どこまでが自分なのか~身体認知~

どこまでが自分なのか~身体認知~Harmonista154

私たちが車を上手に運転するには、車幅を正確に感覚として捉えている必要があります。
実はこの機能、脳が自分の身体の形状を正確に把握していないからこそ可能なのではないかとされています。ちょっと意味不明ですよね。

私たちは、自分の筋肉や関節からの位置覚と呼ばれる感覚情報によって自分の身体の各パーツの相対的場所を認識しています。つまり今、どの関節をどのくらい曲げ、どの筋肉をどれくらい収縮させているのかをその感覚神経によって把握しています。

この位置覚などの感覚情報と実際に目で見た情報をもとに、自分自身をモニターし、自分の身体の「輪郭」を創造しています。実際、位置覚に異常があると目を閉じた時にバランスを崩して立っていることができなくなります。顔を洗う時にふらつくことで気づかれることが多いので「洗顔現象」と呼ばれています。

つまり、自分が自分の身体として認識している輪郭というのは、私たちが思っているよりもあいまいなものなのです。
私たちが車を運転している時には、実は身体の輪郭は車全体に拡張して捉えられているそうです。
私たちは、視覚や感覚などいろんなものをモニターしながら身体の輪郭が車全体になる感覚を掴んでいきます。だから慣れた車では車幅がなんとなくわかるんですね。

テニスや野球、ゴルフでも同じです。テニスの時は自分の手の輪郭がラケットまで延長しているそうですよ。

実はこのことを調べた実験があります。サルでですが...。
1996年理研脳科学総合研究センターの入来博士らがロンドン大学神経学研究所と共同で行った実験です。サルに熊手で物を取る訓練をさせ、脳の活動を調べました。
サルが熊手で上手に物が取れるようになった時、物を取る指を担当する神経の大脳皮質を調べたところ、熊手の先端部分に反応したそうです。

(『脳の取扱説明書』p124)
http://www.riken.jp/pr/press/2009/20091006/

脳とこころの豆知識 - 私たちが見ている世界はみんな同じなのか

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です