あくびはうつる~ミラーニューロンの働き~

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私たちが他人の行動を理解し、共感するのに重要な働きをすると言われているのが、私たちの脳にあるミラーニューロンという神経細胞です。
このミラーニューロン、発見されたのが、1996年と比較的最近です。

イタリアにあるパルマ大学のGiacomo Rizzolattiらが、マカクザルの特定の動きを調べている時に見つけたものです。マカクザル自身がエサをとる時だけでなく、実験者がエサを拾い上げる時にも同じような活動をする細胞があることに気づきました。これがミラーニューロンです。

このミラーニューロン、ヒトでは生後12か月ころまでに発達し、他の人の行動を理解することを助けているというふうに言われています。

しかし、残念ながら自閉症スペクトラムの方たちでは、このミラーニューロンが十分に活動していないことがわかっています。実際、成人になった自閉症の人の脳では、ミラーニューロンがあるとされる場所の大脳皮質が薄いという報告もあります。

そのため、他人に対して興味がわかず、他人の気持ちに共感し、他者を理解するというのが難しくなるのではないかと考えられています。

よく「あくびがうつる」と言いますが、自閉症の人たちではそのような現象は少ないとされています。またこれも調べた人がいます。

2007年にSenjuらが行った実験です。
子供たちに「他人があくびをしている」ビデオを見てもらいます。
健康な子供たちは、ビデオをみると直後にあくびの発生率が上がりました。ところが、自閉症の子供たちは他人があくびをしているビデオを見てもあくびがうつらなかったそうです。

しかし、この「あくびがうつる」という現象、4~5歳になるまでは起きないそうです。
つまり、この現象が起きるためには、脳の『社会性』や『共感』に関係する場所が発達している必要があるということです。

では、ミラーニューロンが活発に働いていると、どうして相手の心理を理解することができるのでしょうか?
ここで言われているのが、シュミレーション説です。私たちは、無意識のうちに観察している他者の気持ちをシュミレートすることで理解しているのではないかというのです。

そのせいかもしれませんが、この「あくびがうつる」という現象、実は、自分との関係性が近く、親しいほど起きやすいそうです。

2011年にイタリアの研究者たちが世界中の100人の男女を対象に行った実験があります。
レストランの中や職場、待合室などでの彼らの様子を観察します。
そして、ボランティアの一人にそこであくびをしてもらいます。
すると、半径3メートル以内の人が3分以内にあくびをしたそうです。

そして、この「あくびがうつる」という現象、人種や性別には関係ないそうです。
では、何が関係あったかというと…二人の親密度だったのです。
あくびをした人とあくびがうつった人の関係が近ければ近いほど、早くあくびがうつったそうです。

家族、友人、知り合い、他人の順番で、あくびが早くうつったそうです。

実は、あくびをする動物というのは、たくさんいますが、この「あくびがうつる」という現象があるのは、人間以外では、ヒヒやチンパンジー、たまに犬にもみられるものの、ごく一部に限られているそうです。

自閉症スペクトラムとは...
http://ja.wikipedia.org/wiki/自閉症スペクトラム

http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-2590936/Could-yawn-reveal-partner-REALLY-loves-you.html

脳とこころの豆知識 ― その他

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