肥満大敵

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「肥満は万病のもと」といわれていますが、先進国、特に欧米では、飽食と運動不足を背景に年々肥満度が増してきています。
世界の男性の10%、女性の14%が肥満であると言われています
そのため、今や肥満は単なる健康不安を引き起こすだけではなく、社会問題にまで発展しています。

近年では、日本でも中高年のメタボリックシンドロームが増加しています。
40才以上の男性では2人に1人、女性では5人に1人がメタボまたはその予備軍といわれています。
そのため、2008年4月から特定保健制度が導入され、メタボリックシンドロームを予防し、高血圧、糖尿病、高脂血症といった動脈硬化の3大因子になるのを防ぐ取組みがされています。

成人病以外にもいろいろと問題を引き起こすとされている肥満。
肥満がもたらす問題についてまとめてみました。

【目次】
1. 太っていると余計に甘いものが欲しくなる

2. 太っていることを注意しても逆効果⁈
3. 太っていると認知機能が低下する⁈
4. 太っているとスパムメール被害にあいやすい


1. 太っていると余計に甘いものが欲しくなる

突然ですが、皆さま甘いものはお好きですか?

特に、女性は、『甘いものは別腹』というくらい甘いものには目がない方も多いですよね。
日本人は味覚が鋭いのか繊細な甘い味が好きな方が多いですが、これは文化だけのせいではないのかもしれません。
というのも、最近のアメリカの研究で、肥満症の人は甘味が感じにくいことが分かったからです。

ネズミを使った実験です。
甘味の刺激に反応する味覚受容体の数を太っているネズミと痩せているネズミで比較しました。
すると、太っているネズミでは痩せているネズミに比べて味覚受容体の数が少なかったそうです。
つまり、甘味を感じにくくなっていました。

実際、太っている人のほうが、より甘いものを求める傾向があることがわかっています。
そして、甘いものを食べて太った結果として、甘味を感じにくくなり、より甘いものを求めるという悪循環に入る可能性があるわけです。
もちろん、甘いものを求めた結果として太った可能性もおおいにあるでしょう。
卵が先か鶏が先かではないですが、甘いものを好きだったから太ったのか、太ったから甘いものが好きになったのかはともかく、いったん太ってしまうとより太りやすいサイクルに入ってしまうということがあるようです。

2. 太っていることを注意しても逆効果⁈

残念なことに、太っている人が、太っているという事実を周りから非難されるとストレスがたまって、ますます食べてしまうとういう調査結果があります。

ロンドン大学が50歳以上の男女約3,000人行ったものです。3-5年の間のBMI (Body mass index)とウェストのサイズの変化を調べました。この3000人の150人が太っていると周りから非難されていたそうです。

非難された人は非難されなかった人よりも若く、BMIもウェストサイズも大きく、不健康だったというのは、なんとなく予想通りという感じですが、非難された人の0.7%は標準サイズでした。

そして非難された人たちは調査期間の間にBMIとウェストサイズの増加をきたし、体重が減った人はいなかったそうです。なんと、非難されなかった人に比べると太っていることを他人に非難された人は、そうでない人に比べて6倍も太ってしまう可能性があるそうです。
つまり、もしかすると健康を気遣っていったはずの言葉が逆効果…ということになっているかもしれないということです。

3. 太っていると認知機能が低下する⁈

太っていると高血圧や糖尿病、高脂血症といった動脈硬化をきたす病気になりやすいことが分かっています。これらの疾患に関与してかもしれませんが、実は肥満になると認知機能が低下するという報告もあります。

2014年11月20日号のNational geographic newsに掲載されたものです。
オーストラリア国立大学の神経科学者ニコラス・チェルビン(Nicolas Cherbuin)氏らが報告したものです。

60代のボランティア400人を対象に行った8年におよぶ最新の研究から明らかにされました。
それによりますと、肥満体の被験者では、記憶に関係するとされている海馬が1年で2%近く小さくなっていた(萎縮していた)というのです。

その萎縮率というのは、アルツハイマー病に匹敵するそうです。
標準体重の人の海馬が小さくなる率というのが、太っていた人の半分と言いますから、相当なものです。
肥満度を示すBMIの数値が25.5以上の肥満体型の人は、BMIが20.5~22.9の適正値の人に比べ、認知症を発症するリスクが2.44倍にも昇るそうです。

4. 太っているとスパムメール被害にあいやすい

ブルックリンカレッジのジョシュアフォーゲル博士らが、肥満に関して衝撃的な報告をしています。体重に問題を抱えている人はスパムメール被害にあいやすいというのです
まぁ、そのスパム電子メールが減量製品の広告とのことなので、当然の結果かもしれません。しかし、それにしてもなんと体重の問題をもつ大学生のうち41%もの人がスパムメールを開いたそうです。
そして、18.5%の人がその製品を買ったそうです。

けっこう確率高いですよね。メール流しただけで2割近くの人が購入したわけですから。これは、ダイエット製品が売れるわけです。
日本でも健康食品市場はなんと2兆円規模。その中でもダイエット関連が多くを占めているそうです。だいたい広告も使用前と使用後で別人?って感じですものね。そりゃあ、気にしている人は飛びつきますよ。

そして、体重に問題を抱えている中でも特にダイエット製品に飛びついてしまいやすいのが、精神的ストレスを抱えている人です。精神的ストレスが大きいほどダイエット製品を買う確率が高かったそうです。
ストレスというのは、時に判断力を鈍らせます。
ダイエットサプリでの健康被害の報告もありますから、広告に飛びつかず、慎重に判断したいものです。

脳とこころの豆知識 ― 不合理な行動

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