変えたいと思っても、自分の意識を変えるというのはなかなか難しいものです。
そういうときには、簡単な行動から変えてみるとよいかもしれません。
行動が変わると意識が変わるということはよくいわれていますが、脳の性質からもこれは理にかなっています。
というのも、脳には自分の中に矛盾したものがあるとそれを自動的に修正するという性質があるのです。
つまり、行動と意識が矛盾している場合、それを自動的に修正してくれるのです。
とってしまった行動というものを変えることはできません。そのため、その行動に合うように感情(意識)を変えてしまうのです。
それを示すショッピングの実験があります。
同じくらい気に入った洋服Aと洋服Bがあり、さんざん迷った挙句に洋服Aを買ったとします。
そして、洋服Aと洋服Bについて、どれくらい気に入っているかのアンケートに答えてもらいます。
すると、洋服Aを買うと決めた後では、決める前と比べて洋服Bの評価が低くなったそうです。
ところが、気にはいっているけれども、洋服Aや洋服Bほどではなく、買うかどうかあまり悩まなかった洋服C。これに関しては、洋服Aを買うと決めた後でも評価は変わらなかったそうです。
これは、もちろん洋服に限った話ではありません。
団体に入会するために儀礼がある場合、厳しい儀礼を受けて入会したほうが、その団体に対する好感度があがるという実験結果もあります。
つまり、「こんなに厳しい儀礼を受けてまで入会したんだから、この団体が好きに違いない」と思ってしまったというわけです。
ちょっとした行動の変化が意識を変化させる一歩につながるのかもしれません。
認知的不協和 (Cognitive dissonance) Festinger (1957)