胃腸の健康は心身の健康につながる

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「すべての病は腸から始まる」と、医学の父と呼ばれているヒポクラテスも言っていますが、
腸は重要な働きをしています。
食道から腸まで続く消化管は「腸の脳 (gut brain)」として知られる独自の神経系を持っていて、脳とは独立して機能しています。

さらに、消化管は脳とも密接に関係しています。
迷走神経と呼ばれる脳神経を介して脳からの指令が消化管に行くだけではなく、消化管の出すホルモンが血流にのって脳へと運ばれ、脳に大きな影響を及ぼしています。

実際、腸は気分や感情、免疫系、さらには長期的な健康に関する化学的作用に影響を与えるということがわかっています。そのためか、科学者の中には、腸のことを「第2の脳」と認識している人たちもいます。

Pankaj Jay Pasricha教授らは、生まれたばかりのマウスにアルキル化剤(0.1%のヨードアセトアミド)を口から与えて、一時的に胃に炎症を起こさせるという実験をしました。

胃の炎症は一時的なものなので、すぐに良くなります。ところが、8~10週後、つまり胃の炎症がすっかり治っている時期においても普通のマウスとは違いがみられました。
胃に刺激を与えたマウスでは、泳ぐ運動をさせても普通のマウスより早くやめてしまうなど、うつ状態や不安の大きい行動を示したそうです。

他にも、消化管に指令を送っている迷走神経を刺激することで、うつ状態の改善や記憶力向上、てんかん症状が改善したという報告もみられます。

実際、迷走神経を刺激することで、理由はわかりませんが海馬でBDNFやFGFという神経細胞の栄養因子が増えるという報告や前頭葉でのノルアドレナリンが増えるという報告もあるそうです。

ちなみに、BDNF(brain derived neurotrophic factor; 脳由来神経栄養因子)は神経細胞の生存・分化、神経回路の発達・機能などの調節に必須で、精神神経疾患(うつ病、統合失調症、発達障害、アルツハイマー病など)との関連も示唆されています。
FGF (Fibroblast growth factors: 繊維芽細胞増殖因子)は海馬の機能を活性化し、記憶力を向上させる働きがあります。食後2時間半くらいがピークだそうです。

脳を活性化したいと思ったら胃腸にも気を配った方がいいということなのかもしれません。

Gastrointestinal research provides food for thought

脳とこころの豆知識 ― 幸せになるために

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