ものごとを要領よくテキパキこなすなためには、『段取り力』が大切とされています。
段取り八分といわれるくらい、効率よく仕事をしようとすると段取り力が重要になってきます。
この段取り力は、先を読む力ともいわれています。
着地点、つまりどこを目指すのか、何を実現したいのかという目的を明確にし、そこまでの道を描き、それに沿って行動するということが大切です。そのために目的から逆算してものごとを考える必要があるのです。
この着地点、つまり目的を決めるのに必要になってくるのが先を読む力です。この先を読む力は、ものごとを多角的に幅広くとらえるということが重要です。
実際、ミシガン大学ビジネススクールのサンチェス・バーグス教授らの研究によると、意思決定のときにポジティブな感情とネガティブ感情両方を合わせて持っている人、つまり期待と不安の両方を持っている人のほうが先を読む力が高かったそうです。
さらには複数の事象の関連付けができるというのも、ものごとの全体像を把握するという意味では欠かせません。これらの能力を発揮するには空間認識の力が重要になってきます。
さらに、前頭前野のもっとも前にある前頭極が障害されると、新しい状況において複雑な行動をきちんと段取りを立てて制御して行えなくなるということが分かっています。この部位は、行動の優先順位を決め、次にやるべきことをきちんと記憶して行動をやり遂げるということに関係しています。
前に述べた空間認識の力というのは、どういう形の物体がどこにあるのか、動いているならその方向はどうか、複数ある場合はお互いの位置関係はどうかなどを直感的にすばやく感知する能力のことを言います。
そして、この空間認知能力を鍛えるには、姿勢を正すことが重要です。
というのも、ある意味、自分の姿勢を認識すること自体が、空間認知の一種であるとも考えられるからです。
姿勢を認識するということは、自分という空間の中で、それぞれの身体のパーツを意識し、自分の手や足、頭がどのような位置にあるのか、背筋はどうか、首の傾きや肩の位置はどうかなどを把握するということです。
それができて初めて、姿勢を整えることができます。
実際、空間認知に関係する頭頂葉が障害された方の中には、障害された脳の反対側の自分の身体の存在を認識できない半側身体失認(はんそくしんたいしつにん)という症状をきたすかたもいます。
脳の取扱説明書 p196
Laura Rees et.al. The ambivalent mind can be a wise mind; Emotional ambivalence increases judgement accuracy. Journal of Experimental Social Psychology 49(3) May 360-367,2013