継続は力なり

継続は力なりHarmonista146

私たちの脳は、大人になってからでも変化していきます。
よく使う機能は発達し、使わない機能はだんだんと廃れていってしまいます。
このような脳の変化を脳の可塑性(かそせい)と言います

実は、この可塑性にも短期的なものと長期的なものがあります。
たとえば、何かを習得しようとして練習している時のことを考えてください。
しばらく練習すると少し上手になります。
ただ、そこで練習をやめてしまうと当然またもとの状態に戻ってしまいます。

ところが、同じ練習を長い間行ってコツをしっかりつかんだ場合はどうでしょう?
ちょっと休んだからといって、もとの状態になったりはしません。
ちゃんとコツは覚えたままです。

このように、脳にも何かの刺激によって一時的に生じる変化とほぼ永久的に生じる変化があります。

ふだん、楽器を演奏しない人たちに対して行った実験があります。
右手で複雑なパターンの旋律を電子ピアノで弾いてもらいます。
これを1日2時間、5日間連続で練習します。すると、かなり上手に弾けるようになります。

その時の脳の活動を調べると、練習の後では練習前と比べて右手指の運動に関係する脳の領域が拡大したそうです。
ただ残念なことに、この脳の変化は翌日には消え、前日の練習前と同じ状態に戻ってしまいます。つまり、脳の変化は一時的なものだったのです。

ここからが、この実験のおもしろいところです。
この被験者たちを2つのグループに分けます。
半数はピアノの練習を一切やめます。
そして、残りの半数は、同じパターンの練習を1日2時間、月曜日~金曜日まで、4週間にわたって練習してもらいます。

当然、練習をやめたグループでは、右手指の運動に関係する領域は、実験前と特に変化はありませんでした。
ところが、4週間練習を続けたグループでは、違っていたのです。
彼らは、最初の時と違い、2日間練習を休んだ後の月曜日の練習前であっても、右手指の運動に関係する領域が大きいままでした。

最初は、一時的な脳の変化だったものが、積み重ねによって、より長期的なものになったということです。
まぁ、予想通りとも言えますが。
私たちは何かを習得するとき伸び悩む時期があって、そこを超えると一気に進むというのもこういうことからなのかもしれません。

脳の取扱説明書 p156

脳とこころの豆知識 - 記憶と学習

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