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なぜ振り込め詐欺にあってしまうのか

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以前に東京都板橋区の72歳の女性が振り込め詐欺で2億円をだまし取られたというニュースがありました。その金額にもビックリしてしまいますが、こんなに振り込め詐欺が話題に上がっているのに、なぜ私たちはひっかかってしまうのでしょうか?

その理由を2つ挙げています。
1つ目が電話、2つ目が時間的な切迫感の中で、一息ついて考える時間を与えられないこと、だそうです。

電話の声だけでは、相手が誰であるかということを特定するのは難しいとされています。
でも、私たちは、電話の声だけで、相手が誰かわかることがありますよね。
それは、声だけでなく、話し方、電話を受けた時間、状況など断片的な情報を総合してイメージを作り上げるからだそうです。そのため、不確実な相手の場合、周辺状況で補った結果、相手を見誤るのではないかとされています。

そして、私たちが何かを決めるには、2つのメカニズムがあります。1つが無意識に判断するもの、もう1つがよく考えて判断するものです。私たちは、この2つを同時に使いながら、さまざまな判断をしています。

そのうち、無意識な判断というのは、「専門家の意見は正しい」「値段の高いものは価値が高い」というように、ある一部の情報から自動的に判断されます。あまり労力もいらないし、効率よく判断できるので、日常的にとてもよく用いられているのではないかと考えられています。

この無意識の判断は正しいことも多く、便利なものですが、残念なことに詐欺などのだましには非常に弱いそうです。

たとえば、振り込め詐欺では、切迫した状況を伝えることで、相手にじっくり考える暇を与えず、無意識の自動的判断をさせるように仕向けているのです。

では、瞬時に判断する場合とよく考えて判断する場合では、どう違うのでしょうか?
それを調べた実験があります。

賃貸マンション、自動車、パソコンのいずれかについて、4つの選択肢の中からどれを購入するかを決めてもらいます。
それぞれの長所と短所を一定の割合で組み合わせて提示しており、長所が多いものを選んだ場合を正解としました。

若者では、瞬時に判断した場合とゆっくり考えた場合で特に正答率に差は見られませんでした。
ところが、中高年、とくに女性においては、瞬時に判断した場合の正答率は、ゆっくり考えた場合に比べてかなり低かったそうです。

つまり、あわててとっさに判断すると間違えやすいということです
逆に言えば、いったん待って、おちついて考えることが有効であるともいえます。

もっと詳しく知りたい人はこちら
http://www.caa.go.jp/seikatsu/whitepaper/h20/10_pdf/01_honpen/pdf/08sh_0201_07.pdf

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テスト前に大掃除がしたくなる~セルフハンディキャッピング~

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ふだんは、やる気が出ないお掃除ですが、がぜんお掃除をしたくなる時ってないですか?
経験がある人もいると思いますが、特に試験や試合、イベントなどの大切は本番を控えている時です。
自分だけかもって思っているかもしれませんが、意外とそういう人は多いようです。
なんといっても、この現象に名前までついています。『セルフ・ハンディキャッピング』というそうです。

この現象、一見すると本人にとってもなんのメリットがなさそうですよね。でも、潜在意識にとっては、ちゃんとしたメリットがあるようです。これは、私たちが傷つきたくないために行ってしまう防衛本能であるとも言われています。

もし、大切な本番に失敗したとしても、「やっぱり…あの時、急に掃除したくなって練習できなかったから」といった言い訳でき、さらには、成功した場合、「努力もせずに私ってすごい」というふうになるわけです。

そのため、わざわざ、テスト前に突然、「ぜんぜん勉強していな~い。どうしよう」と友達に言ってみたり、ふだんだったらやらないような大掃除をしてみたりしてしまうのです。
ありがちです…。大学時代よくやっていたような気がします。

これに関連して面白い実験があります。
「新薬の実験に協力してください」といって集めた学生を2つのグループに分けて、問題を解いてもらいます。

一方のグループには簡単な問題を、もう一方のグループには難しい問題を与えました。学生たちが問題を半分解いた時点で、「よくできていますよ」とフィードバックをします。
そして、「この2種類の新薬のどちらかを選んでください。飲んでから残りの問題に答えてもらいます」と伝え、2種類の新薬「知的作業を促進する薬」と「知的作業を抑制する薬」を提示します。

もちろん、その新薬は偽物です。すると、難しい問題を解いていたグループでは、より多くの学生が「知的作業を抑制する薬」を選んだそうです。つまり、後半の問題が解けなかった時の言い訳が欲しかったというわけです。

要するに、無意識のうちに自分が傷つかないように守っているわけです。でも、冷静に考えてみると、それは自分の足を引っ張る行為でもあります。

ふだん私たちは、知らず知らずのうちに自分を守ろうとして自分の足を引っ張るようなことをしているわけです。
それは単に、現実から逃げ、結果に向けた努力を怠るというだけではないと思います。
自分にはできないかもしれないという事を潜在意識に刷り込むことになる可能性もあるのです。

元ネタはこちら
http://ure.pia.co.jp/articles/-/22105
http://woman.mynavi.jp/article/131202-123/

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ジェンダーバイアス

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FacebookのCOOであるシェリル・サンドバーグが書いた全米ベストセラーの「LEAN IN」を読みました。
この著書の中で、男女の役割について固定的観念を持つこと…ジェンダー・バイアスについて触れています。

そこで紹介されているのがハイディとハワードの実験です。

2003年にアメリカで行われたものです。ある女性企業家の成功体験談を学生たちに読ませ、感想を聞きます。
学生の半分には本名のハイディ(女性名)のままで、残る半数は、企業家の名前をハワード(男性名)に変えて全く同じ文章を読んでもらいます。

すると、「有能」という評価はハイディのときもハワードのときも同じであったにも関わらず、ハイディの場合だけ「自己中心的」「一緒に働きたくない」という感想が目立ったそうです。

つまり、できる女性は嫌われる…という固定観念があり、女性は自分の能力をフルに発揮し、リーダーシップを発揮するという事を躊躇してしまうのではないかというのです。

実際、男性は成功と好感度が正の相関にあるのに対し、女性は負の相関を示していたというデータもあるようです。
女性とはこうあるべき…とする固定観念が原因なのではないか…と推測されています。

この実験は、私たちが無意識で持っている固定観念が与える影響の大きさについて物語っています。なにせ文章は一緒で、名前が違うだけですから。

これは多分に男女についての固定観念だけの話でもないような気がします。
私たちは、その人自身だけではなく、その人がもつ背景(人種や職業、性別や服装など)によって、評価を左右してしまうという事がありうるという事です。
そして、まずそういう事実があるという事実に気づくこと…それによって初めてその人自身を見ることが可能になるのかもしれません。

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つい傍観者になってしまう~バイスタンダー効果~

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自分がやらなくてもきっと誰かがやってくれるだろう…そういう気持ちになったことはないですか

その場にいる人数が多ければ多いほど、傍観者となり、自ら行動を起こさないという心理現象のことで、バイスタンダー効果(bystander effect: 傍観者効果)という名前までついています。

これは、1964年にニューヨークで起ったキティ―・ジェノヴィーズ事件がきっかけとなって発見された心理現象です。
この事件はかなり衝撃的で、深夜に自宅アパート前でキティが暴漢に襲われた時、彼女の叫び声で周辺の住人38人が事件に気づき目撃していたにもかかわらず、誰一人として助けに行かず、警察に通報もしなかったそうです。

心理学者のラタネとダーリーは、これは目撃者が大勢だからこそ起ったことなのではないかと考えて、それを調べる実験を行っています。
学生2名、3名、6名のグループに分けます。
相手の様子がわからないように1人ずつ個室に分け、インターフォン越しに討議をします。そこで、1人が途中で発作を起こす演技をします。
2名のグループでは全員が行動を起こしたのに対し、6名のグループでは38%の人が行動を起こさなかったそうです。

別の類似の実験もあります。アンケート中に密室の部屋で煙が発生するという状況で、報告するかどうかを調べた実験です。
1人の場合、75%の人が報告したのに対し、2人では38%、10人だった場合には10%にも満たなかったそうです。

これは、以下の3つの考えによっておこるとされています。

  1. 多元的無知 – 他者が積極的に行動しないことによって、事態は緊急性を要しないと考える
    「みんなが動かないってことは、たいしたことじゃないんじゃない」って思ってしまう
  2. 責任分散 – 他者と同調することで責任や非難が分散されると考える
    「みんなもしないんだから、自分もしなくってもいいよね。自分だけの責任じゃないし…」と思う
  3. 評価懸念 – 行動を起こした時、その結果に対して周囲からのネガティブな評価を恐れる
    「みんながしてないのに、自分だけしたら変な人って思われるんじゃないかな…」と思う

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肥満大敵

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「肥満は万病のもと」といわれていますが、先進国、特に欧米では、飽食と運動不足を背景に年々肥満度が増してきています。
世界の男性の10%、女性の14%が肥満であると言われています
そのため、今や肥満は単なる健康不安を引き起こすだけではなく、社会問題にまで発展しています。

近年では、日本でも中高年のメタボリックシンドロームが増加しています。
40才以上の男性では2人に1人、女性では5人に1人がメタボまたはその予備軍といわれています。
そのため、2008年4月から特定保健制度が導入され、メタボリックシンドロームを予防し、高血圧、糖尿病、高脂血症といった動脈硬化の3大因子になるのを防ぐ取組みがされています。

成人病以外にもいろいろと問題を引き起こすとされている肥満。
肥満がもたらす問題についてまとめてみました。

【目次】
1. 太っていると余計に甘いものが欲しくなる

2. 太っていることを注意しても逆効果⁈
3. 太っていると認知機能が低下する⁈
4. 太っているとスパムメール被害にあいやすい


1. 太っていると余計に甘いものが欲しくなる

突然ですが、皆さま甘いものはお好きですか?

特に、女性は、『甘いものは別腹』というくらい甘いものには目がない方も多いですよね。
日本人は味覚が鋭いのか繊細な甘い味が好きな方が多いですが、これは文化だけのせいではないのかもしれません。
というのも、最近のアメリカの研究で、肥満症の人は甘味が感じにくいことが分かったからです。

ネズミを使った実験です。
甘味の刺激に反応する味覚受容体の数を太っているネズミと痩せているネズミで比較しました。
すると、太っているネズミでは痩せているネズミに比べて味覚受容体の数が少なかったそうです。
つまり、甘味を感じにくくなっていました。

実際、太っている人のほうが、より甘いものを求める傾向があることがわかっています。
そして、甘いものを食べて太った結果として、甘味を感じにくくなり、より甘いものを求めるという悪循環に入る可能性があるわけです。
もちろん、甘いものを求めた結果として太った可能性もおおいにあるでしょう。
卵が先か鶏が先かではないですが、甘いものを好きだったから太ったのか、太ったから甘いものが好きになったのかはともかく、いったん太ってしまうとより太りやすいサイクルに入ってしまうということがあるようです。

2. 太っていることを注意しても逆効果⁈

残念なことに、太っている人が、太っているという事実を周りから非難されるとストレスがたまって、ますます食べてしまうとういう調査結果があります。

ロンドン大学が50歳以上の男女約3,000人行ったものです。3-5年の間のBMI (Body mass index)とウェストのサイズの変化を調べました。この3000人の150人が太っていると周りから非難されていたそうです。

非難された人は非難されなかった人よりも若く、BMIもウェストサイズも大きく、不健康だったというのは、なんとなく予想通りという感じですが、非難された人の0.7%は標準サイズでした。

そして非難された人たちは調査期間の間にBMIとウェストサイズの増加をきたし、体重が減った人はいなかったそうです。なんと、非難されなかった人に比べると太っていることを他人に非難された人は、そうでない人に比べて6倍も太ってしまう可能性があるそうです。
つまり、もしかすると健康を気遣っていったはずの言葉が逆効果…ということになっているかもしれないということです。

3. 太っていると認知機能が低下する⁈

太っていると高血圧や糖尿病、高脂血症といった動脈硬化をきたす病気になりやすいことが分かっています。これらの疾患に関与してかもしれませんが、実は肥満になると認知機能が低下するという報告もあります。

2014年11月20日号のNational geographic newsに掲載されたものです。
オーストラリア国立大学の神経科学者ニコラス・チェルビン(Nicolas Cherbuin)氏らが報告したものです。

60代のボランティア400人を対象に行った8年におよぶ最新の研究から明らかにされました。
それによりますと、肥満体の被験者では、記憶に関係するとされている海馬が1年で2%近く小さくなっていた(萎縮していた)というのです。

その萎縮率というのは、アルツハイマー病に匹敵するそうです。
標準体重の人の海馬が小さくなる率というのが、太っていた人の半分と言いますから、相当なものです。
肥満度を示すBMIの数値が25.5以上の肥満体型の人は、BMIが20.5~22.9の適正値の人に比べ、認知症を発症するリスクが2.44倍にも昇るそうです。

4. 太っているとスパムメール被害にあいやすい

ブルックリンカレッジのジョシュアフォーゲル博士らが、肥満に関して衝撃的な報告をしています。体重に問題を抱えている人はスパムメール被害にあいやすいというのです
まぁ、そのスパム電子メールが減量製品の広告とのことなので、当然の結果かもしれません。しかし、それにしてもなんと体重の問題をもつ大学生のうち41%もの人がスパムメールを開いたそうです。
そして、18.5%の人がその製品を買ったそうです。

けっこう確率高いですよね。メール流しただけで2割近くの人が購入したわけですから。これは、ダイエット製品が売れるわけです。
日本でも健康食品市場はなんと2兆円規模。その中でもダイエット関連が多くを占めているそうです。だいたい広告も使用前と使用後で別人?って感じですものね。そりゃあ、気にしている人は飛びつきますよ。

そして、体重に問題を抱えている中でも特にダイエット製品に飛びついてしまいやすいのが、精神的ストレスを抱えている人です。精神的ストレスが大きいほどダイエット製品を買う確率が高かったそうです。
ストレスというのは、時に判断力を鈍らせます。
ダイエットサプリでの健康被害の報告もありますから、広告に飛びつかず、慎重に判断したいものです。

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なぜ権力者は平気でうそをつくのか

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最近、世界的にも政府への信頼度が下がっていると言われています。
特に日本は、先進国の中でも政府や行政への信頼度が低いそうです。

信頼されるためには、当然ながら、約束を守る、誠実さを示す、過ちは誠意をもって謝ることなどが重要となってきます。
ところが残念なことに、いったん権力を握ってしまうとこういった当たり前のことが難しくなる傾向があるようです。

普通は嘘をつくと脳にとっても負担になり、身体もストレスを感じます。
そのため、その反応が現れて相手にばれやすいという特徴があります。
これが権力者になると少し違ってくるようです。
というのも、権力者は嘘をついたストレスによる反応が出にくいという報告があるのです。
つまり、ストレスを感じることなく平気でうそをつけちゃうってことです。
一般人からするとちょっとさみしい話です。

コロンビアビジネススクールで行われた研究です。
権力を持っている人、もっと正確に言うと自分には権力があるんだと思い込んでいる人は嘘をつくのが上手いそうです。

ふつう、人は嘘をつく時には、否定的な感情がでたり、ストレスを感じたり、嘘がバレるのではないかという恐怖を感じたりします。そのため、そわそわしたり、話すスピードが変わったりして、「嘘をついてます」という合図を自分から送ってしまう事が多いとされています。
ところが、『自分には権力があるんだ』と思っている人の場合は、そういう反応が少なくなってしまうのです。

どうも他の人達に社会的影響や金銭的影響をおよぼす立場に立ってしまうと、良い気分になってしまうそうです。その良い気分というのが、ちょうど嘘をついた時と正反対にあたるそうです。
そのため、嘘をついた時のマイナスの影響が少なくなって、うまく嘘をつけるというわけです。

要するに、高い地位について『自分は君たちとは違って偉いんだ。特別なんだよ。』と勘違いしちゃった人は、嘘がうまいというわけです。
ある意味、他人から認めてもらわないと、自分に価値を見いだせない人がそうなりやすいともいえます。
当然、高い地位についてからも真摯に相手と向き合っている人は、そういう勘違いはしないので当てはまらないでしょう。

元ネタはこちら
http://slashdot.jp/story/10/03/24/037233/「力ある」者は嘘をついてもバレにくい

People with Power are Better Liars Dana R. Carney, Andy J. Yap, Brian J. Lucas, & Pranjal H. Mehta

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手紙よりも電子メールの方が嘘をつきやすい

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最近、手軽に連絡を取る手段も増え、わざわざ手紙を書くという習慣がなくなっきました。
しかし、電子メールなどは、切手を貼ったり、投函したりという手間がかからず、気軽に相手に出せるというメリットがある一方、どうも人に対して嘘をつきやすくなるという特徴もあるようです。

デポール大学のCharles Naquinらが行った実験です。
ゲームには独裁者と受領者がいます。
独裁者は最初5~100ドルのお金をもらいます。そして、その一部を受領者に分けます。
当然、独裁者なので、分け与える金額は自分で決まられます。
つまり、少ししか分け与えなければ、その分だけ自分の取り分が増えるわけです。

しかし、受領者にもいちおう権限はあります。
それは、分け与えられた金額をもらうかもらわないかという選択ができます。
受領者が独裁者からお金を受け取らないと選択をすると、独裁者も最初のお金を没収され、お互いに何も受け取れなくなります。
もちろん、独裁者からもらった金額をそのまま受け取っても構いません。
つまり、受領者には、自分の配当金に納得がいかなかった場合、自分も受け取らない代わりに独裁者の報酬もなしにする権利があるという事です。

そして、今回のこの実験では、独裁者だけしか最初に受け取った金額を知りません。独裁者は、もしかしたら5ドルしか受け取っていないかもしれないし、100ドル受け取っているかもしれません。つまり、受領者には、自分がどれくらい不公平な扱いを受けたかがわかりません。

このゲームを48人の学生で行いました。
この時に独裁者は、受領者に元の金額を伝えます。
これを半分は手書きの手紙で、残り半分は電子メールで受領者に伝えるようにしました。

独裁者は、自分が多くの金額を手に入れようと受領者に対して嘘をついたそうです。
それが電子メールだと92%、手紙だと64%だったそうです。
電子メールなんて、ほとんどの人が嘘をついたってことですよね。個人的には、手紙の64%でも十分多いと思いますが…
そして、申告額ですが、こちらは電子メールでは平均30ドル少なく申告し、手紙の場合は21ドル少なく申告したそうです。
つまり、電子メールの方が手紙よりも、嘘をつきやすく、嘘をつく時により大きな嘘をつきやすいということです。

では、どうして電子メールと手紙で違いが出るのでしょうか?
Naquinは、これをBandulaのモラル離脱フレームワークで説明しています。
これは、『人はその行動の結果と心理的距離が離れていることで、標準的なモラルからより逸脱する』といったものです。
手紙を書いている時は、相手を思い浮かべたりして、相手を身近に感じているのかもしれません。
そう考えるとたまには心を込めて手紙を書いてみようと思います。

元ネタはこちら
http://www.avery.co.uk/vgnfiles/OP/en_gb/Projects%20&%20Ideas/Articles/Love%20Letters/love_letters_report.pdf

脳とこころの豆知識 ― 不合理な行動

他人の不幸は蜜の味

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私たちは、『人と比較してもしょうがない』と頭ではわかっていても、ついつい自分を他人と比べてしまうことがあります。

輝いている人を見て、前向きに自分も頑張ろうと思えればいいのですが、そうそういい気持ちばかりが出てくるわけでもないですよね。
そして、そういう自分に気付くと、特に相手が大切な人であるほどそういう気持ちが出てくる自分が嫌になってしまいます。

しかし、これは私たちの持っている脳の性質上から考えるとある程度はしょうがないのかもしれません。
というのも、私たちの脳には、人から見て自分がどう映っているのかという『客観的自己像』に関係する脳の場所があるからです。

それは、自分より優れている人に対して、『羨ましい』という不快な気持ちを生じる原因になります。
その一方で、それは、より良い自分になろうと努力する原動力になり、今日の技術や文化、芸術に貢献しているとも言えるでしょう。

ただ、残念なことに、人というのは精神的に弱いものです。私たちの脳は、ついつい、その『羨ましい』と思っている相手が不幸になった時に喜びを感じてしまうようです。

高橋英彦博士らが行った実験です。
平均22歳の男女19人を対象に行っています。

被験者に昔の同窓生たちが社会的に成功して羨ましい生活を送っているシーンを想像してもらいます。すると、不安の気持ちに関係する前帯状皮質(ぜんたいじょうひしつ)という場所が活動します。
他人の成功を想像するとなんとなく嫌な感じがするということです。

そこで、今度は「その羨むべき同窓生が、不慮の事故や相方の浮気などで不幸に陥った」ことを想像してもらいます。すると、前帯状皮質は活動しなくなり、代わりに快感に関係する側坐核(そくざかく)が活動を始めたそうです。
羨ましいと思っている相手が不幸になると喜びを感じてしまったという事です。

芸能人のゴシップをネタにした週刊誌が売れるのも、そういう人間の心理をついているのでしょうか。『他人の不幸は蜜の味』というのは、なんとなく寂しい感じもします。

ただ、残念なことに、そのようにできているのです。
なので、一瞬そういう気持ちを持ったとしてもあまり罪悪感を持たずにそういう自分も受け入れてあげてください。
受け入れなかった感情は、知らないうちに自分の中にたまっていきます。

大丈夫です。私たちには、ちゃんと他人の喜びに共感して、喜べる機能も備わっていますから。

元ネタはこちら
When your gain is my pain and your pain is my gain: neural correlates of envy and schadenfreude.

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