私たち脳は、聞こえてくる音すべてを認識できるようにはできてはいません。
自分が興味のある話、つまり、注意を向けている話だけを聞いているといわれています。
この現象には、「カクテルパーティー効果」という名前がついています。
これがあるからこそ、人混みの中で自分の名前を呼ばれたときに気づくことができます。
この現象がなければ、周囲の雑音に紛れてしまい、同じような音の大きさで呼ばれている自分の名前を聞きとることは難しいでしょう。
これは、1953年に心理学者のCherry博士が提案した概念です。
私たちは、聞こえてくる全ての情報を同じように扱って処理しているわけではありません。最初にフィルターをかけてしまうのです。
それによって、自分に関係のある情報に注意を向け、その他の情報はどこか別のところにおいてしまうという選別をしています。
そのため、騒々しい中に身を置いているときにはちゃんと聞こえていたはずの友人たちとの会話や音であっても、それを録音して聞こうとすると雑音ばかりで聞き取れなくなってしまうのです。
実際に喧騒の中にいるときにはいろいろな方向から音が入ってきます。ただ、私たちは、興味があるもの、つまりその音が入ってくる先にだけ注意を向けるということを無意識のうちにしています。そのため、聞きたい音だけを選んで聞き取れるのだそうです。
この選別作業には、言語野を持つ左脳が関わっていて、雑音をシャットアウトする働きをしているのではないかと考えられています。
この現象を逆の側面から考えると、自分には関係がないと思っていることというのは、近くでその話をされていても気づかないかもしれないということにもなります。
要するに私たちは、注意を払っていること、つまり自分に関心のあることしか聞いていないのです。
脳の取扱説明書 P62
元ネタはこちら
Some experiments on the recognition of Speech, with One and Two Ears