言葉の不思議Harmonista
ふだん何気なく使っている言葉ですが、不思議な表現もありますよね。
例えば、苦い思い出、甘い記憶といった全く味と関係がないことに甘いや苦いといった味を表す言葉が使われます。しかも、これって英語でも「sweet memory」と言ったりなど結構多くの国で共通しているんです。
経験や感情を「味覚」に例える方法は、日本語のみならず、多くの言語に共通して見られることがわかっています。実は、こういう表現が使われるようになったのも単なる偶然ではないかもしれません。
この心理表現と味覚の関係性を調べた人がいるんですね。
トロント大学のAndersonらによってされた実験です。
苦味、塩味、酸味という三種類の水溶液を舐めてもらって、顔面から筋電図で筋肉の電気的信号を測定して、顔のどの筋肉が収縮しているのかを調べました。すると苦味の場合だけ、鼻のわきにある上唇挙筋という筋肉が収縮したんですね。
それで、次に何をやったかというと、様々なシーンの写真を見た時の上唇挙筋の筋電図を測定し、その筋肉が収縮するかをみました。そうすると嫌な写真を見た時にもこの上唇挙筋が収縮することがわかったんです。
つまり、嫌な写真を見ると苦味を味わった時に似た表情になるということです。
「苦虫を噛み潰したような顔」って表現もありますしね。実際に感じている嫌悪感が強いほど筋肉の収縮も強かったそうですよ。
どういうふうに言葉ができてきたのかはわかりませんが、言葉って不思議ですね。
元ネタはこちら
http://www.nikkeibp.co.jp/article/nba/20091124/196997/?ST=career&P=1
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19251631
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