前頭葉の機能~フィネアス・ゲージの症例から~Harmonista
先日、持ち運びに使っていた小さなマウスが壊れました。年に1回のペースで買い換えている気がします。
家で使っているマウスは、電池を替えながらもすでに6、7年もっているんですけどね。持ち運ぶ時の扱いが雑なのでしょうか。
それはともかく、私たち人間の脳と他の動物の脳の最大の違いは前頭葉にあると言われています。この前頭葉ですが、鍛えるには物を丁寧に扱うのが良いそうです。
前頭葉の機能に関しては、19世紀まで何の働きをしているのか全く分かっていませんでした。この前頭葉の機能に注目が集まるきっかけとなった有名な症例が、フィネアス・ゲージです。
彼は鉄道労働者で、仕事熱心で非常に前向きな性格だったそうです。
しかし、1848年9月13日に作業中に起きた爆発事故で状況は一変します。
その事故によって飛んできた鋼鉄の杭がゲージの頭を貫通したのです。その事故によって彼は、前頭葉、特に情動の制御に重要な役割を果たす腹内側前頭前野(ふくないそくぜんとうぜんや)と呼ばれる部分の大半を失ってしまいました。
このような大きな事故にも関わらず、彼は一命を取り留め、歩行にも問題はなく、話をすることも可能なまで回復しました。しかし、それ以来彼は別人のようになってしまったそうです。
有能で誰よりも部下から慕われていた彼はいなくなってしましました。
幼稚で、無責任で、注意力にかけ、酒におぼれるようになったのです。
担当医は、彼のことを「どうしようもなく頑固になるくせに、気分が変わりやすく、いざとなると二の足を踏む。将来の計画を立てはするが、すぐに変更して、結局お流れにしてしまう。知的能力や感情面は子供だが、動物的な性欲という意味では成人男性だった」と評しています。
前頭葉は「人を人たらしめる脳」とも言われています。
前頭葉は、何かを計画し、考え、注意を払うという機能だけではなく、他人に共感し、社会的に適切な行動をとることや自発性に関係している場所です。
また、簡単な事でも心を込めて作業することで、活性化するとも言われています。
もう少し日々の生活をていねいに行っていきたいと思います。
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