ワーキングメモリー

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私たちが情報をどれくらい処理できるかには、個人差があります。この情報を処理する能力が、前頭前野が強く関与するワーキングメモリー(作業記憶)と呼ばれるものにあたります。
これは、「ちょっとだけ覚えておく」記憶のことで、「脳のメモ帳」とも呼ばれ、私たちが日常生活を送るうえで大切な働きをしています。

短期記憶との違いは、「同時に複数の情報を処理するときに働き、1つの情報を忘れないように持ち続けながら、別の情報の処理も行う」ということです。
情報を集めて総合的に処理する作業台のようなものともいわれています。

この機能があるおかげで、「相手に聞かれた質問を覚えておいて質問に答える」、「本を読んでいるときに登場人物や前のページの場面を覚えていて話の内容を理解する」ということができるわけです。

ワーキングメモリーの容量が少ないと処理できる情報の量は少なくなります。処理する情報の量がワーキングメモリーの容量を超えるとちょっとしたことでミスをしたり、忘れっぽくなったり、怒りっぽくなったりします。

たとえば、「鍋を火にかけていたら、電話がかかってきて、火を消し忘れた」「買い物中に話しかけられ、何を買うのか忘れてしまった」というのがそうです。

たとえ、ワーキングメモリーの容量が充分にあっても、抱える情報量が多過ぎた場合にも同じことが起こります。

ワーキングメモリーという概念を最初に提唱したのが、イギリスのアラン・バッドリーです。彼がラクビーの実況放送を聴きながら自分が車の運転をしている時に、実況放送に熱中するあまり車の運転が難しかったことから思いついたそうです。

このワーキングメモリーに重要な役割を果たしているのが、前頭連合野、特に背外側部です。
そして、このワーキングメモリーを調整しているのが、ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンなどといった神経伝達物質です。

そのせいかもしれませんが、セロトニンが低下するうつ病では一時的にワーキングメモリーが低下し、本人としては「記憶力が悪くなった」と感じます。
他にもドーパミンとノルアドレナリンの働きを邪魔する物質を投与するとワーキングメモリーが低下し、ドーパミンを補給すると改善すると言われています。ただし、ドーパミンが多すぎてもいけないみたいで、この辺はバランスが大切と言えると思います。

脳の取扱説明書 p74

脳とこころの豆知識 - 記憶と学習

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