女性ホルモンと認知症の関係

女性ホルモンと認知症の関係Harmonista148

先日、「女性ホルモンと認知症の深い関係」という記事が出ていました。
そこでは、1980年代と90年代にアメリカで行われた研究による「エストロゲンが多いと認知症にならない?」という報告が取り上げられていました。
実際、エストロゲンには脳細胞を守る作用があることがわかっています。

残念ながら、その後にアメリカで行われた大規模臨床治験(Women’s Health Initiative Memory Study)でエストロゲン単独療法やエストロゲン+プロゲステロン治療がむしろ認知症のリスクを増やすことがわかりました。

これには、治験対象者が65歳以上と高齢であったことから、すでにエストロゲン不足状態にすでに10年以上という長い期間さらさらされたことが問題であったのではないかという意見もありました。個人的には、だったら有意差を持ってリスクが増大するという結果は出ないんじゃないかとも思いますが…。

そこで、出てきている意見が「脳内で作られるエストロゲンの濃度」が関係しているのではないかということです。
脳と血液には、ウイルスなどの外敵から身を守るために「血液脳関門」というバリアがあります。このため、全ての物質がこのバリアを通過できるわけではないのです。

実際、胎盤由来のエストロゲンは、血液脳関門を通過しないと言われています。
実は、エストロゲンは身体のいろいろな器官で作られています。脳でも作られているんですよ。そして、アルツハイマー病の方では、脳内のエストロゲン濃度が低いという報告があります。

現代は、ストレスによりホルモンバランスが崩れているとも、環境ホルモンの影響でエストロゲン優位となっているとも言われていますが、そのせいで脳内でのエストロゲン産生に影響がでてきているのかもしれませんね。日頃のホルモンバランスに気をつけたいものです。

元ネタはこちら
http://apital.asahi.com/article/kasama/2013030700016.html
http://www.env.go.jp/chemi/end/endocrine/

脳とこころの豆知識 ― その他

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