他人の不幸は蜜の味

他人の不幸は蜜の味Harmonista171

私たちは、『人と比較してもしょうがない』と頭ではわかっていても、ついつい自分を他人と比べてしまうことがあります。

輝いている人を見て、前向きに自分も頑張ろうと思えればいいのですが、そうそういい気持ちばかりが出てくるわけでもないですよね。
そして、そういう自分に気付くと、特に相手が大切な人であるほどそういう気持ちが出てくる自分が嫌になってしまいます。

しかし、これは私たちの持っている脳の性質上から考えるとある程度はしょうがないのかもしれません。
というのも、私たちの脳には、人から見て自分がどう映っているのかという『客観的自己像』に関係する脳の場所があるからです。

それは、自分より優れている人に対して、『羨ましい』という不快な気持ちを生じる原因になります。
その一方で、それは、より良い自分になろうと努力する原動力になり、今日の技術や文化、芸術に貢献しているとも言えるでしょう。

ただ、残念なことに、人というのは精神的に弱いものです。私たちの脳は、ついつい、その『羨ましい』と思っている相手が不幸になった時に喜びを感じてしまうようです。

高橋英彦博士らが行った実験です。
平均22歳の男女19人を対象に行っています。

被験者に昔の同窓生たちが社会的に成功して羨ましい生活を送っているシーンを想像してもらいます。すると、不安の気持ちに関係する前帯状皮質(ぜんたいじょうひしつ)という場所が活動します。
他人の成功を想像するとなんとなく嫌な感じがするということです。

そこで、今度は「その羨むべき同窓生が、不慮の事故や相方の浮気などで不幸に陥った」ことを想像してもらいます。すると、前帯状皮質は活動しなくなり、代わりに快感に関係する側坐核(そくざかく)が活動を始めたそうです。
羨ましいと思っている相手が不幸になると喜びを感じてしまったという事です。

芸能人のゴシップをネタにした週刊誌が売れるのも、そういう人間の心理をついているのでしょうか。『他人の不幸は蜜の味』というのは、なんとなく寂しい感じもします。

ただ、残念なことに、そのようにできているのです。
なので、一瞬そういう気持ちを持ったとしてもあまり罪悪感を持たずにそういう自分も受け入れてあげてください。
受け入れなかった感情は、知らないうちに自分の中にたまっていきます。

大丈夫です。私たちには、ちゃんと他人の喜びに共感して、喜べる機能も備わっていますから。

元ネタはこちら
When your gain is my pain and your pain is my gain: neural correlates of envy and schadenfreude.

脳とこころの豆知識 ― 不合理な行動

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