知らない人が知人に見える~フレゴリの錯覚~Harmonista
私たちの視覚は感情と強く結びついています。
そのため、美しい景色を見て心が揺さぶられたり、芸術作品を見て感動したりと心豊かな人生を送れます。
視覚と感情を結びつける経路が障害されると、私たちの見ている世界は味気ないものとなり、時にはごく親しい人を見ても感情が湧かないため、よく知っている別人だと思ってしまう事すらあります。
それは、本人にとってとてもつらい事ですが、それとは全く逆の現象も困りものです。
フレゴリの錯覚という名前がついている現象で、全く知らない人を見かけた時に、親しい誰かが変装していると思い込んでしまうのです。これは、外見が全く似ていなくてもそういうふうに思ってしまうようです。不思議ですよね。
これは、「既に知っている」という既知の感覚を呼び起こす右の大脳辺縁系の経路が活発になりすぎるためではないかという説があります。
典型的な例になると本当に大変です。
例えば、前の恋人とその彼女にいつも見張られていると感じ、苦しみます。2人がかつらをかぶったり、メガネや帽子で変装したりして、自分をつけまわしていると思いこんでしまったのです。
見ず知らずの人に変装をとるように食って掛かったり、警察に訴えたり、その2人を避けるために遠回りをして目的地に行ったりと、その感覚に悩まされ、日常生活に支障をきたしてしまいます。
そう思うと、知っている人を見かけた時にその人だとわかり、目にする自然や芸術に心を動かされてすごすことができるってステキな事ですね。
下記も参考に
認知症の精神症状
脳とこころの豆知識 - 私たちが見ている世界はみんな同じなのか