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脳は母親の小言をシャットダウンする

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母親は子供に大きな影響を与えています。
子供が母親と電話でふつうに話をするだけでも子供のストレスが緩和されるという報告もあります。

逆に、がみがみと母親が怒った場合、子供の脳はそのお小言をシャットダウンしてしまうのだそうです。

ピッツバーグ大学、カリフォルニア大学バークレイ校、ハーバード大学の研究チームが行った実験です。
平均年齢14歳の男子10人、女子22人の脳の働きを測定しました。
そして、被験者に録音した母親の自分に向けた小言を聞いてもらいます。

すると、レンズ核や後部島皮質(とうひしつ)といった「感情のネットワーク」に関連した脳の領域の活動が増加しました。
いっぽう、背外側前頭前皮質や尾側前帯状皮質(たいじょうひしつ)といった「認知制御ネットワーク」や側頭頭頂領域や後部帯状回(こうぶたいじょうかい)、楔前部(けつぜんぶ)といった「社会認識ネットワーク」に関連した脳の領域の活動が減少したそうです。

つまり、子供がお母さんの小言を聞いたとき、その情報は耳からまず延髄にある蝸牛神経核に入ります。そのときに危機管理のスイッチが入るのでしょうか。
否定的な感情と関連する脳の領域が活発になり、感情のコントロールをする領域と客観的ものの見方をする脳の領域の活動が低下したのです。
要するに、ふだんなら冷静に判断できることができなくなってしまっているということです。

脳の取扱説明書 p28
http://www.news.com.au/…/mothe…/story-fnpjxnqt-1227139441791
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25338632

参考)
*前帯状皮質 Anterior cingulate cortex (ACC) ブロードマン24、25、32
大脳半球内側面の前方部に存在する、帯状溝周辺および帯状回の領域。
機能:行動モニタリング、社会的認知、情動・痛覚その他
尾側前帯状皮質=*背側前帯状皮質
*のほうが一般的な呼び名

*島 insula ブロードマン13~16
シルビウス裂内奥に位置し、前頭葉、側頭葉、頭頂葉、基底核に囲まれる
近年のMRIを用いた研究において、機能的に3つに分けられるという意見もある
後部:運動感覚領野と結合する
背側前中部:前部帯状皮質背側部と結合
腹側前部:前部帯状皮質pregenual領域(脳梁より前端付近)と結合

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子供にとって最も必要なものは親の愛~愛情の伝え方~

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子供たちの成長にとって親の愛情はとても大切なものです。
親の愛情を十分に感じることが子供の社会的・精神的発達に欠かせないとされています。
実際、ラットを使った実験でも、熱心に子育てをする母ラットに育てられると、ストレスに強く、好奇心が強いラットになるということがわかっています。

とはいえ、ほとんどの親は子供を愛しています。
ただ、子供への愛情の伝え方がわからないため、子供に十分に伝わらず、「自分は愛されていないのではないか」と考えるようになるのではないかとされています。

では、どういうふうに接したら子供に愛情が伝わるのでしょうか?

それには、以下の点が重要なようです。
1. 親が子供とのコミュニケーションを楽しむ
いっしょにいられる時間は、子供に集中して向きあいましょう
2. 愛情は明確な言葉で伝える
3. たっぷり甘えさせる(甘やかすのはNG)
子供が求めてきたときに、しっかりとその気持ちを受け止めてあげること
4. 子供が大切にしているものを尊重する
5. 褒めてあげる
6. 子供の気持ちを大切にする
親の意見を押し付けない

元ネタはこちら
http://woman.mynavi.jp/article/140410-153/

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成功するために必要な力

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なかなか子どもを持つ親の悩みは尽きないようです。3歳~6歳の子どもを持つ親1000人に行ったアンケートによると、「子どもの将来が不安」と答えた人は、なんと2人に1人だとか。

最近では、「一流大学に入って、大企業に勤めるということが幸せとは限らない」と考える両親も多くなってきましたが、やはり子どもの能力を最大限に伸ばしてあげたいと思うのが親心。
実際、幼児期から勉強や習いごとをさせたいと考える親は85%もいるそうです。

では、子どもの将来を考えたとき何が重要になってくるのでしょうか。
今までは覚える力の一番ある幼少期にできるだけ多くの情報をつめこみ、読み書きや算数などの能力を伸ばすということが教育の主流でした。
しかし、最近になって専門家たちがその教育法に関して疑問を投げかけるようになってきました。

子どもの貧困と教育改革を専門とするジャーナリストのポール・タフは、著書『成功する子失敗する子』の中で、「神経科学、経済学、心理学の観点から、将来成功するには、成功に必要な『気質』を伸ばすことが大切だ」としています。
その必要な気質というのが、「自制心」「好奇心」「やり抜く力」なのだそうです。

子どものころの「自制心」が弱い人ほど、32歳になったときに健康や職業の面でさまざまな問題を抱えていたようです。
また、「やり抜く力」があるほど、IQの高低に関係なく、大学を優秀な成績で卒業する可能性が高いというのです。

嬉しいことに、こういった「気質」は生まれもったものではなく、成長してからも習得でき、人に教えることができるスキルなのだそうです。

例えば、「自制心」の発達には、脳の前頭前皮質(ぜんとうぜんひしつ)という場所が関わってきます。
ここは、自分の感情や行動のコントロールに重要な役割を果たしているとされています。
いっぽう、この前頭前皮質は、幼少期のストレスから最も多く影響を受ける部位でもあります。
つまり、ストレスが少ない状態だと「自制心」が育つということです。

では、子どもがストレスなく過ごすためにはどうしたらよいのでしょう。
これには、親子の間で安定した愛情深い関係を築くことが大切です。
たとえば。子どもがストレスを受けたときには、慰めたり、抱きしめたり、話しかけたりして安心させることで、子どものストレス対応力が上がってくるのです。

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子育てが親にもたらすもの

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子供にとって両親の愛情というものは欠かせないものだと言われていますが、それでもやはり毎日のこととなると大変なことも多いと思います。
子供たちは両親に大きな喜びと共に不安や心配も運んできます。
でも実は、愛情を持って子育てをすることで、予想もしないメリットもあるんです。

アメリカ バージニア州リッチモンド大学のケリー・ランバートとランドルフ・メイコン大学のクレイグ・キンズレーが行った実験です。

以下の2つのグループで迷路に入れて餌を見つけさせるというテストを行っています。
1) 二度の出産、子育て、乳離れの経験のある母親ラット
2) 1)と同年齢の交尾をしたことのないメスラット

話の展開から予想はつくと思いますが、1)の出産、子育て経験のある母親ラットの方が成績が良かったそうです。
マーモセット(キヌザル)で行われた同様の実験でも同じ結果が得られています。

そこで、問題になるのが、ラットの記憶力をよくしたのが、出産なのか子育てなのかということです。

そこで、ケリーとクレイグは以下の実験を行って、そのことを検証しています。
今度は3つのグループに分けて迷路実験を行ったんですね。
1) 母親ラット
2) 未婚ラット:交尾経験のないもの
3) 里親ラット:未婚ラットで、かつ長時間赤ちゃんラットと同じゲージに入れて赤ちゃんラットに慣れさせたもの(母親ラットのような行動をするラットもいたそうです)
で、結果は僅差で1)の母親ラットがトップ、次が3)の里親ラットだったそうです。

ちなみに、マーモセットのオスでも同様の実験がされています。
知らなかったのですが、マーモセットって双子を生んで、オスも育児に参加するそうです。
そこで今度は、父親のマーモセットと独身のオスのマーモセットを比べたわけです。
すると父親のマーモセットの方が餌の場所を記憶する能力が高かったそうです。

つまり、大切なのは愛情を持って子供を育てる事が記憶と学習の能力に関係していたということです。
愛情を与えた側にもいい影響がちゃんとあったんですね♡

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ライブ学習とテレビ学習

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最近では、実際に習いに行かなくても、PCからいろいろなものが学べます。
しかし、幼児においては、実際に人から学んだ時(ライブ学習)とテレビで学んだ時(テレビ学習)では、脳の働きが違うそうです。

3歳以下の子供では、テレビからは十分に学習することが難しいとされています。
生後9か月の乳児では、実際に人から外国語を学習することはできても、テレビの他者からの外国語は学ぶことはできないそうです。これが可能になるのは、4~5歳。

この頃になるとテレビの他者から言葉やゲームのルールをライブ学習と同程度に学ぶことができるようになります。

しかし、同程度に学べるとはいっても、脳の活動は違っているようです。
上智教育大学の森口准教授と東京大学大学院総合文化研究科の開一夫教授らが行った実験です。
テレビから学習することが可能な5~6歳の幼児を対象に、ライブおよびテレビの他者から学習している際の脳活動を近赤外線分光法を使って計測しました。

幼児(5~6歳)15名と20代の成人15名に対して行っています。
ライブ条件とテレビ条件でモデルがルールに従ったカード分けをしている様子を見てもらいます。その後、参加者にはモデルと同じルールでカードを分けるように指示しました。
すると、幼児と成人のどちらも、ライブ条件とテレビ条件の間に成績の違いは認めませんでした。

ところが、その時の脳の働きが幼児と成人では、違っていたのです。
成人はライブ条件とテレビ条件のどちらにおいても運動関連領野が活性化しました。
ところが、幼児はライブ条件では左の運動関連領野は活性化しましたが、テレビ条件では同領域は活性化しなかったのです。

運動関連領野は、運動の指令を出す領域であるとともに、他人の行動を観察する時にも活性化することがわかっています。
つまり、幼児では、テレビから学習する場合は、他者認識と関連する運動関連領野が活性化していなかったということです。

元ネタはこちら
http://www.huffingtonpost.jp/science-portal/tv-live-children-brain_b_5653316.html?utm_hp_ref=japan

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やる気を出させるには

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子供たちにやる気を出させる方法として、『~したらご褒美にケーキあげるね』など、何かご褒美を設けることがあります。
ご褒美は私たちに快感をもたらし、一時的なやる気につながるというのは事実なのですが、その設定の仕方によっては逆効果ということになりかねません。

集めた子供を3グループに分けてそれぞれ絵を描いてもらい、その作業に対して報酬の与え方を変えるというものがあります。
グループ1:あらかじめ、絵を描くことに対して報酬を与えることを約束しておく
グループ2:報酬のことは伏せておき、絵が出来上がったあとで報酬を与える
グループ3:報酬を与えない

そうして、報酬を与え終わったあと、3グループの子供がどのような行動をするか観察をしました。
すると、報酬を約束されて絵を描いたグループ1の子供たちは、実験後は自発的に絵を描くことが少なくなり、反対に報酬を後から知らされたグループ2の子供たちは、実験後も喜んで絵を描き続けたそうです。

つまり、最初から報酬や賞賛を約束されてする仕事では、仕事に対しての自主性を失わせてしまい、継続的なモチベーションの維持には害となることが多いのです。

要するに、「テストで○○点以上とったら××を買ってあげる」という約束をしてしまうと、「いい点をとる」ということは目的ではなく「××を買ってもらう」ための単なる手段という位置づけになってしまうのです。つまり、目的が達成されてしまったあとには手段自体を自主的にする理由がなくなってしまうのです。

子供の時に、家でテレビを見ながらそろそろ宿題でもやろうかなと思っていたところで親に「早く勉強しなさい!」と言われたせいで、とたんにやる気を失ってしまった、という経験はないですか?

これは、口うるさく言われることで「宿題をする」という目的が「口うるさく言われないため」に変更されてしまい、自主的に何かをしたいという気持ちの動機がなくなってしまうからではないかとされています。

では、ふだんの仕事でモチベーションを維持するために必要なことは何でしょう。
1.些細な周囲の変化でぶれない、大きな目的を心に持っている
2.目的を達成するために必要な段取りや知識・技術が何かを知っている
3.安心して取り組むことができるコンディションの維持ができる

男の子で戦隊ヒーローものに憧れているとすると、立派なヒーローになるために世の中を知ることや好き嫌いせずに丈夫な体を作ることが大切であると自分で納得できればいいのでしょうか???

元ネタはこちら
http://www.webusagi.com/?p=53

やる気がアップする声かけ
子供をやる気にさせるには

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ストレスは子育てを妨げる

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子供たちを育てるうえで、お母さんがストレスなく過ごすということは大切なことです。
ラットでの実験ではありますが、面倒見のいい母ラットに育てられると、成長した時に自分も子供の面倒をよく見るようになります。

でも、お母さんラットが子供の面倒をみることができるのかどうかというのは、お母さんのストレスの具合によって変わってしまうようなのです。

実際、面倒見がよかったお母さんラットも、ストレスを加えると子供の面倒をみなくなってしまうのです。そして、その子供のラットは、自分の子供の面倒をみなくなる。
つまり、お母さんラットにストレスが加わることで、子供の面倒をみないラットの家系になってしまうのです。

お母さんに決してやさしいとは言えない日本社会で子供を育てるだけでもストレスが多いことを考えると衝撃的ですよね。
まぁ、理性的にできている人間をラットと比べるのも失礼だとは思いますが、ストレス環境下で子供を育てるということは、お母さんの理性と子供に対する愛情で初めて成り立っているとも言えるでしょう。

では、その場合の打開策はないのでしょうか?
実は、この性質、小さい時にある程度規定されることはあっても、大きくなってからでも変わる可能性は残っているとされています。
自分は愛されている、支えてくれる他者が周囲にいると感じ、情緒的に安定することで、愛情を注げる状態に変化していけるそうなのです。

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トラウマは遺伝する

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6月4日は、侵略による罪のない幼児犠牲者の国際デーです。

精神的にショックな出来事があるとそれがトラウマ(心的外傷)となります。
しかし、このトラウマ、実は子供にまで伝わる可能性があるそうです。

チューリッヒ工科大学のイザベラ・マンスイ博士は、DNAを下敷きにして作られるマイクロRNAと呼ばれる短いRNAに着目しました。いろんな種類のマイクロRNAが細胞の中にあり、あるタンパク質をどれくらい生産するのかといった細胞の生物活動をコントロールしています。

このように重要な働きをするマイクロRNAですが、ネズミで調べた実験によると子どもの時にトラウマを受けたかどうかでその数が変わってきます。過剰に産生されたり、数が減少したりしてしまうのです。

そのため、そのネズミの行動は変わってしまいます。例えば、普通だと開けた場所を嫌うネズミがあまり嫌わなくなるとか、人間の鬱状態のような症状を呈するネズミも現れました。

更に驚くことに、この行動の変化は一世代の変化にとどまらなかったのです。
次の世代に、あるいは孫の世代まで受け継がれていたそうです。
そして、トラウマを経験したネズミの子供ではインシュリンと血糖値のレベルが低かったそうです。

元ネタはこちら
http://mui-therapy.org/newfinding/hereditary-trauma.html

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欠点にも寛容になることが大切

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「子供は褒めて育てろ」と言われるように、褒めることはその子の能力をのばすうえでとても重要です。でも、その効果を最大限に引き出すには、「褒める」だけでなく、欠点にも寛容になるという事も重要です。
児童心理学の実験に以下のようなものがあります。

小学生が何人か集まったグループを2つ、AグループとBグループを作ります。そのグループには、それぞれ勉強の得意な女の子と勉強が苦手な男の子がいます。
Aグループでは、勉強ができる子を「えらいね」と褒め、勉強ができない子を「駄目ね」と叱ります。
Bグループでは、勉強ができる子を同じように「えらいね」と褒め、勉強ができない子にも勉強のほかの長所を見つけて褒めます。

すると、Bグループの勉強を褒められた子供の方が、同じ様に褒められているにもかかわらず、Aグループで勉強ができ、褒められた子供の方がよりも喜びを感じたそうです。

つまり、Bグループの勉強ができると言って褒められた子供は「勉強ができなくなったとしても他の部分で認めてもらえる」と感じるのに対し、Aグループの子供は「勉強ができなくなったら私も叱られる」と感じるからではないか…と考えられています。

Aグループの子供は、自分自身を褒められたというよりも、「勉強ができる」という行動のみを評価され、褒められたと感じてしまうのではないでしょうか。

子どもというのは、私たちが思っているよりも大人の行動を見ています。自分ではなく、他の子供が叱られたとしても、同じことをしたら自分が叱られるということをわかっているのです。
子どもなので、まだ理性が十分に働いてはいないので、わかっていても実行できるかどうかは別ですが…。

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母親の愛情がストレスに強い子供を育てる

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小さい時の母親との関係性が大人になってからの自分の人生に影響を与えていると言われています。たしかに、小さい子供にとっては母親というものは自分の命に直結するものですから、それくらい影響力があるのかもしれません。

社会生活を送るうえで大切になってくる要素、例えばストレスへの耐性や好奇心、精神的に安定や社会への信頼感は子どもの時の母親との関係が関連しているとも考えられています。

ラットではありますが、母子分離に関して衝撃的な報告があります。

1950年代終わりから1960年代初めにかけて行われた実験です。
ラットは、生後すぐから21日間、毎日子供のラットをケージから出して、15分間だけ母親から隔離を経験させます。
するとたった15分間の隔離にも関わらず、行動と性質に生涯にわたる変化を生じたそうです。

どういう変化かというと…隔離を経験したラットはストレスに対して強かったそうです。
えっ!! 逆じゃない?? 隔離されたのにどうしてストレスに対して強くなるの? って思いませんか?

その理由は、母ラットにあります。
というのも、隔離された子ラットの母親は、子ラットに対してリッキング(なめる)やグルーミング(毛繕い)を行う頻度が高かったそうです。

母親から隔離された子ラットがケージから出されている間、ヒトには聞こえませんが母ラットには聞こえる超音波領域の声で鳴き、それを聞いた母ラットが熱心にそのような行動をとるのではないかと推測されています。
まるで、赤ちゃんが大声で泣いた時に人間の母親が一生懸命あやすように…。

ただ、もちろんラットにもリッキングやグルーミングを行うかどうかに関して個別差はあります。

そこで、実際どちらがストレスに関係しているのか?ということが問題になると思います。
隔離なのか? 母ラットの態度なのか?

神経科学者のマイケル・ミーニーが行った実験にその答えがあります。
母ラットのリッキング頻度が高かった子ラットと低かった子ラットが成人した時のストレスの反応を調べています。

母ラットが頻回にリッキングをしていた子ラットは、ストレスに強く、好奇心が強く、穏やかで、精神的に安定し、進んで新しい環境を探索したそうです。

一方、無関心で子供をかまわない母ラットに育てられた子ラットは、怖がりでストレスに弱く、精神的に脆弱なラットに成長しました。些細なストレスに恐々とし、簡単に驚き、慣れない場所を怖がり、初めての状況に直面すると恐怖で身をすくめ、探索の意志がなかったそうです。

赤ちゃんにとって母親の存在というのは、自分の生死に関わる大切な存在です。
母親が与えてくれなければ食事もとれないのですから、赤ちゃんにとっては母親が自分に関心を向けてくれるのかどうかというのが最大の問題なのかもしれません。

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