子どもは自分勝手で自分の感情のおもむくままに行動します。それが普通の状態です。
それに付き合う大人は大変かもしれませんが、そこで無理に感情をコントロールさせようとして怒るというのは、子どもにとってはあまりよくないようです。
とうぜん子どもとは毎日いっしょにいるわけですから、ときには感情的に怒ってしまうのも仕方がないことだとは思います。子どものために自分だけが感情をおさえつけるのには無理があります。
ただ、大人の自分たちも感情をコントロールするのが難しいということは、子どもはもっと難しいということでもあります。
【目次】
1. なぜ子どもは感情的なのかー前頭葉の発達との関係ー
2. 2歳ごろにかんしゃくを起こすわけ
3. 未成年者の前頭葉機能特性を生かしたネットいじめ対策
4. 子どもの精神の発育に取り入れたい遊び
1. なぜ子どもは感情的なのかー前頭葉の発達との関係ー
前頭葉は生後6カ月からゆっくりと発達し始めます。
前頭葉は物事を推理したり、判断したり、考えたりする場所です。そして、感情をコントロールする働きがあります。
1歳ころになるとこの前頭葉の発達によって、感情を司っている大脳辺縁系の衝動を少しずつコントロールできるようになってきます。そのため、おもちゃを2つ見せてもどちらか1つを選ぶことができるようになるとされています。
ただ、この前頭葉が完全に成熟するにはかなり時間がかかります。神経の突起を包む髄鞘が完成するのは、なんと成人してからと最も完成が遅い領域でもあります。髄鞘は情報を素早く伝えるのにとっても重要です。ようするに髄鞘があるのとないのとでは、情報の伝わる速度が全く違うということです。
そのため、前頭葉から大脳辺縁系に指令が伝わるのが遅いのです。なので、青少年というのは、理屈より感情で動きます。それで、青少年の方が感情的だったり、衝動的だったりするのです。
だから、小学生くらいの子供が自己中心的で、感情をコントロールできないのはごく普通のことです。
そのため、その時期の子供に「怒っちゃだめよ」「泣くんじゃない」「我慢しなさい」と言って、感情を抑えるようなことを言っても、どだい難しいわけです。
確かに、そういうふうに子供に言う事で、自分でコントロールできるようにはなります。しかし、それは「親から怒られる」という不快な状況から逃れるために無理をして演じているのではないかと言われています。
つまり、本当に理性の部分で抑えているのではないということです。
2. 2歳ごろにかんしゃくを起こすわけ
1歳を過ぎると「まんま」「ブーブー」「わんわん」など
ですが、実際、言葉を話したり、理解したりするための脳
ひとことに言葉といっても、話すことができる言葉と理解
脳では、まず最初に言葉を理解する場所であるWerni
言葉を話すのに関係するBroca野は、その後すこし遅
そのころだと「理解している言葉」は「話すのに使う言葉
つまり、その頃は、言葉は理解できるんだけどうまく話せ
実際、子どもより理性的なはずの大人でさえも、脳梗塞など
まして、前頭葉が充分に発達していない子どもの場合は、よ
とはいえ、日々、大変なことも多いとは思いますが、まぁ
3. 未成年者の前頭葉機能特性を生かしたネットいじめ対策
この未成年者の前頭葉の特性を活かし、ネットいじめをなくす試みがなされています。
先日、Facebookで14歳のトリーシャ・ブラブさんが未成年者の9割から侮辱的投稿をなくす方法を発見したという記事を見かけました。
http://spotlight-media.jp/article/107425973137199662?utm_source=fb_share&utm_medium=sp&utm_campaign=facebook
そもそものきっかけは、帰宅した彼女が耳にしたニュースです。
それは、フロリダに住む13歳の女の子が、SNSを通じたいじめを苦に自宅近くの給水塔から飛び降り自殺をしたというものでした。
最近は、こういったSNSを使ったいじめが増えています。
残念ながら、日本でも状況は同じです。
彼女はこの未成年者の脳の特性に注目しました。
前頭葉がしっかり発達していない未成年者では、いろいろ考える前に衝動的に行動しやすいため、12~18歳では、19歳以上の人たちとくらべ、4倍も侮辱的言葉を投稿しやすいことがわかりました。
なので、投稿する前にいったん立ち止まってもう一回、考えてもらうためのシステムというのを考案したのです。
具体的には、「本当に投稿しますか?」の警告文を出すようにしたのです。
警告文を出した場合と出さなかった場合でどう違うのか、1500件ものデータを比べました。
すると、警告文を表示した場合、93%もの人が侮辱的コメントを取りやめたそうです。
つまりは、一瞬の感情で行動してしまっていて、それがどういう意味を持つのかということを考えていないということです。
被害者にとってはたまったもんじゃありませんが、出来心なのです。
未成年者は成人よりも被害者になる可能性も加害者になる可能性も大きいということでもあるのかもしれません。被害者を救うだけではなく、加害者となりその後ずっと悩む子供たちをも救う手段になるでしょう。
法律で『少年法』という青少年を保護するものがあります。これは、脳の発育上、まだ感情をコントロールすることが難しい年頃であるという観点からも妥当だと言えます。
ただ、これがかなり悪質で計画的な凶悪犯罪となると『感情をコントロールできないために犯罪を犯してしまった』とは考えにくくなってしまいます。こうなると、話は別になります。若いので今後の関わり方によって更生の可能性があるという人道的立場からの判断になってくるでしょう。
4. 子どもの精神の発育に取り入れたい遊び
小学生までの間で推奨されている遊びは、自然や動物と触れ合い、五感を刺激してあげることだそうです。悲しい・嬉しいなどの感情は素直に表現させてあげ、好奇心のままいろんな体験をさせてあげることが大切とされています。
子供の時に楽しい遊びをたくさん経験することが、脳の発育ひいては精神の発育にとって欠かせないものとなってくるのです。