
私たちは、自分で決めていると思っていることも、実は、いろいろな物の影響を受けています。
ちょっと次の問題をやってみてください。
1と2を声に出して答え、続いて、3の解答として頭に浮かんだ最初の言葉を、さっと口にしてみてください。
1. ケニアは何大陸にありますか?
2. チェスで使われる正反対の色は、何と何?
3. 何でもいいですから、動物の名前を一つ挙げてください
3を何と答えましたか?
ほぼ2割の人が3にシマウマと答え、約半数の人がアフリカの動物を挙げるそうです。
ところが、1と2の質問がなく、3の質問だけした場合には、「シマウマ」と答える人は1パーセントもいないそうです。
つまり、1と2の質問で「アフリカ」と「白と黒」に注意を向けてもらったことで、3の質問に答えるときにそれらに関連するものに意識が向きやすくなってしまったということです。
最初の2つの質問によって3の答えに影響を与えてしまったのです。
これは、知識はお互いに結びついた形で貯蔵されていることで起こってくるとされています。
ある概念、例えば「アフリカ」について考えたとき、思考が「アフリカ」に関連したほかの概念にも広がります。
その結果、「シマウマ」や「ライオン」などといった「アフリカ」に関連した概念が思い出しやすくなるのです。
この無意識で自動的な現象は、「プライミング」として知られています。
プライミング効果とは、先行する刺激(プライマー)の処理が後の刺激(ターゲット)の処理を促進または抑制する効果のことを指します。
この場合で言うと、最初2つの質問がプライマーです。
この2つの処理を行ったことが、後の刺激である3の質問の答えに影響を与えたということです。
脳とこころの豆知識 ― 不合理な行動