嗅覚は、他の感覚器官との大きく違って、その受容体の種類がとても多く、およそ1,000種類もあり、2万種類の匂いを識別できると言われています。
その匂いの中で、基本的な匂いと言われるのが8つあり、樟脳臭、魚臭、麦芽臭、ハッカ臭、じゃこう臭、精液臭、汗臭、尿臭がそれにあたります。
通常、香りがヒトに働く場合には、薬理作用と心理作用があって、特に心理作用が強いとされています。これは、嗅覚だけは直接、感情を司る大脳辺縁系に情報がいくためではないかと考えられています。
たとえば、コーヒーの香り。これは寝不足の脳に効くとされています。
産業技術総合研究所のラクワル博士が行った実験です。
正常なネズミと、24時間睡眠を奪った寝不足のネズミを使って行いました。
寝不足になるとストレスから脳を守り、神経細胞の成長を促す神経栄養因子受容体やグルココルチコイド誘導受容体、熱ショックタンパク質といった遺伝子の発現が減るということがわかっています。
つまり、寝不足になるとストレスに対して弱い状態になってしまうということです。
そのため、当然、寝不足になるとイライラしやすくなります。
そこで、24時間眠らせなかった寝不足のネズミに対して、飼育箱にコーヒーの香りを噴霧し他場合としなかった場合を比べてみました。
すると、驚くことにコーヒー豆の匂いを嗅いだネズミは、先ほどの減っていた遺伝子の発現が、部分的にではありますが、改善していたそうです。
嗅脳の起源は古く、5000万年前に魚類で進化が始まったとされているくらい原始的な脳にすでに組み込まれています。
とはいえ、さすがにネズミには、ヒトほど心理的効果はないのではないかと考えられています。
つまり、今回の結果は、コーヒーの香りがもたらした心理的効果が影響したというよりは、純粋にコーヒーの香りの薬理的効果によってもたらされたのではないかと考えられるわけです。
元ネタはこちら
Seo HS et. al J. Agric Food Chem 2008 Jun 25; 56(12):4665-73. doi: 10.1021/jf8001137. Epub 2008 Jun 3.
Effects of coffee bean aroma on the rat brain stressed by sleep deprivation: a selected transcript- and 2D gel-based proteome analysis
下記も参考に
コーヒーの効果・飲み方・注意点
http://matome.naver.jp/odai/2138448896118114001