つい傍観者になってしまう~バイスタンダー効果~

つい傍観者になってしまう~バイスタンダー効果~Harmonista43

自分がやらなくてもきっと誰かがやってくれるだろう…そういう気持ちになったことはないですか

その場にいる人数が多ければ多いほど、傍観者となり、自ら行動を起こさないという心理現象のことで、バイスタンダー効果(bystander effect: 傍観者効果)という名前までついています。

これは、1964年にニューヨークで起ったキティ―・ジェノヴィーズ事件がきっかけとなって発見された心理現象です。
この事件はかなり衝撃的で、深夜に自宅アパート前でキティが暴漢に襲われた時、彼女の叫び声で周辺の住人38人が事件に気づき目撃していたにもかかわらず、誰一人として助けに行かず、警察に通報もしなかったそうです。

心理学者のラタネとダーリーは、これは目撃者が大勢だからこそ起ったことなのではないかと考えて、それを調べる実験を行っています。
学生2名、3名、6名のグループに分けます。
相手の様子がわからないように1人ずつ個室に分け、インターフォン越しに討議をします。そこで、1人が途中で発作を起こす演技をします。
2名のグループでは全員が行動を起こしたのに対し、6名のグループでは38%の人が行動を起こさなかったそうです。

別の類似の実験もあります。アンケート中に密室の部屋で煙が発生するという状況で、報告するかどうかを調べた実験です。
1人の場合、75%の人が報告したのに対し、2人では38%、10人だった場合には10%にも満たなかったそうです。

これは、以下の3つの考えによっておこるとされています。

  1. 多元的無知 – 他者が積極的に行動しないことによって、事態は緊急性を要しないと考える
    「みんなが動かないってことは、たいしたことじゃないんじゃない」って思ってしまう
  2. 責任分散 – 他者と同調することで責任や非難が分散されると考える
    「みんなもしないんだから、自分もしなくってもいいよね。自分だけの責任じゃないし…」と思う
  3. 評価懸念 – 行動を起こした時、その結果に対して周囲からのネガティブな評価を恐れる
    「みんながしてないのに、自分だけしたら変な人って思われるんじゃないかな…」と思う

脳とこころの豆知識 ― 不合理な行動

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