロアチアから帰ってきました。
幸い、行きも帰りも時差ボケになることもなくてよかったです。

実は、海外旅行の時差ボケを緩和するには、炭水化物をガッツリ食べるのがよいと言われています。

今までにも日の光が睡眠サイクル、サーカディアンリズムに影響するということはわかっていました。
今回、山口大学で行われた実験によると食べ物も体内時計に影響を与えることがわかったそうです。

そして、この体内時計に影響を与えるのが、インスリンという血糖を下げる働きのあるホルモンです。このインスリンに体内時計をリセットする作用があるというのです。

つまり、このインスリンの分泌を促すような食べ物である糖質やでんぷんといった炭水化物で体内時計をリセットできる可能性があるということです。

夜に炭水化物をたくさん食べて、朝にその反対の食事をすることで、時差ボケを早く解消できるのではないかと推察されるわけです。

そーいえば、帰国した時に白米が恋しくて、ガッツリ食べたかも…。
ただ、もともと糖尿病など食事制限を必要とする病気を患っている方は、それを試すリスクの方が高いのでやめてくださいね。

睡眠不足は危険がいっぱい?!

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忙しくなるとついつい削ってしまいがちな睡眠時間。
しかし、睡眠不足は思っているよりもリスクをはらんでいるかもしれません。
睡眠不足によってもたらされる問題についてまとめてみました。

【目次】
1. 睡眠不足はイライラのもと
2. 睡眠不足は意志の力を弱める
3. 睡眠不足はアルツハイマー病のリスクになる⁈


1. 睡眠不足はイライラのもと

味の素が行ったワーキングマザーの睡眠とストレスの実態調査によると睡眠時間は日本が先進国中最下位だったそうです。そして、その睡眠時間も分眠、つまり睡眠の質もあまり良いものとはいえないようです。

しかも少子化問題がこれだけ言われているにもかかわらず、2006年に行われた調査の時よりも更に睡眠時間が減っているそうです。なんだか残念ですね。この状況では、子供にやさしく接しましょうと言っても無理があります。
というのも、脳のしくみとして、睡眠不足になったらイライラするということはごくあたりまえの現象だからです。

2007年にアメリカのハーバード大学のマシュー・P・ウォーカーらのグループが報告しています。

26人の学生を「睡眠充足グループ」と「睡眠不足グループ」の2つのグループに分けます。
睡眠不足グループの学生には、一晩一睡もせずに徹夜をしてもらいます。
そして、その両グループの学生に凄惨で不愉快な映像を見てもらいます。

すると、その2つのグループで脳の活動に違いが見られました。
睡眠不足グループでは扁桃体が異常に活性化し、前頭前野の機能も低下していました。
扁桃体というのは、怒りなどのネガティブな情動に関係する場所です。
そして、前頭前野(内側)は自分が何であるかという自己認知に関わっていて、扁桃体を鎮める働きもしています。

つまり、ネガティブな感情を感じる場所が異常に活性化して、更にそれを抑える場所の機能が低下しているという事です。
これが睡眠不足による「イライラ」の原因というわけです。

しかも、自己認知の機能も低下しているので、「我を忘れ」て周囲に当たり散らしてしまうという事が起きやすいわけです。

The human emotional brain without sleep — a prefrontal amygdala disconnect
Yoo SS, Gujar N, Hu P, Jolesz FA & Walker MP. The human emotional brain without sleep: A prefrontal-amygdala disconnect. Current Biology 2007; 17(20): 877-878

2. 睡眠不足は意志の力を弱める

なにか目標をたてたとしても、それに向かって努力し続けるというのはなかなか難しいものです。
多くの人が年の初めに今年の目標を立てますが、イギリスのハートフォードシャー大学のリチャード・ワイスマン教授が2010年イギリス国内で行った調査によると、1月末までに挫折した人は80%にも上ったとか。

『なぁんだ、みんなも挫折してるんじゃん』って思うと仲間を見つけたようでちょっとホッとしたりもします。
まぁ、目標なんて挫折を繰り返しながら達成していくものかもしれません。

とはいっても、せっかく立てた目標はなるべく達成したいものです。
そのために、重要になってくるのが睡眠だと言われています。
リチャード・ワイスマン教授が行った調査によると睡眠時間が7時間を下回ると、意志の力が弱まり、目標前に挫折しやすい傾向となるそうです。

疲労感によってセルフコントロールが弱まるせいではないかと推察されています。
特に、難しいことやあまりやる気の出ない事をする時というのは、脳がエネルギーをたくさん必要とします。そこで睡眠時間が足りなかったりするとそれを続けるのに必要な精神力が得られないというのです。

1000人の人を対象に睡眠と新年の誓いに対する成功度について回答してもらいました。
そうしたところ、睡眠を十分にとっていた回答者は、60%が目標達成に成功しました。ところが、睡眠を十分にとれなかった人たちでは44%に留まっていたそうです。

元ネタはこちら
http://www.dailymail.co.uk/…/The-key-keeping-New-Year-s-res…

3. 睡眠不足はアルツハイマー病のリスクになる⁈

最近では、睡眠不足がアルツハイマー病のリスクになるのではないかという報告がありました。

アルツハイマー病の人は脳内にβアミロイドという物質が蓄積しており、アルツハイマー病の原因と考えられています。そして、睡眠にはこれらの老廃物を取り除いてくれるのです。

2009年にアメリカのワシントン大学の研究チームがマウスで行った実験です。
脳内のβアミロイドの値は起きている時には高く、睡眠時には減少していました。
さらに、マウスを1日20時間起きつづけさせ、「睡眠不足」にすると、脳内のβアミロイドの蓄積が進行したそうです。

2013年にアメリカのロチェスター大学で行った実験によると、マウスでは、眠っている時は起きている時と比べて、脳の中の体液が流れる隙間が60%以上大きくなっていたということです。つまり、それだけ老廃物の排泄が良くなっていたということです。

実際、眠っているマウスの脳の中のアミロイドβを調べたところ、起きている時と比べて2倍も速く脳から取り除かれていました。

では、これが人だとどういう変化をもたらすのでしょうか。
同じグループが45~75歳の健常者145人を対象として行った実験があります。
現在の状態を調べるため、事前に髄液を採取しβアミロイド濃度を測定しました。その結果、すでに32人のβアミロイド濃度が高く、アルツハイマー病の前段階にあることが判明しました。ただ、まだ認知機能には影響は出ていませんでした。

そこで、参加者に2週間、就寝時間と起床時間、昼寝の時間などを記録してもらいました。
同時に手首に着けたセンサーで睡眠中の体の動きをモニターし、客観的な睡眠時間を計測しました。

すると、すでに髄液中のβアミロイドが高かった32人は、健康な人たちと比べて、ベッドに横になっているわりに睡眠時間が短く、1週間に3日以上、昼寝を必要とすることが判明しました。

つまり、睡眠障害がβアミロイドの蓄積をもたらし、βアミロイドの蓄積によって睡眠障害が生じるという悪循環になっている可能性があるという事です。

脳とこころの豆知識 - 睡眠

夜更かしは体内時計を狂わせる

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忙しいとついやってしまいがちな夜更かし。
しかしこれは、あまり身体には良くないようです。
というのも、真夜中に強い光を浴びると、私たちの中の体内時計が一時的にストップしてしまうらしいのです。つまりは、睡眠障害の原因になってしまうという事です。

1970年にショウジョウバエで最初みつけられ、『シンギュタリティ現象』と名前がついています。

では、この現象はなぜ起きるのでしょうか?
私たちの中に体内時計は複数あって、それぞれがお互いに同調しながら、一定範囲のゆらぎをもって、時のリズムを刻んでいます。
これが、真夜中に強い光をあびることで、体内時計の同調がおきなくなってしまうらしいのです。

実際、真夜中に強い光をあびさせたラットでは、昼活動し夜には休むという行動パターンは崩れ、昼夜の行動量の差がなくなったそうです。

逆に、日中に強い光を浴びることは、体内時計の同調を引き起こします。
実際に不眠症の治療として、朝に日の光を浴びることが推奨されていたり、高照度の光を一定時間浴びてもらうという高照度光照射療法というのを行っていたりする所もあります。

睡眠は身体を休めるだけではなく、脳や心にとっても大切なものです。
ちょっと夜更かししちゃったな…と思ったら、しっかり日の光を浴びて、早めにリセットするようにしたいと思います。

元ネタはこちら
http://www.riken.jp/…/…/press/2007/20071022_2/20071022_2.pdf

脳とこころの豆知識 - 睡眠

シエスタ(お昼寝)

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昼食後、じ~っと座って、しゃべることなく何かをしている時というのは、眠くなることが時々あります。こういう時には、地中海沿岸の国々にある「シエスタ」というお昼寝の習慣が何ともうらやましく感じがします。
実は、お昼寝には意外な効果があるようです。
なぜ食後に眠くなるのか、お昼寝をするとどんないいことがあるのかをまとめてみました。

【目次】
1. どうして食後に眠くなるのか
2. お昼寝で健康になる
3. お昼寝で仕事の効率アップ
4. 他にもあった。お昼寝の意外な効用


1. どうして食後に眠くなるのか

 お昼ご飯を食べた後、睡魔に襲われるという経験がある人もいると思います。
これは、食べたものを消化するために消化管に血流がいって、脳の血流が減るからともいわれていますが、実は他のメカニズムがあるようです。

確かに食後は食べたものを消化するために胃や腸といった消化管の血流は1.5倍~2倍に増えるとされています。でも実は、食後でも脳の血流はそんなには変わらないそうなのです。
では、消化管で血流が増えたかわりにどこの血流が減るのかというと筋肉なのだそうです。
人間とはいえ動物ですから、満腹になれば食料を探すために動き回る必要がなくなって、筋肉への血流が減るというのは納得です。

じゃあ、脳への血流が変わらないのなら食事の後になぜ眠くなるのでしょう。
それには、オレキシンという物質が関係しているのではないかと考えられています。
この物質は、食欲を促す物質と言われていて、空腹になると視床下部から分泌されます。
要するに、お腹がすくとオレキシンが増え、何か食べたいという欲求がでてくるというわけです。

さらに、このオレキシンには、睡眠と覚醒のコントロールをしたり、交感神経の活動を活発にして体のエネルギー消費を促進するという働きがあるそうです。
そして、突然の睡眠発作をきたすナルコレプシーという状態は、このオレキシンがなくなるとおこることもわかっています。

ナルコレプシーとまではいかなくても、満腹になってオレキシンの量が減ることで、日中に耐えがたい眠気がくる可能性があるということです。

では、食後の眠気を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか?
実は、オレキシンを増やす食べ方というのがあります。
『食事を味わって食べる』ことでオレキシンの分泌が盛んになるそうです。

2. お昼寝で健康になる

お昼寝は健康にとっても効果があるそうです。
というのも、シエスタ(お昼寝)の習慣がある国では、心臓病の発症が少ないことがわかっています。

2007年ギリシャ、アテネ大学のデミトリオス・トリホプロス博士が、シエスタと心臓病発症との関係性について報告しています。

20~86歳までの健康な男女、23,681人を約6年間にわたって追跡調査しました。
週に2回、約30分間の昼寝をすると心臓病の発症が12%減少し、週に3回以上昼寝をした場合には、なんと37%も減少したそうです。

眠気を感じた時に無理せずに仮眠をとることで、目覚めた後の意識レベル、注意力があがり、スタミナや運動能力、仕事の効率が向上するとも言われています。

3. お昼寝で仕事の効率アップ

昼寝20分で8時間分のスタミナがつくとも言われ、「パワーナップ」と呼ばれています。
これは、米コーネル大学の社会心理学者、ジェームス・マースが提唱する睡眠法です。
アメリカでは、かなり浸透しているようです。
たとえば、アメリカ海兵隊はパトロール前には必ず「パワーナップ」を取ることを義務づけています。他にも、とくに頭を使うエンジニアを抱える企業では「パワーナップ」を積極的に導入しており、仮眠専用ポットを設けているところもあるそうです。

この「パワーナップ」は世界的企業で制度として続々と採用されています。
スポーツ用品メーカーの「ナイキ」、検索最大手の「Google」、アイスクリームで有名な「ベン&ジェリーズ」、インターネットサービスの「AOL」など、社員用の静かな仮眠部屋を用意し、「パワーナップ」の活用を奨励しています。

日本でもさいたま市にある住宅リフォーム会社のオクタが、「パワーナップ制度」を導入しているそうです。事前申請は不要で、各自が眠くなったタイミングで、デスクに枕をおいて寝ていいのだとか…。
羨ましい。他の日本の企業も、もっと積極的に導入してほしいものです。

4. 他にもあった。お昼寝の意外な効用

カリフォルニア大学の心理学者サラ・メドニック助教授によるとお昼寝の効果は以下の通りです。
1. 目覚めが良くなり、生産性があがる
2. 20分の昼寝は、朝20分寝るより8時間ぶんのスタミナがでる
3. ストレスホルモンのレベルが下がるため、ストレスの軽減につながる
4. 昼寝によって脳みその使い過ぎから脳回路を保護する
5. NASAは、30分のパワーナップが認知能力を40%増加すると発表
6. 心臓疾患にかかるリスクが減少
7. 記憶力が向上する
8. 活動的になる
9. 創作意欲を上昇させる

ブラームス、エジソン、アインシュタイン、チャーチル、サッチャー、クリントンといった人たちも、よく仮眠をとっていたと聞くと、本当に効果がありそうですよね。

http://www.nips.ac.jp/…/sk…/series/entry/2010/05/post-4.htmlhttp://www.md.tsukuba.ac.jp/basic-m…/pharmacology/orexin.pdf

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