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歩き方で人の気持ちがわかってしまう

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海外では、言葉が通じない事も多いので、ちょっと緊張します。
でも実のところ、私たちは言葉だけでコミュニケーションをしているわけではありません。
かなり昔ですが、うちの両親とハワイに行った時、ま~ったく英語ができない母が適当にジェスチャーだけでトイレの場所を聞きだしたのを思い出します。

それはともかく…感情は声や顔、体全体で表現されます。
実は、歩き方からだけでも感情を推察することができるとされています。
東京農工大大学院工学研究院のベンチャー・ジェンチャン準教授らによって、「international Journal of society robotics」オンライン版で発表されました。

人の歩行データ(歩き方)からそれぞれの感情特性をとりだして、モデルを作製。
それを用いて、数学的に感情認識が可能であることを世界で初めて明らかにしました。

つまり、歩き方から、定量的に人の感情を予測できる可能性があるということです。
特に胴体の動きが感情を予測するのに重要なようです。

これを応用していくと、より、人と親密なコミュニケーションがとれるロボットを作れるのではないかということです。

う~ん。確かに夢はありますけど…、個人的には人の感情までも定量化ってちょっと微妙ですね。
歩いている姿を動画で撮って、『今の感情は怒りが○、悲しみが△の状態です』って判定するアプリとかは勘弁してほしいかも…。

元ネタはこちら
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=00020140718004

脳とこころの豆知識 - 運動

宇宙では筋肉は萎縮する

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昨日、若田光一さんが無事地球に帰還されましたね。
今回の宇宙滞在は188日で1回の飛行としては日本人最長、通算の滞在日数は348日。本当にお疲れさまでした。

宇宙に滞在すると急速に筋肉が衰え、心臓の働きも低下していくことがわかっています。
そのため、宇宙飛行士は打ち上げまでは、筋力トレーニングやランニングなどの運動を約2時間、週に3回程度行うそうです。そして、宇宙に滞在中は1日2時間半の運動時間がほぼ毎日スケジュールされ、地上に帰還してからもリハビリを行います。

では、なぜ宇宙に行くと筋肉が衰えてしまうのでしょうか?
地上では、重力に抗して姿勢を維持する必要があるために、抗重力筋は絶えず活動する必要があります。しかし、宇宙では、重力が存在しないため、身体を支える必要がありません。そのため、意識的に筋肉を動かさないと筋線維が細くなってしまうのではないかと考えられています。

なんと、数日から数週間の宇宙飛行(無重力への暴露)によって骨格筋は著明に委縮してしまいます。太ももの筋肉(外側広筋)は、たった5日間の宇宙飛行で筋線維が11~24%も萎縮し、11日間の宇宙飛行ではなんと16~36%も萎縮したと報告されています。

筋肉の中でも姿勢を保持し、歩行に関係する抗重力筋(ヒラメ筋)は萎縮しやすいそうです。
筋線維では遅筋(ちきん)は速筋よりも萎縮しやすいことがわかっています。

「速筋」は、瞬間的に大きな力を出せる瞬発性に優れた筋肉のことです。短距離走やウエイトリフティングなどで、この「速筋」が活躍します。
「遅筋」は、全筋量の70%~80%を占めていて、カラダ全体のエンジン的な役割をしています。

筋肉を使わないことによる筋肉の委縮は、宇宙飛行士だけでなく、寝たきりの人や健康な老人にも起こるとされています。今のうちにふだんから運動するように心がけたいものです。

下記も参考に
宇宙飛行士のように体を鍛えよう
http://iss.jaxa.jp/med/missionx/missionx_2014.pdf
宇宙飛行士におこる身体の変化
http://blog.livedoor.jp/suchan4wd6/archives/6233932.html

脳とこころの豆知識 - 運動

音楽は運動のパフォーマンスを上げる

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脳の機能を高めるには、リズム運動が効果的と言われています。
私のように運動が苦手な人やもう少し運動中のパフォーマンスを上げたい人に朗報です。

実際にすでに取り入れ、実感されている方も多いと思いますが、運動中の音楽はパフォーマンスの向上に効果があります。

2012年ジェフィールド・ハーラム大学で行われた研究です。
自転車をこいだときの酸素消費量を音楽を聴いた場合と聴かなかった場合とで比べました。
すると、音楽を聴きながら自転車をこいだ被験者は、音楽を聴かずに自転車をこいだ被験者よりも、7%酸素が少なかったのです。

どうして、音楽を聴くと酸素の消費量が少なくて済むのでしょうか
これは、音楽を聴いている時に身体が効率的にエネルギーを使うためだとされています。
自分の動きを音楽に合わせることで、ペースを一定に保て、足を踏み外すようなことが減り、無駄なエネルギーを使わなくてすむからだそうです。

適度に気を散らしてくれるので、疲れを感じにくくなったり、音楽によってやる気が出たり...という効果も期待できるみたいですよ。

運動する際には、ぜひ試してみてください。

詳細を知りたい人はこちらを参考に… 関連記事に「エクササイズに最適なプレイリストを作る方法」もあります。
http://www.lifehacker.jp/2010/09/100831hcuep.html
運動に最適な音楽プレイリストを作る方法
http://irorio.jp/asteroid-b-612/20140115/102389/

脳とこころの豆知識 - 運動

ヨガの効能

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ヨガは身体が固いとできないのではないかと思われがちですが、実際のヨガの目的は別のところにあります。
そもそもヨガの語源は、サンスクリット語で「つながり」を意味します。
つまり、難しいポーズをするということではなく、心と身体、魂がつながる状態に導くということが真の目的です。
最近、ヨガの心身の健康に対する効果が見直されてきています。

【目次】
1.
ヨガでストレス知らず
2. ヨガで病気予防


1. ヨガでストレス知らず

オハイオ州立大学の臨床家庭医学准教授Maryanna Klattが、患者の苦しみや死に日々接してストレスに曝されている外科看護士を対象に行った研究です。

ストレスマーカーとして知られる唾液中のαアミラーゼを測定して、ヨガの効果を調べています。
すると、ヨガを行うことで唾液中のαアミラーゼが40%も低下していました。
ちなみに、唾液中のαアミラーゼは、非侵襲的で簡単に測定でき、すぐに結果が得られることから、リアルタイムな情報を収集できるとして注目されています。

2007年にMatsudaらは生後1ヶ月~15ケ月の乳幼児をもつ母親14名に対し、ヨガの効果を調べました。コントロール群がなく、効果の持続性までは調べられていないものの、不安や疲れ、落ち込み、敵意などに効果があったとしています。

2. ヨガで病気予防

過去最大のヨガ研究の記事によると、瞑想的な太陽礼拝のポーズや下を向いた犬のポーズに、炎症の反応を抑える効果があるらしいことが分かったそうです

では、炎症の反応が抑えられると、どんなメリットがあるのでしょうか?
軽度の炎症反応は、心疾患や糖尿病、関節炎などの慢性疾患と関連があるとされています。
つまり、動脈硬化の予防や疼痛の改善といった効果が期待されるというわけです。
また、この炎症反応、癌患者の多くが治療後数か月、時には数年にわたって疲労を感じる原因の1つでもあります。

オハイオ州立大学のジャニス・キーコルト・グレーザー教授らが、「Journal of Clinical Oncology」に発表したものです。
ヨガを実践したことのない乳癌克服後の患者200名を対象に調査を行っています。

患者を2つのグループに分けます。
一方のグループは、ヨガを行わないグループ。
もう一方のグループは、週に2回、90分間ヨガレッスンを12週間受け、DVDを自宅に持ち帰って家でも実践するように勧められました。

すると、ヨガを行ったグループでは、治療終了から3か月後の報告で、ヨガをしなかったグループほど疲労を感じず、元気だとする人が多かったそうです。

ちゃんと科学的な証拠も得られています。
採血をして、炎症マーカーを調べたんですね。

結果はというと、ヨガを行ったグループでは、炎症マーカーが10~15%も低下していたそうです。

では、なぜそういうことが起きるのでしょうか?
癌に対する治療は、患者にとって大きなストレスや疲労、睡眠障害をもたらします。
これが、炎症反応が悪化する要因になるのではないかと考えられます。
また、ヨガにより、ストレスが軽減し、睡眠障害の質が良くなることがわかっています。
そして、このことがヨガによって炎症反応が改善する理由なのではないかと推察しています。

ヨガの治癒力~炎症マーカーで検討~

脳とこころの豆知識 - 運動

運動をすると楽しくなる理由

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もうすぐ12月。だんだんと寒くなってきましたね。
寒いとついつい、外に出るのがおっくうになって、
暖かいところでまったりしたくなっちゃいます。

運動が身体にいいとはわかっていても、それを始めるまでのハードルが結構高かったりします。
始める前は、寒いし、めんどくさいし…と思っていても、
実際、身体を動かし始めると妙に楽しくなった経験はありませんか?

私は小さい時から運動が得意ではなかったので…というか、
むしろ苦手だったので、特に運動を始めるまでに心理的ハードルの高さを感じるのかもしれません。
ただ、運動が苦手と思っている私でさえも始めると意外と楽しくなることがあります。
どうして、運動をすると楽しくなるのでしょうか?

この時の脳のメカニズムに関するおもしろい記事を見つけました。
『運動時、私たちの脳に何が起きてどのように幸福感をもたらしているのか?』です。

運動を始めると、私たちの脳はまずストレスを感じます。
運動によって心臓への負担が増えていくと、
脳はなんらかの敵と戦っているか敵から逃げていると思うそうです。
そして、自分自身を守るため、BDNFという神経栄養因子を分泌します。

BDNFは、神経細胞の成長を促す物質で、記憶を行う神経細胞を守ったり、
治したり、リセットスイッチとしての役割を果たします。
このBDNFの働きで、私たちは運動をすると頭がすっきりして、気持ちが楽になるわけです。

そして、もうひとつ鍵になる物質があります。それがエンドルフィンです。
ストレスと戦う化学物質で、BDNFとほぼ同じ時に分泌されます。
エンドルフィンは、運動の不快感を最小にして、
痛みをブロックするだけではなく、多幸感とも結びついていると言われています。

しかも、このBDNFとエンドルフィンはどうもクセになるそうです。
つまり、また分泌させたい気持ちになるということです。

ペンシルベニア州立大学の研究によると、幸福感や生産性には、
どれくらい運動をしたのかはあまり関係がないそうです。
まずは、自分ができそうなところから始めてみて、
身体を動かすのも意外と楽しいじゃないということを体感することから始めるのもいいかもしれません。

元ネタはこちら
運動時、私たちの脳に何が起きてどのように幸福感をもたらしているのか

脳とこころの豆知識 - 運動

段取り力

 ものごとを要領よくテキパキこなすなためには、『段取り力』が大切とされています。
段取り八分といわれるくらい、効率よく仕事をしようとすると段取り力が重要になってきます。
この段取り力は、先を読む力ともいわれています。

着地点、つまりどこを目指すのか、何を実現したいのかという目的を明確にし、そこまでの道を描き、それに沿って行動するということが大切です。そのために目的から逆算してものごとを考える必要があるのです。

この着地点、つまり目的を決めるのに必要になってくるのが先を読む力です。この先を読む力は、ものごとを多角的に幅広くとらえるということが重要です。

実際、ミシガン大学ビジネススクールのサンチェス・バーグス教授らの研究によると、意思決定のときにポジティブな感情とネガティブ感情両方を合わせて持っている人、つまり期待と不安の両方を持っている人のほうが先を読む力が高かったそうです。

さらには複数の事象の関連付けができるというのも、ものごとの全体像を把握するという意味では欠かせません。これらの能力を発揮するには空間認識の力が重要になってきます。

さらに、前頭前野のもっとも前にある前頭極が障害されると、新しい状況において複雑な行動をきちんと段取りを立てて制御して行えなくなるということが分かっています。この部位は、行動の優先順位を決め、次にやるべきことをきちんと記憶して行動をやり遂げるということに関係しています。

前に述べた空間認識の力というのは、どういう形の物体がどこにあるのか、動いているならその方向はどうか、複数ある場合はお互いの位置関係はどうかなどを直感的にすばやく感知する能力のことを言います。

そして、この空間認知能力を鍛えるには、姿勢を正すことが重要です。
というのも、ある意味、自分の姿勢を認識すること自体が、空間認知の一種であるとも考えられるからです。

姿勢を認識するということは、自分という空間の中で、それぞれの身体のパーツを意識し、自分の手や足、頭がどのような位置にあるのか、背筋はどうか、首の傾きや肩の位置はどうかなどを把握するということです。
それができて初めて、姿勢を整えることができます。

実際、空間認知に関係する頭頂葉が障害された方の中には、障害された脳の反対側の自分の身体の存在を認識できない半側身体失認(はんそくしんたいしつにん)という症状をきたすかたもいます。

脳の取扱説明書 p196

Laura Rees et.al. The ambivalent mind can be a wise mind; Emotional ambivalence increases judgement accuracy. Journal of Experimental Social Psychology 49(3) May 360-367,2013

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