私たちの心や身体は外からの刺激に反応して刻々と変化しています。
そのいっぽうで、自分の体調のわずかな変化は、自分でも意外と気づきにくいものです。
特に、ふだん頑張っている人は、ついつい無理をしがちです。
自分のやるべきことに意識を向けるあまり、身体からのメッセージを無視してしまいます。
では、どうしたら身体の調子を把握できるようになるのでしょうか。
それには、リラックスした状態でいることが重要になってきます。
とはいっても、意識的にリラックス状態をつくるというのはなかなか難しいものです。
これは、リラックス状態に関係する自律神経の性質からも納得のいくものでしょう。
自律神経には、交感神経と副交感神経がありますが、副交感神経が優位になるとリラックスした状態になります。
しかし、残念なことに自律神経や脳波(特に脳のリラックス状態)などは、意識的にコントロールすることが難しいのです。これは、リアルタイムのフィードバックがないからではないかといわれています。
ふだんの生活の中でリアルタイムに自分の心拍数や血圧がどれくらいで、脳波がどういう状態になっているかということを知ることはできません。そして、そのことが自律神経や脳波をコントロールできない要因であると考えられているのです。
そこで、それらを知覚できるような形にして、リアルタイムにフィードバックし自分でコントロールできるようにしようということで考え出された手法がバイオフィードバックです。
例えば、脳波の状態をリアルタイムに把握するために器械を使って視覚や聴覚などでとらえられるようにします。それによって視覚や聴覚からの情報を頼りに脳波をコントロールし、リラックス状態を簡単に作り出せるように訓練していきます。
結果として、身体を理想の状態へと近づけ、その状態になる方法を体得することで器械なしでも意識することで自分自身を理想の状態へ持っていくことができるのです。
そして、それを積み重ねることで、意識することなく普段から理想の状態でいることができるようになります。
ヨガの達人など自分の身体の声を聴くことに長けている人は、器械がなくても自律神経の調節が可能なようですが、普通の人にはなかなかまねできません。
とはいっても、いちいち器械をつけてというのも日常に取り入れるのは困難です。
そこで、手軽にできる自律神経の調節として、効果があるといわれているのが、以下の5つです。
1) 腹式呼吸 5分くらいを目安に、自分の状態に応じて無理のない範囲で行うようにしましょう。続けることが大切なので、短い時間から始めるのがいいかもしれません。
2) 有酸素運動 激しい運動は交感神経が優位になってしまいます。自然に呼吸ができ、酸素がリズミカルに取り入れられるものにしましょう。自分が楽しめるものを選ぶというのがポイントです。30分くらいを目安に行うのが理想的です。
3) 日光浴 早朝に行うのが最も効果的です。時間のない場合は、ベランダに出たり、窓を開けたりして、直接日光を浴びるようにしてみましょう。
週3回以上。5~15分程度行うのがよいようです。
4) 爪もみ 爪の生え際の両側を10秒~20秒押すようにします。1日1~3回を目安に行いましょう。やりすぎは禁物です。薬指は交感神経のツボがあるようなので、単独で押すのはやめましょう。
5) 心身のリラックス
自分に合ったものから取り入れていくのがいいかもしれません。