涙には人を癒す効果がある

涙には人を癒す効果があるHarmonista108

私たちに感動を与えてくれたオリンピックも昨日閉会式を迎えました。
選手たちと一緒になって、涙した人も多いのではないでしょうか?

実は、私たちが流す感動の涙には、ストレスを癒す効果があるらしいのです。
一口に、涙といっても、流す涙にも違いがあります。

涙は、以下の3種類に分けられます。
1つめは、ドライアイ防止や角膜保護のために常に分泌される「基礎分泌の涙」
2つめは、玉ねぎを刻んだ時や目にゴミが入った時に防御のために出る「反射の涙」
3つめは、悲しみや感動で流す「情動の涙」

そしてこの情動の涙…というのが、ストレス軽減に有効に働きます
なんと、週末に1回涙を流すことで大幅にストレスが軽減されるそうです。
残念ながら、玉ねぎを刻んで泣いても、全く効果はありません。

William H. Frey Ⅱは、「感情が高ぶった時になぜ人は涙を流すのか?」という問いに対して、感情的緊張によって生じた化学物質を体外に除去するためではないか…という仮説をたてました。で、実際に涙の性質を調べたわけです。
すると、感情が高ぶった時の涙では、タンパク質濃度が高かったそうです。

実際、そういう時の涙には「ランナーズハイ」などの快感をもたらす、いわゆる脳内モルヒネ「β-エンドルフィン」の一種である「ロイシン-エンケファリン」やストレスホルモンが含まれるとされています。
そして、それが排出されることによってスッキリするのではないかと推察されているのです。

東邦大学の有田らは、情動の涙を流す時の心身の変化を調べています。
ちなみに、情動の涙を流してもらうために用いたのは、「フランダースの犬」と「火垂るの墓」。定番ですね。

20人中のうち、9割が途中で泣いたそうですよ。さすが、感動の名作です。
そして、泣く1~2分前に脳の「前頭前野」という場所の血流が緩やかに増え、10~20秒前から急増します。それと同時期から血圧と心拍数の増加も見られたそうです。

では、その時の本人はどう感じていたのでしょうか?
心理テストによると、泣いた人では緊張や不安、混乱、怒りなどの度合いが小さくなって、「すっきりした」との感想も目立っていました。

逆に、うつになると泣けなくなるという報告もあります。
認知療法の創設者である米国のアーロン・T・ベック博士の開発した抑うつの度合を測定する評価尺度を見てみると、「以前は泣けたのに、今は泣きたくても泣けない」という項目に、抑うつを示す配点が高くなっています。

理性ばかりを働かせて感情を抑え込んでいると、感情をつかさどる脳の大脳辺縁系の働きが抑制されて、感情の吐露ができなくなることも関係しているのかもしれません。
自分の感情を抑えることなく、素直に表現することで、ストレスは少なくなるのかもしれませんね。

元ネタはこちら
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO54914050R10C13A5MZ4001/

脳とこころの豆知識 - ストレス

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