私たちが、「テレビを見ながら勉強する」、「人と話をしながらメールをする」などといった、いくつかの事を同時に行うときには、1つのタスクを単独で行ったときよりもどちらのタスクもパフォーマンスが落ちてしまうといわれています。
中には、同時に行っても、それぞれのタスクの効率が落ちない人もいますが、それはたった2パーセント。
本来、脳は2つ以上の事に同時に十分な注意を払うというようにはできていないのです。
ある研究によると、運転中に携帯電話で話している場合には、たとえハンズフリー装置を使用していたとしても、両方に完全に注意を払う事は出来ないと言われています。
実際、運転中に携帯電話で話している人は、法律で酒気帯び運転とされる人と同じ程度の注意力しかないことがわかっています。
電話に注意を向けると、運転に重要な脳の視覚機能の働きが低下してしまうのです。
電話に注意を向けると、運転に重要な脳の視覚機能の働きが低下してしまうのです。
おもしろいのは、これは自動車の中で同乗者と話す時には、特に問題にならないそうなのです。
というのも、同乗者と話す場合には、渋滞になったり、雨が降り始めたり、車線を急に変えたりするときには、どちらも静かになるか、話すのをやめるからです。
さらに、一度に一つのタスクをする人に比べ、いくつものデジタル情報にさらされた人は、注意を払ったり、記憶を制御したり、話題を変えたりする能力が低いとされています。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校のラッセル・ボルドラックによると、
いくつものことに注意を向けている(注意が散漫になっている)ときには、新しい技の学習に関わる『線条体』が活性化しており、
そうでないときは、情報の保存や想起に関わる『海馬』が活性化しているそうです。
同時にいくつものことを効率よくやっている人っていうのは、実は、その時その時で1つの事に十分注意を払い、集中していて、ただ単に注意の切り替えがとても上手なのかもしれません。
ドラッガーは、「成果を上げるための秘訣を1つだけ挙げるならば、それは集中である」と言っています。
1つずつ丁寧にやっていきたいと思います。