パワーハラスメント

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6月21日の都議会でのヤジが問題になっていますね。

ごく一部にヤジは議論を活発にするために必要だという意見もありましたが、建設的な話し合いをするという点においては、思い込みを排して相手の話を冷静に聴くということがもっとも重要になります。

発言の内容以前に、話の途中でヤジを飛ばす行為は、その人の話を聞くという姿勢がない、つまり最初から建設的な話し合いをする気持ちのない行為と受け取られてもしかたがありません。

権力者は、時として正しくない行為に走りやすくなります。
職場でのパワーハラスメントが社会問題となり、2012年1月には厚生労働省がパワーハラスメントの定義付けを含めた、予防や解決の取り組みについての報告書を発表しています。

では、どうしてこういう問題が起きるのでしょうか?
権力者は他者の状況や感情に対する共感性が低くなると言われています。
権力的な地位にある人は、他の人を判断する際に、ステレオタイプ的判断を行いやすく、一般化しやすいそうです。

ノースウェスタン大学のAdam Galinskyらによる実験です。
被験者に自らが大きな権力を手にした経験、あるいは自分に何の権力もないと感じた経験のいずれかを語ってもらいます。
そして、その後に「E」の文字を書いてもらうと、権力を手にした経験を語った被験者の方が、文字を他人から見て左右逆に描く傾向がはるかに強かったそうです。これは、権力を手にすると、世界を他者の視点から想像することが難しくなるせいではないか…と推測されています。

さらには、権力者は偽善的傾向を持ちやすい、という事を別の実験から主張しています。
一方のグループには、仕事の交通費を不正請求する行為は、倫理的にどの程度悪事にあたるかを9段階で評価してもらいます。

もう一方のグループには、さいころを使ったゲームに参加してもらいます。被験者は他人には見えないところでサイコロを振り、サイコロの出た目に応じて、決まった枚数の宝くじを各被験者からもらえます。つまり、出た目が大きいほど、もらえる宝くじも増えます

前者の実験では、権力を手にした経験を事前に想起していた被験者の方が、交通費の不正請求に対する倫理的評価は優位に厳しかったそうです。
ところが、サイコロのゲームでは、権力を想定したグループの被験者では、サイコロの出た目の平均値が偶然のレベルを平均20%も上回っていたそうです。つまりは、虚偽の数字を申告した可能性が高い…という事です。

次のような報告もあります。
約束の時間に遅れてスピード違反をする行為に関して、両グループにしたところ、権力を想起したグループは自分が当事者の時より他人が当事者の時に、より厳しい評価を下す傾向を一貫して示したそうです。他の人は法律に従うべきだが、自分は重要人物で重要な行動をしているから、スピード違反にも適切な理由があると感じやすい、というのです。

要するに、正しい行いは何かという事を知っていても、自分が権力を手にしていると感じると、倫理的誤りを正当化しやすいようです

これはあくまで傾向です。権力者にもいろいろな方がいます。
権力者本人が自分はどうありたいのかを忘れず、意識的に行動していく必要があるのかもしれません。

職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021hkd.html

脳とこころの豆知識 ― 不合理な行動

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