親しい人が別人にみえる~カプグラ症候群~

親しい人が別人にみえる~カプグラ症候群~Harmonista45

美しい景色や芸術作品を見て心を動かされたことはありますか?

見ているだけで幸せになったり、癒されたり、いろいろな感情が出てくることもあると思います。
これは、視覚野が情動を司る扁桃体と結びついているからではないかと考えられています。

では、この結びつきが、事故や病気などによってなくなってしまったら、私たちの世界はどうなるのでしょうか?

見ているものが味気なくなるのもそうですが、もっと深刻な問題が出てくる場合もあるようです。
カプグラ症候群という珍しい症状があります。認知症の方でもときおり報告が見られます。

これは、ごく親しい人を見た時…例えば、お母さんを見た時に、「この人は母にそっくりだけど、母じゃあないんだ。偽物と入れ替わってしまった」と主張し、場合によっては本物のお母さんを探そうと懸命に努力したりするといった症状です。

これは、通常、お母さんを見た時に生じるはずの情動反応が全く生じないため、何かが違うと感じ、偽物ではないか…と思ってしまうために生じるのではないかと考えられています。

そのため、実際お母さんが隣の部屋へ行き、その人へ電話を掛けた時などは、本物の母親であることを認識できることもあるそうです
これは聴覚野と扁桃体の結びつきが保たれている場合には、声を聴いた時に通常起こるであろう情動反応が起き、母親と話している実感が湧くからです。

ちゃんと見えているのに感情が動かない世界…寂しくないですか?
今、見ている世界を楽しみましょう。

下記も参考に
認知症の精神症状

脳とこころの豆知識 - 私たちが見ている世界はみんな同じなのか

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