年齢を重ねると記憶力が落ちるわけ

年齢を重ねると記憶力が落ちるわけHarmonista1001725_485986048152767_1193353857_n

学会のついでに佐渡島に行ってきました。
レンタカーでドライブしたのですが、天気もよく気持ちよかったです。
昨年末に車を手放してから、すっかりと車を運転する機会が減っていたので、久々に運転すると新鮮で楽しいですね

実はこういった新鮮な気持ちというのは、記憶をするといった点に関してもとても重要です。
昔より記憶力が悪くなったかな?と感じているとしたら、脳を記憶する能力が落ちたのではなく、日々の出来事に昔ほどの興味が持てなくなっているのかもしれません。

Miami大学のYukiko Asakaらが行った興味深い実験があります。
加齢による記憶力の低下と外界に興味との関係について調べたものです。
ウサギの目に空気をシュッと吹きかけます。当然、ウサギは目をつぶります。
そこで、ブザー音を聞かせてから、空気を吹きかけるようにします。

これを何回も繰り返していると、ブザー音が鳴っただけで、ウサギは目を閉じて待っているようになります。まぁ、一種の条件反射です。
当然、海馬がちゃんと活動していて、ブザー音が鳴ったら、次に空気が来るという事を学習していないとこの条件反射は起きません。

生後半年以内のウサギは、このことを学習するのに約200回、繰り返す必要があります。
ところが、生後2~3歳のウサギともなると、このことを学習するのに約800回も繰り返す必要があるそうです。
これだと単に年を取ると記憶力が悪くなるんだね…というだけの事ですが、おもしろいのはここからです。

これに関係するのが、脳波のシータ波です。
このシータ波、記憶に関係すると言われています。新しいものに出会ったり、冒険したりなど、脳が外界に興味を示している時に現れるとされています。海馬の神経細胞を柔軟にし、脳を感受性の高い状態に保つことに貢献しています。

で、このシータ波が出ている時にだけ学習してもらったらどうなるのか?という事を調べたわけです。
すると、生後半年でも、2~3歳でも同じように、ともに優秀な成績だったそうです。

つまり、シータ波が出ている時に学習すれば、年をとっても若い時と同じくらい能力を発揮できるというわけです。
裏を返せば、年を重ねたウサギは何回も繰り返さないと覚えられなくなった原因が、シータ波が出にくくなったからではないか?と考えられるということです。

先ほども述べましたが、シータ波は外界に興味を示している時に現れます。
要するに、年齢を重ねると外界への興味が薄れるのではないかと考えられるわけです。

ヒトでも年齢を重ね、いろいろ経験を積んでくると、昔はワクワクしていたことにでも、ついつい「そんなことやらなくてもわかるよ」とか「どうせ、この前と一緒でしょ」とか「こういうことってよくあるよね」って思うようになったりしませんか?
これが、記憶力を落とす原因の一つのようです。
気をつけます。

元ネタはこちら
http://www.pnas.org/content/102/37/13284.abstract.html

脳とこころの豆知識 - 記憶と学習

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です