効果的な頼み方

効果的な頼み方Harmonista1391557_520912564660115_1793966811_n

何かちょっとしたことを頼むとき、一工夫することで頼みごとをきいてもらいやすくなります。

【目次】
1. もっともらしい理由をつけるーカチッサー効果ー
2. 頼み事は右側から


1. もっともらしい理由をつけるーカチッサー効果ー

心理学者のEllen J. Langerが行った実験(コピー機の心理実験)です。

コピー機の順番待ちの列の先頭へ行き、次の3通りの言い方で頼みます。
1. 要求のみを伝える 「すみません。5(20)枚なのですが、先にコピーをとらせてもらえませんか?」
2. 本物の理由を付け足す 「すみません。5(20)枚なのですが、急いでいるので先にコピーをとらせてもらえませんか?
3. もっともらしい理由を付け足す 「すみません。5(20)枚なのですが、コピーをとらなければいけないので先にコピーをとらせてもらえませんか?」

枚数が5枚の場合、要求のみの承諾率は60%であるのに対し、本物の理由を付け足した時の承諾率は94%。
驚くことに、もっともらしい理由を付け足した時でも、承諾率は93%だったそうです。
よ~~く考えてください。コピーをとらなければいけないから…っていう理由ですよ。そもそもコピーをとる必要がなかったらコピー取りに来ませんよね。

ただ、枚数が20枚になると結果は変わってきます。
要求のみの時の承諾率は24%であるのに対して、本物の理由を付け足した時の承諾率は42%。そして、もっともらしい理由を付け足した時の承諾率は要求のみの時と同じ24%だったそうです。

つまりは、人に何かものを頼むときに「~してもらえますか?」と言うよりも「~なので、~してもらえますか?」と理由をつけると承諾されやすいということです。

特に、些細な頼みごとの場合は、頼みごとの内容とあまり関係のない理由でも承諾されやすいようです。このように、ある働きかけによって、深く考えることなしに、ある行動を起こしてしまう心理現象のことをカチッサー効果と言います。
カチッサーの語源はテープレコーダーのの再生ボタンのカチッという音と砂嵐のサーという音なんだとか…。

The Mindlessness of Ostensibly Thoughtful Action: The Role of “Placebic” Information in Interpersonal Interaction. Journal of Personality and Social Psychology 1978, Vol. 36, No. 6, 635-642
http://jamesclear.com/wp-content/uploads/2015/03/copy-machine-study-ellen-langer.pdf

2. 頼み事は右側から

ちょっとしたお願いごとであれば、右耳から頼んだほうが、頼みごとを聞いてもらいやすいそうです
これは、右耳からの情報が入る左脳のほうが楽観的で何でもできると判断しやすいからだと考えられています。なんと2倍という報告もあります。

イタリアのアブルッツォ州の都市ぺスカラのダンスクラブで行われた実験です。
テクノミュージックに声をかき消されないように、調査員の女性はぴったりと身を寄せて、「ねえ、煙草を1本いただけない?」と声をかけます。

右側から話しかけられた場合は88人中34人が煙草を差し出しました。
それに対し、左側からの場合は88人中17人しか煙草を差し出さなかったそうです。

これは、人間の両耳から入る音が脳内で別々に処理されているからではないかと推察されています。右耳から入った情報は左脳へ、左耳から入った情報は右脳へ行きます。

この実験を行ったイタリアのG・ダヌンツィオ大学のDaniele Marzoli氏とLuca Tommasi氏は、右耳から左脳に入った情報は積極的な感情に同調し、左耳から右脳へ入った情報は否定的な感情に同調しているからではないかと推察しています。要するに右耳から話しかけると、その言葉は頼みごとを受け入れやすい左脳に送られていくというわけです。
それにしても、なんともイタリアっぽい実験ですね。

さすがに右耳のそばでというのは難しいかもしれませんが、ちょっとしたお願い事は右側から頼むと聞いてもらいやすいかもしれません。

脳の取扱説明書 p20

脳とこころの豆知識 ― ビジネス

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