【目次】
1. 子どもはどうして甘いものが好きなのか
2. 好き嫌いができるわけー味覚嫌悪学習(ガルシア効果)-
3. 好き嫌いの克服法ーかっこいい名前をつけるー
私たちの味覚には、甘味、酸味、苦味、塩味、うま味という5種類の受容体があります。
人間だけでなく、脊椎動物は5種類全てを感じることができますが、なぜかネコ科は例外で甘味を感じられないそうです。
そして、この甘味の受容器は、食物検出器と考えられています。
というのも、甘味のある食物は、ふつうは栄養があり、安全であることが多いからです。
そのためでしょうか、子どもは甘いものが好きな傾向がみられます。
ちなみに塩味は身体に必須な塩化ナトリウムを検出し、うま味は重要な栄養素であるたんぱくに含まれるグルタミン酸を検出します。
また、食べ物の好みは年とともにかわります。たとえば、子どもは酸っぱいものや苦いものが苦手な傾向があります。
実は、これにはちゃんとした理由があるのです。
酸っぱいもの、つまり酸味は、本来、微生物による発酵が進んでいて毒素を出していたり、果物でもまだ熟していなかったりすることがよくあります。
そして、苦味のある食物には、毒性を持つ植物アルカロイドが含まれていたりもします。
つまり、この二つ(特に苦味)は、本能的に避けられる味とされています。
そのためか、苦味は他の味に比べて、ごくわずかな量でも感知することができます。
まぁ、自分の身を守るために備わっているものともいえるのでしょうか。
では、どのようにして、私たちは酸っぱいものや苦いものが好きになっていくのでしょうか?
これは、食体験を通して好きになっていくと考えられています。
つまり、お父さんやお母さんが目の前で、酸っぱいものや苦いものを美味しそうに食べているというのが大切なようです。そのことによって、酸っぱいものや苦いものが、安全でおいしいものであることを学習していくのです。
だから「大人の味」というのかもしれません。
2. 好き嫌いができるわけー味覚嫌悪学習(ガルシア効果)-
調子が悪い時に何か食べた直後に気持ち悪くなったり、吐い
これは、実験で調べられています。なんと『味覚嫌悪学習(ガルシア効果)』という
1967年にGarciaとKoellが報告したラットを使って調べた実験です
ラットに、食べるとすぐに具合が悪くなる物質を入れた甘い液体を
食物を食べて吐き気を催した場合、生き残るためには、それが毒か
その結果、私たちは毒かもしれない魅惑的な食べ物を避けることが
これは生き残るためには大切なことです。そのため、たった1回の
しかも長い年月続く、堅固な学習効果を持つそうです。
アメリカ西部の農家では、羊を守るためにこれを利用しています。
どういうふうにしているかというと...コヨーテを殺す代わりに
当然、コヨーテは、それを食べて、具合が悪くなります。すると、
コヨーテは羊の肉を避けるようになります。その結果、コヨーテは
脳の取扱説明書 P116
3. 好き嫌いの克服法ーかっこいい名前をつけるー
子供たちに喜んで野菜を食べてもらうために何か工夫した
かわいい形にしたり、すりおろして野菜と分らなくしてみ
もっと簡単な方法で野菜を食べる量が増えるかもしれませ
その方法とは…『野菜にかっこいい名前を付ける』という
いくらなんでもそんなことで…と思うかもしれませんが、
アメリカのコーネル大学のワンシンク教授が行ったもので
子供たちに2日連続でニンジンを食べてもらいます。
一方のグループは、特に何の工夫もなくニンジンを出しま
もう一方のグループは、ニンジンに「X-ray vision carrots」という何ともよくわからないけれど、ア
すると、同じニンジンにもかかわらず、ニンジンにかっこ
使っているニンジンは同じで、単に名前を変えただけです
しかも、この実験のすごいところは、それだけではないん
なんと、この効果…持続性があるんです。
一度、かっこいい名前のついたニンジンを食べた子供は、
もしかして、子供って単純でかわいいよねって思いました
残念ながら…大人も単純でかわいいんです。
あるレストランで「シーフードフィレ」という名前の料理