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習慣

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私たちの行動の多くは、習慣によってなされています。
習慣は、自動的で変更することが難しいという特徴があります。
しかも、自分が自動的に動いているということにすら気づかないのです。
つまり、習慣を変えようと思ったら、かなり意識的に変えようとする努力が必要だということです。

私たちの日々の行動の約40%が毎日繰り返し行われていること、つまり習慣になっていることだという報告もあります。

Wendy Woodは122回アメリカ心理学協会の会合で「同じ状況下で一定の動作が繰り返されると、人は同じ状況になった時、自動的に動作を開始することがわかった」と述べています。
たとえば、リビングに入るとすぐにテレビをつけるということを繰り返しおこなっていると、リビングに入ることがきっかけになって、自動的にテレビをつけるという反応をひきおこすようになってしまうのです。

Woodは「習慣は私たちの意識の外にあるのではないか」とも言っています。
というのも、私たちは、習慣で行っている行動に関して、今なぜそれをしているのかを説明することはできないし、それが悪い習慣であったとしても繰り返し行ってしまい止めることが難しいからです。

ただ脳にとって習慣があるということはメリットがあります。
自動的に行動してくれる習慣があるおかげで、脳はいちいち思考にエネルギーを割かなくてもよくなります。つまり省エネできるわけです。
結果、そのエネルギーを他のことに向けられるようになります。

そのためか習慣の力は強くて、私たちの意志のエネルギーが少なくなると簡単に昔の習慣に戻ってしまうのだそうです。

ある研究によると、新しいものごとを習慣化するのにかかるのが15日~254日だそうです。
それまでは意識的に行わないと昔の習慣に戻ってしまうということです。

http://mui-therapy.org/newfinding/habit.html
http://www.spsp.org/news/186588/

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挫折しないために

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挫折してしまう人は、7つのパターンに分けられるようです。
どうして挫折してしまうのか、タイプ別にまとめてみました。


1. プライドが高く、チャレンジ意欲がわかない。

プライドが高いと過去の栄光にいつまでも固執しがちになります。変わってしまった現状を受け入れるのが難しいのです。
そのため、以前の状況ではうまくいっていたやり方に固執してしまい、なかなか今までのやり方を変えることができません。

こういった場合には、自分の経験やスキルを棚卸することが大切になってきます。
その上で、今までと違う部分に目を向けるように意識するのがよいでしょう。頭が整理されることで意外とより現状に合った方法が思いつくかもしれません。

2. 行き当たりばったりで、自分と向き合わない
人生や仕事について深く考えずに生きている人の場合、嫌なことがあるとすぐに逃げ出してしまいます。そのため、職を変えやすく、人間関係も積みあがっていきません。「面倒くさい」と口にするのが多いのもこのタイプになります。
自分が何を望んでいるのかをじっくり考えるのがよいでしょう。
このタイプの人は少し言葉で考えるというのが苦手かもしれません。難しければ、『将来の自分』をテーマに写真や雑誌の切り抜きなどを集めたコラージュをつくるというのも一つの方法です。

3. 『どうせ自分はダメな人間』と思い込んでいる
虐待や社会での理不尽な経験で傷を負っていると、こういう思い込みを持ちやすくなります。
一般的にみると虐待とはいえないような場合でも、その時に自分がどのように感じていたかが問題です。
こういう経験がある人は、「自分なんて好かれるわけがない」といった自己否定の感情を強く持っています。そのため、他人の言動をネガティブな方向に解釈してしまいがちです。
結果として、目標を達成したり、人間関係を築くのが難しくなってしまいます。
「だって」「どうせ」「でも」と言った言葉を禁止するというのが効果的です。

4. いろいろなものに手をだすものの、モノにならない
何かを始める行動力はあるものの、最後までやりぬく力が弱いのがこのタイプ。いいところまで行くのに、ゴールにたどり着く前に諦めてしまいます。
自分でちゃんと目標を達成したという経験がないので、小さい目標から始めるのが効果的です。小さな目標を達成する喜びを味わう事で、より大きな目標を達成することが可能になります。期限を区切って取り組むのも効果的です。

5. 頭が良く、「できない理由」を思いついてしまう
受験戦争を勝ち抜き、頭はよいものの、現実が見えすぎて大きなビジョンを描けないのがこのタイプ。アクティブに何でもこなせてしまいますが、器用貧乏になりがちです。
3年計画など長期計画を作ってみるとよいでしょう。
ここで詳細に書こうとするのは得策ではありません。思考に入ってしまい、制限をかけてしまいます。「なりたい自分」を箇条書きにするくらいが良いようです。

6. 習慣にできない
チャレンジはするものの心のどこかで『自分には無理だろうな』と思っているのがこのタイプ。そのため、行動が無意識の習慣になる前にやめてしまいます。
こういうタイプは無理に習慣を変えるのではなく、既にやっていることを組み替えることが有効のようです。例えば、ダイエットであれば、コーヒーに入れていた牛乳を低脂肪のものや豆乳に変えるといった無理なくできるものに変えるということをするのが良いようです。

7. 突然燃え尽きて、無力感におそわれる
そして、少数派ですが何でもストイックにできてしまうのがこのタイプ。でも、逆にそこが落とし穴になってきます。自分が弱っていてもそれを認めることができません。そのため、無理してストイックな生活を続けてしまいます。そして、ある日突然、燃え尽きるといった事が…。
こういう人たちにお勧めなのが定期的に質の高い休息をとること。
「何をすれば自分は元気になるのか」を知っておくのが大切です。

元ネタはこちら
「何回決心しても挫折する」人の行動心理学【挫折タイプ別処方箋】

http://jp.wsj.com/articles/SB10327460236075474355904581208264088929164
http://psycnet.apa.org/journals/ccp/83/4/808/
http://www.riken.jp/pr/press/2013/20130422_2/
http://serendipity-japan.com/motivationup-keep-742.html

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他人を通して自分を知る~投影の法則~

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同じものを見て、同じことを聞いたとしても、感じ方は人それぞれです。
というのも、私たちは誰でも自分自身のフィルターを通してものごとをみています。
これを「投影の法則」と言います。

たとえば、道端に咲く1輪の可憐な花を見たとしましょう。
ある人はそれを見て、風情があるなぁと感じるかもしれません。
でも、別の人は頑張って咲いていて、なんてけなげだなんだろうと思うかもしれません。
また、別の人は、こんな道端に1輪だけで寂しそうと感じるかもしれません。

これと同じようなことが他人に対しても起こってきます。
相手が無表情でいると怒っているわけでもないのに「怒っている」と感じてしまったり、他人のなにげない様子を見て魅力的に感じたりもします。

自分というフィルターを通すことで、相手のなかのある要素が際立って見えてしまうのです。
これは、自分の中の隠されている要素が相手に投影されて見えてくるのではないかとされています。
つまり、誰かのことを優しいと感じたとき、そういう性質が自分の中になければ、その優しさを感じ取ることができず、気づかないということです。

そのため、他人や状況に対して自分がどう感じているのかをみていくことは、自分自身では気づきにくい自分の内面をさぐるヒントになってきます。
自分が抑圧している感情や自分の隠された魅力を探すには、うってつけということです。

自分のことは、意外と自分ではわからないものです。
人との関わりを通して、自分を見つめてみるのもいいかもしれません。

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ラベリング効果

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苦手な人っていますか?
上司が『細かいことにこだわって口うるさい人』だから、ちょっと苦手かな…と思っていると、残念なことに、ますます上司は『細かいことにこだわる口うるさい人』になっていきます。

これは、「ラベリング効果」と言って、ある人にラベル(レッテル)を貼ることによって、その人の持つ細かい特性が無視されてしまい、その人がそのラベル通りに生きるようになってしまうことを言います。

例えば、一度「犯罪者」というレッテルを貼られてしまうと、まわりの人は彼を「犯罪者」として扱います。彼にある長所は無視され、彼を疑い,恐れ,避け,自分たちのコミュニティーの中に受け入れようとはしなくなります。

その結果,彼はみんなから排除され,更生する機会すら与えられなくなり,最後には「どうせ俺は犯罪者だ」と,自分が犯罪を行うのを合理化してしまい、その後も「犯罪者」としての人生を歩むようになります。

逆に、これをポジティブに使うこともできます。
ちょっと手伝ってもらった時に「ありがとう」に「○○さんって優しいのね」と加えると、その人はますます優しい人になっていきます。

では、自分のことはどう思っていますか?
自分にある長所は無視して、「ダメなやつ」と思っているとしたら、ますます「ダメなやつ」になってしまいます。そんなラベルは思いっきりはがしてみましょう。

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重要事項を優先する

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いろいろとすることが山積みになっているときに大切なのは、「重要事項を優先する」ことです。コヴィーは、著書『7つの習慣』のなかで、そのポイントを4つ挙げています。

① 時間を管理するという発想を捨て、「重要事項を果たす」順序を決める
② 「緊急ではないが重要なこと」のための時間を増やす
③ 役割と目標を頭に入れて行動する
④ 時間が足りない時には、人に任せる

つまりは、仕事と頭の整理をするということでしょう。
何が重要で、なにが重要ではないものかが分かっていないと、すべてを同じように扱ってしまいます。
そしてこの「重要事項」は当然、人によって違うはずです
自分に価値観に照らし合わせて、一般常識に縛られずに考えてみるのが良いかもしれません。

脳科学者の中野信子さんは著書の中で、運のいい人は自分なりの「しあわせのものさし」を持っており、常識より自分を上においていると述べています。
他の人と得たいものが偶然一緒であれば別ですが、得たいものというのは人によって違うはずです。常識に縛られたままでは、自分が本当に得たいもののために費やす時間が少なくなってしまうかもしれません。

そして、残念なことに「まじめで、人を疑うことを知らず、人の話を素直に聞き、責任感が強い」という、常識的には素晴らしいと思える性質は、ブラック企業が採用したい人材の性質だそうです

というのも、そういった性質は、別の側面から見ると社会規範に自分をあわせており、社会のルールや常識を自分の上に持ってきている可能性があります。
「新奇探索性」が弱いのだそうです。

「新奇探索性」が強いと新しい刺激や環境を好む傾向があります。そのため、異なる考え方や感性、環境に囲まれやすいくなります。ところが、「新奇探索性」が弱いと、一度正しいと信じた社会のルールや常識を守り続ける傾向があります。

そして、残念なことに日本人は「新奇探索性」が弱い傾向にあります。
というのもこの「新奇探索性」に関わる遺伝子(ドーパミン第4レセプター)があるのですが、そこでの塩基繰り返し回数が4回以上だと「新奇探索性」が強いとされていますが、それが日本人では7%の人しか持っていないそうです。ちなみにアメリカ人は40%。

逆に慎重さや不安の感じやすさの遺伝子は、日本人では98%の人が持っているという報告もあります。アメリカ人では40%だそうです。

自分の得たいものは何か意識していないと常識に流されやすいのかもしれません。

安心できる環境にいて初めて本来の自分になれる~ミジンコの実験より~

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安全な環境にいるかどうかというのは私たちに大きな影響を与えます。
日本にいると、精神面で安心できるような安全な環境かどうかはともかく、少なくとも肉体的には安全な環境というのがあたりまえになっています。

私たち人間は、安全な場所にいるかどうかで表情や行動パターンは変わるかもしれませんが、姿かたちまでは変わりません。

ところが、あのとても小さな水中生物であるミジンコは、安全な場所かどうかで姿かたちを変えてしまいます。
実は、ミジンコには、背甲と長い棘状の尾(殻刺)を持つ個体と持たない個体がいます。

ミジンコの幼生を捕食者、つまりミジンコを食料としている生き物がいない水槽にいれておくと、身を守る背甲と殻刺がないまま成長します。
ところが、このミジンコと遺伝的に全く同じミジンコを捕食者の臭いを加えた水槽で育てると、背甲と殻刺を持つようになります。まぁ、身を守るための装備をつけるわけです。

すごいですよね。敵に遭遇しているわけでもないのに…。姿の見えない近くの敵に備えているというところでしょうか?
では、この背甲と殻刺のついたミジンコを捕食者の臭いのついていない水槽にいれるとどうなると思いますか?

実は、この安全な環境では、自分を殻で覆って外敵から身を守る必要がないため、背甲と殻刺がなくなっていきます。

さらに衝撃的な事実があります。
今まで捕食者を目にしたり、匂いを嗅いだりしたことのあるミジンコを捕食者のいない水槽にいれて卵を産ませると、その子供のミジンコは敵の姿を見たことも匂いを嗅いだこともないにも関わらず、大きな背甲を持つようになるというのです…。
つまり、母親の経験が受け継がれてしまった…という事です。

ミジンコは、見た目という非常にわかりやすい形で自分の状態を見せてくれています。しかし、私たち人間はどうでしょう?

自分の身を守るために、目には見えない殻を身にまとってしまっているということもあるかもしれません。そして、そういうものは意外と自分自身が一番気づきにくいものです。

そして、少なくとも人間はミジンコほど単純にはできていませんし、記憶力も優れています。そのため安全な環境に身をおいても危険を感じていた時の記憶が邪魔をして、なかなか簡単には殻が脱げないということが起こるのだと思います。

なんどもなんども今いる場所が安全で安心できる場所であるということを確認するということが必要なのでしょう。そして、本当に安心できる環境に身をゆだねることでその殻が外れ、本来の自分自身の姿に立ち戻れるのかもしれません。

始めるのは月曜日がチャンス!

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何かを始めるなら月曜日がチャンスであるといわれています。
というのも週の初めの月曜日というのは、比較的やる気が出やすいようです。
アメリカのペンシルバニア大学の調査チームがグーグルアナリティ
クス、大学のフィットネス参加記録とStickK.comからのデーターを分析したところ、運動やダイエットにやる気になる人や始める人が週の中では月曜日に圧倒的に多かったのです。

グーグルで「ダイエット」という言葉が最も多く検索されるのも月曜日だそうです。
そして、想像通りと言いますか、日が経つごとにその数は減少します。
そして、同じような現象は月初めや新年などのシーズンのスタート時でも見られるそうです。

なんとなくその気持ちわかります。
年初めとか、月初めとか、週初めとか、区切りのいい時にスタートしたい気分にはなります。

いくらやる気になったとしても行動するかどうかは別問題。やる気は本当に行動につながっているのでしょうか。
同じ大学で行った調査にその答えがあります。
実は、月曜日にスポーツに参加する人は他の日と比べ33%も高かったそうです。
みんな、ちゃんと行動しているんですね。

実際、月曜日だけでなく、月や年の初め、休日の翌日や新学期の開始日なども同じく運動に励む人が多くなるそうです。
重い腰を上げて、新しいことを始めるには、何かきっかけが必要なのかもしれません。

元ネタはこちら
http://www.dailymail.co.uk/femail/article-2646452/Having-case-Monday-blues-Its-actually-best-day-week-start-new-diet-fitness-regime.html#ixzz33YuUcHcP

The most popular — and best — days to start a diet
http://www.today.com/health/most-popular-best-days-start-diet-2D79730897

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チャレンジ精神

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私たちが何かをしようとする時、確実に成功するものよりも多少失敗するリスクのあるものを好む傾向があるとされています。
ちょっとした冒険が好きなのです。

おもしろいことにこの性質は、人間だけではなく、動物に共通のものなのかもしれません。

鳩で行った実験です。
AのカゴとBのカゴに鳩を1羽ずつ入れます。
どちらのカゴにも餌のスイッチがあり、鳩がくちばしでそのスイッチを押すと餌が出るようになっています。
Aのカゴはスイッチを押すと100%餌が出ます。
Bのガゴはスイッチを押しても時々しか餌が出ません。

すると、Aのカゴにいる鳩とBのカゴにいる鳩では、とる行動が違ったのです。
Aのカゴの鳩はお腹が空いた時だけスイッチを押しました
ところが、Bのカゴの鳩はお腹のすき具合に関係なく、何度もスイッチを押したそうです。お腹が空いた時にだけたくさん押すわけじゃあないのです。
そして、押す頻度が一番高かったのが、確率50%の時だったそうです。

サルでも似たような実験がされています。
こちらは、サルの前にAとBの2台のジュースタンクを置きます。
Aのタンクはボタンを押すと150mlのジュースが出てくるようになっています。
そして、Bのタンクはというと、ボタンを押すと100mlのジュースが出てくるときもあれば、200mlのジュースが出てくるときもあります。
そうすると、サルはBのボタンを押し続ける傾向があったそうです。

つまりは、100%結果が約束されているものよりも、多少なりともギャンブル性のあるもののほうが好きだったということです。

このように、「ある行動に対して毎回ご褒美を与えるよりも、たまに与える方が行動を続けるようになる」現象を『部分強化』と言うそうです。

とはいっても、人間の場合は、いろいろと考えすぎてしまうので、そう単純にはいかないかもしれません。
失敗への恐れが強すぎれば、いくら望んでいても行動にうつすことは難しくなります。
そういう人では、100%結果が保証されたものを好むでしょう。

また逆に、ギャンブル依存のように、その当たるかどうかのハラハラドキドキする感じや大きくあてた時の快感が忘れられないという人もいるかもしれません。
自分の中の満たされないものをその興奮で埋めたくて、失敗の確率が高いことを敢えてし続けてしまうのです。

なんだか人間ってめんどうな生き物ですね。

Johansson P et. al. Failure to detect mismatches between intention and outcome in a simple decision task. Science 10:116-119, 2005

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運がいいと思っている人ほど幸運に恵まれる

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自分のことを運がよいと思っている人たちは、チャンスをキャッチしやすいということが分かっています。

イギリスのHertfordshire大学のRichard Wiseman教授が行った実験です。
Richard Wiseman教授は、もともとはプロのマジシャンだったのですが、マジックの裏にある人間の心理に興味を持つようになり、心理学の勉強を始めたそうです。
ちょっと変わった経歴ですよね。

それはさておき、彼が行った実験です。
被験者を「自分は幸運に恵まれている」と思っているグループと「自分はついていない」と思っているグループに分けます。
そして、被験者たちに「新聞に載っている写真の枚数を数えてください」と指示します。
その後、Wisemanは被験者に、写真は何枚載っていましたかと尋ねました。

ただし、この実験には、被験者たちには知らせていないもう1つ仕掛けがありました。
実は、彼は、この紙面の中央にある文章を隠しておいたのです。
紙面半分くらいの大きさで、「実験担当者にこの記事を見たと言えば、あなたは100ポンド獲得します」と書かれていました。

おもしろいことに、というか、かわいそうなことに、「自分はついていない」と思っている被験者たちは、写真を数えるのに一生懸命で、その文章に気づかない人が多かったのです。
では、「自分は幸運に恵まれている」と思ったグループは、というと、お察しの通り、多くの人がちゃんとその文章に気づいたのです。

つまり、「自分は運がいい」と思っていると、チャンスに気づき、「自分はついていない」と思っているとチャンスを見逃すというわけです。
これは、自分が運がいいと思っている人は、リラックスしているため全体を見通しやすいからではないかと考えられています。

Wisemanは、「楽観的な人は、前向きでエネルギッシュで、新たな機会や経験にオープンである。いっぽう、運が悪い人は、控えめで頼りなく、心配そうな反応をし、目の前にあるチャンスを見つけて活かそうとしないようだ」とも言っています。

脳の取扱説明書 P65

The Luck Factor
http://www.richardwiseman.com/resources/The_Luck_Factor.pdf
As Luck Would Have It

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行動が変わると意識も変わる

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変えたいと思っても、自分の意識を変えるというのはなかなか難しいものです。
そういうときには、簡単な行動から変えてみるとよいかもしれません。

行動が変わると意識が変わるということはよくいわれていますが、脳の性質からもこれは理にかなっています。
というのも、脳には自分の中に矛盾したものがあるとそれを自動的に修正するという性質があるのです。

つまり、行動と意識が矛盾している場合、それを自動的に修正してくれるのです。
とってしまった行動というものを変えることはできません。そのため、その行動に合うように感情(意識)を変えてしまうのです。

それを示すショッピングの実験があります。
同じくらい気に入った洋服Aと洋服Bがあり、さんざん迷った挙句に洋服Aを買ったとします。
そして、洋服Aと洋服Bについて、どれくらい気に入っているかのアンケートに答えてもらいます。
すると、洋服Aを買うと決めた後では、決める前と比べて洋服Bの評価が低くなったそうです。

ところが、気にはいっているけれども、洋服Aや洋服Bほどではなく、買うかどうかあまり悩まなかった洋服C。これに関しては、洋服Aを買うと決めた後でも評価は変わらなかったそうです。

これは、もちろん洋服に限った話ではありません。
団体に入会するために儀礼がある場合、厳しい儀礼を受けて入会したほうが、その団体に対する好感度があがるという実験結果もあります。
つまり、「こんなに厳しい儀礼を受けてまで入会したんだから、この団体が好きに違いない」と思ってしまったというわけです。

ちょっとした行動の変化が意識を変化させる一歩につながるのかもしれません。

認知的不協和 (Cognitive dissonance) Festinger (1957)

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