人間関係をよくするには」カテゴリーアーカイブ

譲り合い

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人の悩みの多くは、人との関わりの中で出てくると言われています。
一見関係のないようなお金の問題や仕事に関する問題のように見えても、本当に本人が悩んでいるのはそれによって生じると思われる人との問題であることさえあります。

それだけ私たち人間は社会性のある動物であると言えるでしょう。
つまり、人間は一人で生きていくということにあまり適しているとは言えません。そういう世界で繁栄していくためには相手を倒す事ではなく、相手と協力し合うことが重要です。

そのためでしょうか、人間と類人猿だけが「譲り合い」という概念を持っているとされています。

ジョージアステート大学の研究者たちが行った実験によると犬やサルは、他の仲間が自分よりも多くのエサをもらうというような不公平な状況に置かれると、怒りを示したり協調的な行動を拒否します。ところが、同じような状況の時、人間と類人猿だけは、その不公平さを受け入れることができるのです。
これは仲間との長期的な関係を求める気持ちからではないかとしています。

でも、いろんな人がいますよね。
相手の事を思いやる人もいれば、自己中心的な人もいます。
これには脳の「扁桃体」という情動を司る場所が関係しているとされています。

ジョージタウン大学の研究者たちによると、相手を思いやることができる人というのは、この扁桃体が自己中心的な人よりも大きく、活動性も高いのだそうです。そういう人たちは、相手の表情から感情を読み取るのがとても上手だということもわかっています。
相手の立場に立って物事を考えられるということですね。

元ネタはこちら
http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-2761028/Fairness-nature-s-great-divider-Sense-justice-separates-humans-apes-rest-animal-kingdom.html
http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-2766749/Can-BORN-kind-Scientists-look-brain-patterns-selfless-people-read-emotions-better-most.html

脳とこころの豆知識 - 人間関係をよくするには

情緒的安心感が思いやりを育てる

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明日、認知症の方とのコミュニケーション術、バリデーションのセミナーに行ってきます。

先日行ってきた新しい認知症ケアである『ユマニチュード』もそうですが、認知機能が低下した相手の立場を理解し、どういうふうに接したら『大切にされていると感じるのか』という技法になります。

バリデーションはコミュニケーションに焦点が当たっており、ユマニチュードはケアに焦点が当たっているという感じでしょうか?
認知症の方の中には、周辺症状と呼ばれるいろいろな問題行動を起こす方も多いのですが、その方たちなりに理由がある場合も多いというのが基本的な考え方です。
そのため、自分が大切にされていると感じることで、問題行動が減るとされています。

これは、もともと人が思いやりを持って行動するかどうかというのが、その人自身の情緒的安心感のあり方と関係があるとされていることからも説明ができると思います。

必要な時に当てにできる人がいると感じている情緒的に安定した人は、他者の苦しみに敏感で、気づくだけではなく、軽減してあげようとする傾向が強いということが言われています。
逆に、頼りにできる人がいない、安心できる場所がないと感じている人は、自己移入や共感ができにくい傾向にあります。

つまり、自分が大切にされていると感じることで情緒的にも安定し、思いやりも持てるようになるということです。
認知機能がしっかりしている時には、毎回それを確認する必要はないのかもしれませんが、子どもや高齢者では『自分が大切にされている』という感覚をリアルタイムで感じる必要があるのかもしれません。

これは、家族とのふれあいや団らんで増えるとされる、幸せホルモンである「オキシトシン」が
社会性行動に重要である点とあわせて考えると面白いことだと思います。

ユマニチュード
公認日本バリデーション協会

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自己開示

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私たちの幸せに最も関係しているのが、人とより良い関係を築けているかどうかと健康だそうです。
とはいっても、よく言われていることですが、変えることができるのは、自分自身と未来だけです。そのため、とかく相手が絡む人間関係を良好に保つというのは、なかなか難しい面もあります。
特に、社会的な表面的かかわりだけでなく、より親密な関係を築こうと思うとなおさらです。

では、実際、相手との信頼関係を結び、より良い関係を築いていくにはどうしたらいいのでしょうか?

そこで大切になってくるのが、自己開示と相手を思いやる気持ちです。
私たちは、人にする話の30-40%を自身の体験が占めているともいわれています。
しかし、どういう内容の話をするのかというのは、自分の精神的な状態や相手への信頼感で変わってきます。

もちろん、誰にでもなんでも全て自己開示するのがよいということではありません。
それほど親しくもないうちに、赤裸々に何でも話されても内容によっては信頼関係を築くどころか逆効果になることもあります。

その内容の話をしたときに、自分自身や相手がどう感じるのだろうかということを感じとるというのが大切になってきます。

実は、自己開示というのは、自分自身にとってのごほうびでもあります。というのも、私たちが自己開示をしたとき、快楽を感じる脳の報酬系と呼ばれる場所が活性化するのです。

これは、嘘をつくということが私たちにとって負担になるという事実とあわせて考えてみてもとても面白いものだと思います。

自分自身の気持ちに素直になって、相手にそれを表現すること。このことがより良い人間関係の決め手になるのです。
もちろん、もう一つの大切なポイント、相手を思いやるということは不可欠ですが。その中でバランスをとりながら行っていくという事が大切になるのです。

そして、私たちの心理として、返報の法則というのがあります。
つまり、自分自身が相手に対して心を開いたら、自然に相手も心を開きたくなるということです。

とはいっても、ありのままの自分を伝えるというのはときには勇気が必要です。
無理をせずに行うのがよいのかもしれません。

http://www.pnas.org/content/early/2012/05/01/1202129109.abstract

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相手の気持ちを察する~バイオロジカルモーション~

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私たちは、無意識に他人の視線や身体の動きなどから相手の気持ちを読み取っています。

例えば、相手のわずかな身振りや目の動きを見て、「もしかしたら怒っているのかな?」と感じたりします。
つまり、ヒトは、それだけ相手の動きに対して、敏感に反応するようにできているのです。

というのも、私たちの脳には、ヒト(を含めた生物)の動きに関する特別な経路があります。
転がっている石や飛んでいる飛行機を見ている時と目・口・手・足などの動きを見ている時では、使っている脳の場所が違うのです。

そのため、私たちはよりスムーズにコミュニケーションがとれると考えられています。
ヒト(を含めた生物)の動きは、バイオロジカルモーションという名前までついています。

Johanssonがおもしろい実験をしています。
ヒトの関節に小さなライトをいくつかつけ、その動作を暗闇で撮影しました。
静止している時は、当然、複数のライトが光っているだけで、ヒトであるとの認識はできません。
ところが、動画を再生し、動き出した途端、ヒトが動いているように見えてしまうのです。
なんと、その動きから性別を同定することも可能だそうです。

このサイトのバイオロジカルモーションがとってもすぐれものなのでぜひ見てみてください。
http://fourcranes.blogspot.jp/2012/01/billie-jean.html

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