抱っこして歩くと赤ちゃんが泣きやむわけ

抱っこして歩くと赤ちゃんが泣きやむわけHarmonista121

『泣いている赤ちゃんを抱っこして歩いたとたんに泣き止んだ』もしくは、『泣き止んでおとなしくなったと思ったので休んだらまた泣き出した』という経験をお持ちの方多いですよね。

実は、抱っこして歩くと赤ちゃんはリラックスして心拍数が下がることがわかっています。しかも、これはどうも人間だけではなく、哺乳類全般におこることのようです。

理研脳科学総合研究センターのGianluca Espositoらが行った実験です。
生後6か月以内の赤ちゃんとお母さん12組に対して行いました。
お母さんに赤ちゃんを抱いてもらい、その状態で約30秒ごとに「座る」「立って歩く」という動作を繰り返してもらいます。

すると、お母さんが歩いている時は、座っている時に比べて赤ちゃんの泣く量が約10分の1に、自分で身体を動かす動作が約5分の1になったそうです。
たった30秒でもそんなに違うんですね。

そして、その時の赤ちゃんの心拍数はというと、お母さんが歩きはじめて約3秒くらいで著明に低下したそうです。つまり、リラックス状態になったという事です。

マウスでも同様の実験をしています。ただ、お母さんマウスにこちらの意のままに赤ちゃんマウスを運んでもらうというのは難しいので、お母さんマウスのまねをして実験者が行っています。

離乳食前の赤ちゃんマウスの首の後ろの皮膚をつまみあげると、人間の赤ちゃんと同じように泣きやみ、あまり身体を動かさなくなります。心拍数は低下し、リラックスして、身体を丸めました。

そして、赤ちゃんマウスのこの反応に関係しているのが、小脳、触覚、固有知覚だったそうです。
そのため、これらのどれかが障害されるとお母さんマウスが赤ちゃんマウスを運ぶのに時間がかかったそうです。

つまり、野生の動物にとっては、抱っこして歩くとおとなしくなるという反応は危険から身を守るために重要な反応なわけです。おとなしくなることで逃げることに協力しているんですね。

人間にとっては、あまり必要とは思えない反応ではありますが、赤ちゃんは決してお母さんを困らせるためにやっているのではないのです。
むしろお母さんを助けるためにもともと備わっている行動の1つだったわけです。

元ネタ、および実験動画はこちら
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=VNCfbFEmwJI
http://www.riken.jp/pr/press/2013/20130419_2/

脳とこころの豆知識 ― 脳の発達から子供を理解する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です