シエスタ(お昼寝)

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昼食後、じ~っと座って、しゃべることなく何かをしている時というのは、眠くなることが時々あります。こういう時には、地中海沿岸の国々にある「シエスタ」というお昼寝の習慣が何ともうらやましく感じがします。
実は、お昼寝には意外な効果があるようです。
なぜ食後に眠くなるのか、お昼寝をするとどんないいことがあるのかをまとめてみました。

【目次】
1. どうして食後に眠くなるのか
2. お昼寝で健康になる
3. お昼寝で仕事の効率アップ
4. 他にもあった。お昼寝の意外な効用


1. どうして食後に眠くなるのか

 お昼ご飯を食べた後、睡魔に襲われるという経験がある人もいると思います。
これは、食べたものを消化するために消化管に血流がいって、脳の血流が減るからともいわれていますが、実は他のメカニズムがあるようです。

確かに食後は食べたものを消化するために胃や腸といった消化管の血流は1.5倍~2倍に増えるとされています。でも実は、食後でも脳の血流はそんなには変わらないそうなのです。
では、消化管で血流が増えたかわりにどこの血流が減るのかというと筋肉なのだそうです。
人間とはいえ動物ですから、満腹になれば食料を探すために動き回る必要がなくなって、筋肉への血流が減るというのは納得です。

じゃあ、脳への血流が変わらないのなら食事の後になぜ眠くなるのでしょう。
それには、オレキシンという物質が関係しているのではないかと考えられています。
この物質は、食欲を促す物質と言われていて、空腹になると視床下部から分泌されます。
要するに、お腹がすくとオレキシンが増え、何か食べたいという欲求がでてくるというわけです。

さらに、このオレキシンには、睡眠と覚醒のコントロールをしたり、交感神経の活動を活発にして体のエネルギー消費を促進するという働きがあるそうです。
そして、突然の睡眠発作をきたすナルコレプシーという状態は、このオレキシンがなくなるとおこることもわかっています。

ナルコレプシーとまではいかなくても、満腹になってオレキシンの量が減ることで、日中に耐えがたい眠気がくる可能性があるということです。

では、食後の眠気を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか?
実は、オレキシンを増やす食べ方というのがあります。
『食事を味わって食べる』ことでオレキシンの分泌が盛んになるそうです。

2. お昼寝で健康になる

お昼寝は健康にとっても効果があるそうです。
というのも、シエスタ(お昼寝)の習慣がある国では、心臓病の発症が少ないことがわかっています。

2007年ギリシャ、アテネ大学のデミトリオス・トリホプロス博士が、シエスタと心臓病発症との関係性について報告しています。

20~86歳までの健康な男女、23,681人を約6年間にわたって追跡調査しました。
週に2回、約30分間の昼寝をすると心臓病の発症が12%減少し、週に3回以上昼寝をした場合には、なんと37%も減少したそうです。

眠気を感じた時に無理せずに仮眠をとることで、目覚めた後の意識レベル、注意力があがり、スタミナや運動能力、仕事の効率が向上するとも言われています。

3. お昼寝で仕事の効率アップ

昼寝20分で8時間分のスタミナがつくとも言われ、「パワーナップ」と呼ばれています。
これは、米コーネル大学の社会心理学者、ジェームス・マースが提唱する睡眠法です。
アメリカでは、かなり浸透しているようです。
たとえば、アメリカ海兵隊はパトロール前には必ず「パワーナップ」を取ることを義務づけています。他にも、とくに頭を使うエンジニアを抱える企業では「パワーナップ」を積極的に導入しており、仮眠専用ポットを設けているところもあるそうです。

この「パワーナップ」は世界的企業で制度として続々と採用されています。
スポーツ用品メーカーの「ナイキ」、検索最大手の「Google」、アイスクリームで有名な「ベン&ジェリーズ」、インターネットサービスの「AOL」など、社員用の静かな仮眠部屋を用意し、「パワーナップ」の活用を奨励しています。

日本でもさいたま市にある住宅リフォーム会社のオクタが、「パワーナップ制度」を導入しているそうです。事前申請は不要で、各自が眠くなったタイミングで、デスクに枕をおいて寝ていいのだとか…。
羨ましい。他の日本の企業も、もっと積極的に導入してほしいものです。

4. 他にもあった。お昼寝の意外な効用

カリフォルニア大学の心理学者サラ・メドニック助教授によるとお昼寝の効果は以下の通りです。
1. 目覚めが良くなり、生産性があがる
2. 20分の昼寝は、朝20分寝るより8時間ぶんのスタミナがでる
3. ストレスホルモンのレベルが下がるため、ストレスの軽減につながる
4. 昼寝によって脳みその使い過ぎから脳回路を保護する
5. NASAは、30分のパワーナップが認知能力を40%増加すると発表
6. 心臓疾患にかかるリスクが減少
7. 記憶力が向上する
8. 活動的になる
9. 創作意欲を上昇させる

ブラームス、エジソン、アインシュタイン、チャーチル、サッチャー、クリントンといった人たちも、よく仮眠をとっていたと聞くと、本当に効果がありそうですよね。

http://www.nips.ac.jp/…/sk…/series/entry/2010/05/post-4.htmlhttp://www.md.tsukuba.ac.jp/basic-m…/pharmacology/orexin.pdf

脳とこころの豆知識 - 睡眠

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