手紙よりも電子メールの方が嘘をつきやすい

手紙よりも電子メールの方が嘘をつきやすいHarmonista77

最近、手軽に連絡を取る手段も増え、わざわざ手紙を書くという習慣がなくなっきました。
しかし、電子メールなどは、切手を貼ったり、投函したりという手間がかからず、気軽に相手に出せるというメリットがある一方、どうも人に対して嘘をつきやすくなるという特徴もあるようです。

デポール大学のCharles Naquinらが行った実験です。
ゲームには独裁者と受領者がいます。
独裁者は最初5~100ドルのお金をもらいます。そして、その一部を受領者に分けます。
当然、独裁者なので、分け与える金額は自分で決まられます。
つまり、少ししか分け与えなければ、その分だけ自分の取り分が増えるわけです。

しかし、受領者にもいちおう権限はあります。
それは、分け与えられた金額をもらうかもらわないかという選択ができます。
受領者が独裁者からお金を受け取らないと選択をすると、独裁者も最初のお金を没収され、お互いに何も受け取れなくなります。
もちろん、独裁者からもらった金額をそのまま受け取っても構いません。
つまり、受領者には、自分の配当金に納得がいかなかった場合、自分も受け取らない代わりに独裁者の報酬もなしにする権利があるという事です。

そして、今回のこの実験では、独裁者だけしか最初に受け取った金額を知りません。独裁者は、もしかしたら5ドルしか受け取っていないかもしれないし、100ドル受け取っているかもしれません。つまり、受領者には、自分がどれくらい不公平な扱いを受けたかがわかりません。

このゲームを48人の学生で行いました。
この時に独裁者は、受領者に元の金額を伝えます。
これを半分は手書きの手紙で、残り半分は電子メールで受領者に伝えるようにしました。

独裁者は、自分が多くの金額を手に入れようと受領者に対して嘘をついたそうです。
それが電子メールだと92%、手紙だと64%だったそうです。
電子メールなんて、ほとんどの人が嘘をついたってことですよね。個人的には、手紙の64%でも十分多いと思いますが…
そして、申告額ですが、こちらは電子メールでは平均30ドル少なく申告し、手紙の場合は21ドル少なく申告したそうです。
つまり、電子メールの方が手紙よりも、嘘をつきやすく、嘘をつく時により大きな嘘をつきやすいということです。

では、どうして電子メールと手紙で違いが出るのでしょうか?
Naquinは、これをBandulaのモラル離脱フレームワークで説明しています。
これは、『人はその行動の結果と心理的距離が離れていることで、標準的なモラルからより逸脱する』といったものです。
手紙を書いている時は、相手を思い浮かべたりして、相手を身近に感じているのかもしれません。
そう考えるとたまには心を込めて手紙を書いてみようと思います。

元ネタはこちら
http://www.avery.co.uk/vgnfiles/OP/en_gb/Projects%20&%20Ideas/Articles/Love%20Letters/love_letters_report.pdf

脳とこころの豆知識 ― 不合理な行動

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