恋愛がもたらすもの

恋愛がもたらすものHarmonista148

恋はときに人を変えます。
恋がもたらすものとその理由についてまとめてみました。

【目次】
1. 恋がもたらす嬉しい変化
2. 好きな人の前だとキャラが変わるわけ
3. 人はなぜ自分と違うタイプの人を好きになるのか
4. 恋に破れたとき脳の働きはどうなっているのか


1. 恋がもたらす嬉しい変化

1) 脳が活性化する
Syracuse大学のStephanie Ortigue教授が行った研究です。
Journal of Sesual Medicineに報告された論文によると、「恋に落ちる」と脳の中の12もの部位が活性化され、オキシトシンやドーパミン、アドレナリン、バソプレッシンといった幸福感をもたらすホルモンが増加するそうです。
なんと、高度な認知機能にまで影響を与えるそうです。
恋をすると神経成長因子が増えるという報告をしている研究者までいます。

2) 心拍数が落ちる
「恋愛」がホルモンレベルに影響を与えて、血圧や心拍数が落ちるそうです。
つまり、身体はリラックスした状態になるということです。

3) 怪我をしてもそこまで痛くない
スタンフォード大学の研究によると、恋愛によって活性化する脳の部位の1つが「痛みを和らげる薬」のような役割をはたすそうです
この部位がしっかり働くので、けがをしてもそこまで痛みを感じないということのようです。

4) 何を食べても甘く感じる
恋をしていると、味覚まで変わるようです。恋をしているときは、何を食べても甘く感じるそうです。

5) 声が高くなる
恋をしている女性が、好きな男性に話しかける時に声が高くなるということが、Journal of Evolutionary Psychologyに報告されました。

いかに心の状態が、私たちの身体に影響を与えているかがわかりますよね。

元ネタはこちら
http://www.womenshealthmag.com/sex-and-relationships/effects-of-love

2. 好きな人の前だとキャラが変わるわけ

恋は人生の偉大なミステリーの1つと言われています。
MRIを用いた実験によると、人が恋している人を見た時の脳の働きは、明らかに友人たちを見た時と違うそうです。

恋している人の写真を見ると本能的な感情に関係する島(とう)の中間部、幸福感をもたらす薬でも活性化される前部帯状回(ぜんぶたいじょうかい)、報酬を与えられた時に活性化される線条体が活性化するという報告があります。
おもしろいことに抑うつ状態の時に過剰に反応するとされる前頭前野(ぜんとうぜんや)も活性化するそうです。

特に恋愛の初期では、好きな人の前だとホルモンの値も変わってくるそうですよ。
そのため、好きな人の前だとキャラが変わってしまうのではないかとされています。

アメリカ・ブリンマーカレッジのメリッサ・ホールガー氏によると、恋愛の初期にいるひとたちは、幸福感や満足感に関係するセロトニンの値が低くなるとされています。
さらに、ストレスに敏感に反応して増加するコルチゾールの値は高くなっているそうです。

セロトニンは、心のバランスをとり、幸せを感じるのに大切な働きをしています。うつや不眠症、強迫性障害などでは、セロトニンの値が低いこともわかっています。
意外なことに恋愛初期の状態というのは、単純に幸せな気持ちでいっぱいというのではなく、不安で不安で仕方がない。そういう生理的・心理的状態だというのです。

そして、どうしても好かれたい、嫌われたくないという思いが、ストレスの原因でもあるコルチゾールを上昇させるのではないかと考えられるのです。
そして、その不安やストレスを解消するために、自分自身を自分らしくない、違ったキャラに変えてしまうそうです。

元ネタはこちら
好きな人の前だとキャラが変わるわけ
http://serendip.brynmawr.edu/bb/neuro/neuro01/web2/Hoegler.html

3. 人はなぜ自分と違うタイプの人を好きになるのか

人はなぜ自分と違うタイプの人を好きになるのでしょうか?
それに対するおもしろい報告があります。

私たちは、ウイルスや細菌、癌細胞などを異物(自分と違うもの)として認識し、排除するための機能が備わっています。
これに重要な働きをするのが、MHC (主要組織適合性複合体)と呼ばれるものです。
これは人によって異なります。つまり、人によって病気のなりやすさが変わってくるという事です。

では、どういう人が病気になりにくい(異物を排除しやすい)MHCを持っているかというと…お父さんとお母さんのMHCの性質が似ていない人だそうです。
それで、不思議なことに人間も含め、異なったMHCの人に惹かれるという性質が自然と備わっているようです。

そこで、自分と異なるMHCを持っているかどうか…という判断をくだすときに使っているのが匂いです。
というのも、このMHC実は、匂いのサインに関係のある遺伝子とセットだと考えられています。

以前にもふれましたが、私たちには血がつながっているかどうかを匂いで判断する能力があります。これはMHCの自分と違うものを認識する働きによるものではないかとされています。
そして、実際に自分と違うMHCの人をより魅力的に感じるというデータもあります。
数多くのTシャツのうち、そのTシャツを着ていた人のMHCが自分のものと違っていた場合、男女ともに異性の臭いをより魅力的に感じたそうです。

ただ、おもしろいことに、この原始的だけど合理的ともいえる能力はピルの服用によって低下するそうです。
ピルを服用している女性は、たいてい自分と似たMHCの男性の臭いを魅力的と感じるそうです。
なんだか不思議ですね…

4. 恋に破れたとき脳の働きはどうなっているのか

研究者というのは、どこまで探究心が強いのでしょうか?
なぜこういうことまで調べようと思ったのか…理解に苦しみます。

ラトガーズ大学の自然人類学者ヘレン・フィッシャーらが行った実験です。
なんと失恋した男女17人の脳の活動をfMRIを使って調べています。
それにしても17人とはいえ、そういう時に実験に協力してくれる被験者がよく集まりましたよね。

一般的に失恋すると次の2段階の反応を踏むとされています。
最初は、絶望、恐怖、怒り、孤独、切望といった激しい感情が渦巻き、
相手を取り戻そうと必死になります。
そしてこの時期を過ぎ、諦めの時期になると抑うつ状態になるのです。
その最初の激しい感情が渦巻く時期に脳がどうなっているのかということに興味をそそられたようです。

そして得られた結論は、ドーパミンを作りだす中脳の腹側被蓋野(ふくそくひがいや)という場所が活性化していたそうです。
ドーパミンはやる気を起こさせ、注意を喚起し、目標に集中させる働きがあります。
ただこれが生産的に働くのではなく、激しい感情の燃料となっているのです。

そして何かを慕い、切望する時に関係する側坐核も活発になっていました。
どうも恋愛は依存症の特徴をたくさん持っているようだと結論付けていました。

以前、ペルーに行った時にガイドさんが、「この国は日本より貧しく、職に就けない人も多いけどそれを理由に自殺する人は、ほとんどいない。
自殺する理由のほとんどが失恋だ」と言っていたのを思い出しました。
もしかして、国によっても多少違うのかもしれません。

脳とこころの豆知識 ― その他

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