産業医関係

産業医関係Harmonista産業医とは、事業場において労働者が健康で快適な作業環境のもとで仕事が行えるよう、専門的立場から指導・助言を行う医師を云います。

産業医学の実践者として産業保健の理念や労働衛生に関する専門的知識に精通し労働者の健康障害を予防するのみならず、心身の健康を保持増進することを目指した活動を遂行する任務があります。

労働衛生関係法規

働き方改革関連法の全体像

働き方改革を推進するための関連法律の整備に関する法律(平成39年の7月6日法律第71号)

背景:日本の人口は近年減少局面を迎えている。
2065年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率は38%台の水準になると推計されている。
・少子高齢化による労働力人口の減少→女性・高齢者の更なる活躍が必要

労働基準法

1. 時間外労働の上限規制
2. 年次有給休暇
3. 高度プロフェッショナル制度(特定高度専門業務・成果型労働制)
4. その他

じん肺法

労働者の心身に関する情報の取扱い

労働安全衛生法

1. 産業医・産業保健機能の強化
2. 面接指導等(新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務、高度プロフェッショナル制度に係る労働者に対する面接指導)
3. 労働者の心身の状態に関する情報の取扱い

雇用対策法

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律
労働時間等の設定の改善に関する特別措置法
短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
労働契約法

施行期日

多くの改正規定は、2019年4月施行。
項目によっては2024年4月までに順次施行。
中小企業における時間外労働の上限規制の施行日のは2020年4月1日である。

産業医の役割

  1. 就業の可否判断
  2. 健康障害リスクの評価
  3. 健康障害要因への予防的アプローチ
  4. 労働・健康へのポジティブなアプローチ

職場巡視

労働安全衛生規則

・衛生管理者の定期巡視及び権限の付与

第十一条 衛生管理者は、少なくとも毎週一回作業場等の巡視し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

事業者は、衛生管理者に対し、衛生に関する措置をなし得る権限を与えなければならない

・産業医巡視(平成29年改正) 産業医の定期巡視及び権限の付与

第一条 労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)の一部を次のように改正する。

第十五条第一項中「毎月一回」の下に「産業医が、事業者から、毎月一回以上、次に掲げる情報の提供を受けている場合であって、事業者の同意を得ているときは、少なくとも二月に一回」を加え、同項に次の各号を加える。

一 第十一条第一項の規定により衛生管理者が行う巡視の結果

ニ 前号に掲げるもののほか、労働者の健康障害を防止し、又は労働者の健康を保持するために必要な情報であって、衛生委員会又は安全衛生委員会における調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの。

参考)第十五条 産業医は、少なくとも毎月一回作業場を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するために必要な措置を講じなければならない。

職場巡視の目的

  1. 職場環境・作業の改善
  2. 適正配置に関する意見を述べるための職場の把握
  3. 衛生管理上の課題・問題点の把握
  4. コミュニケーション

職場巡視の効果

1. 違った視点で見ることにより、現場で気づいていない危険を発見できる

2. 各職場の良い点、悪い点を比較することにより、全体のレベルアップを図る

3. 法令や社内規定に違反していることを把握し、是正を求める

4. 職場巡視があるということで、緊張感が生まれる(行動、状態を意識する)

5. 職場を見に行くことて、職場の状態を良くする(整理整頓を実施するきっかけになる)

産業医に提供されるべき情報

A)長時間労働者に関する必要な情報

事業者が毎月1回以上、長時間労働に対する面接指導の対象に該当する労働者と、その労働者の労働時間数

B)週1回以上の衛生管理者の職場巡視の結果

C)健康への配慮が必要な労働者の情報

D)新規に使用する化学物質取扱い作業に関する情報

E)労働者の休業情報

上記の他にも、各事業者の状況に応じて衛生委員会などで調査審議して定める事項がある

職場巡視の実際

計画〜準備

職場巡視の計画

・法で定められた産業医巡視:月1回(2ヶ月に1回)
・確実に実行するために計画的な巡視を
・職場巡視の目的の明確化

日時、場所、メンバーの選定

職場巡視する場所や順路を決める

ーあらかじめ現場に連絡する
ー抜き打ちだけでなく大きく宣伝

必要な保護具は装備、着用する

ー安全帯、保護帽
ー保護めがね、保護手袋 など

使用する機器の点検

チェックリスト(シート)を作成しておく

巡視職場の情報収集

・事務所の職場巡視で事前に確認する内容
業務内容:有害作業の有無、設備の内容、保護具の必要性の有無

配置、人数、平均年齢
職場の責任者やその職場の衛生委員会の委員
作業環境測定の結果

災害発生状況の確認

・巡視後の健康診断結果の集計結果
対象職場の健康診断結果の集計結果
身体疾患やメンタルヘルス不調で就業上の配慮が必要な労働者の有無

有所見者の傾向

特殊健康診断の結果(有害環境下の作業実態)
時間外労働の状況

資料や機材の準備

・巡視をする職場や目的にあわせ、資料や機材を準備
作業着や保護具等、職場の状況にあわせた服装
デジタルカメラ
必要に応じてチェックリスト

・職場の環境を確認する場合:簡易の測定用具:照度計、簡易WBGT測定器、騒音計、スモークテスター、風速計

*WBGT測定器:Wet Bulb Globe Temperature 熱中症予防に用いられる指標

職場巡視の実践

職場巡視の実施

事後措置

問題点についての指導・助言

・巡視中に同行する職場の責任者に
・職場巡視終了時に確認の打ち合わせ
・巡視者が報告書の作成

職場による改善

・問題点の改善は、職場の責任で実施
・職場巡視報告書に対して、改善計画を回答した上で速やかに実行

改善結果の報告

・衛生委員会等で報告

職場のメンタルヘルス

ストレスチェック

実施方法

第66条の10 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師」という)による心理的な負担しての程度を把握するための検査を行わなければならない。

◯ 事業者は、常時使用する労働者について、1年以内ことに1回、定期的に、次の事項について検査を行うこと

・職場におけるストレスの原因に関する項目
・ストレスによる心身の自覚症状に関する項目
・職場における他の労働者による支援に関する項目

◯ストレスチェックは、ストレス要因、心身のストレス反応及び周囲の支援に関する3つの領域に係る項目が含まれている調査票を用いて行うこと。調査票は、事業者の判断により選択することができるものとするが、「職業性ストレス簡易調査票」を用いることが望ましいこと。

◯ストレスチェックの結果、心身のストレス反応の評価点数が高い者又は心身のストレス反応の評価点数が一定以上であって、ストレス要因及び周囲の支援の評価点数が著しく高い者を高ストレス者として選出すること。

☆効果的な実施方法

・やりっぱなしは効果なし
本人に結果を通知しても、労働者のストレス度は改善しない

・受検(健康管理)かつ、職場改善(作業環境管理、作業管理)を行ってはじめて効果が出る。

目的

・一次予防を主な目的とする
(労働者のメンタルヘルス不調の未然防止)

・労働者自身のストレスへの気づきを促す(義務)
→ストレスチェック結果を本人に返却
→高ストレス者には面接指導受診を推奨

・ストレスの原因となる職場環境の改善につなげる(努力義務)
→集団分析

外部リンク

職業性ストレス簡易調査票

東京医科大学HPより
職業性ストレス簡易調査票について

厚生労働省
長時間労働者、高ストレス者の面接指導に関する報告書・意見書作成マニュアル

睡眠障害

満足のいく睡眠がとれているか必ず問診する
睡眠の問題がある場合…
どのような睡眠の問題か特定する
・不眠、過眠、睡眠中の呼吸異常
・睡眠中の異常感覚・異常運動
・睡眠中の異常行動
・睡眠・覚醒できる時間帯の異常

性同一性障害

性のダイバーシティ:性の多様性を表す言葉として、近年、LGBTが使用されるようになっている

L:レズビアン、G:ゲイ、B:バイセクシュアル
→性指向(恋愛対象)

T:トランスジェンダー
→性自認(性別の自己認識)、人格の一部としての性のあり方

LGBTと心の健康

LGBにおいて、うつ病および不安障害のリスクが1.5倍、自殺企図が2倍、アルコールその他の薬物依存が1.5倍高く、特にLBの女性では、薬物依存のリスクが高い傾向があった(海外の調査から)
←周囲の偏見や差別などのがいてきなストレスに起因することが推測された

トランスジェンダーでは、自殺念慮、自殺企図、向精神薬の服用、問題飲酒の頻度が、トランスジェンダーではない男性や異性愛の女性と比較して高い傾向があった。

そのような傾向はトランスジェンダーとレズビアンのあいだには認められず、調査が行われた米国社会における女性差別が関係していると推測されている(海外の調査から)

トランスジェンダーとは…
通常の「男・女」の枠に当てはまらない性のあり方 または そのような性のあり方をする人

医療による援助が必要な場合
→「性同一性障害」という診断のもとで治療される

*改定によって精神疾患から外された
→性の健康に関連する状態 (ICD-11):性別不合
性別二元論に基づかない

*ジェンダーを考える上で大切なこと:
本人が自分自身をどう感じているか

社会的・文化的な文脈のなかで、今まで、そして現在をどのように生きてきたか、また、将来をどのように生きようとしているか
現実に生きている人間の全体像

作業環境管理

作業環境中の種々の有害要因を取り除いて、作業環境を適正な状態に保つことにより労働者の健康の確保を図る

対象

一般環境
気温、気湿、気流、採光、照明、騒音、一酸化炭素、二酸化炭素、給水、排水、清潔

有害環境
物理的要因:高温、低温、異常気圧、電離放射線、非電離放射線(赤外線、紫外線、レーザー光線)
化学的要因:粉じん、有害ガス、酸素欠乏、化学物質、有機溶剤、金属類
生物的要因:病原微生物(ウイルス、細菌)、衛生害虫(ダニ、シラミ)

作業環境改善のための工学的対策手法

1.有害物質の使用中止、有害性の低い原材料等の転換
2.有害物質の消費量の抑制
3.生産工程・作業工程の改良による発散防止
4.発散源となる設備の密閉等による発散防止
5.自動化・遠隔操作で有害物質と作業者を隔離
6.プッシュプル換気(局所排気を含む)による有害物質の発散防止(除去)
7.全体換気で有害物質の希釈(濃度低減)

職場における腰痛予防対策

平成25年6月19年ぶりに腰痛予防対策指針の改定がなされた

主な改訂事項・ポイント

◯ 介護作業の適用範囲・内容の充実
◯ リスクアセスメント、労働安全衛生マネジメントシステムの手法を記述
◯ 一部の作業について、職場で活用できる事例を掲載

腰痛予防対策指針のポイント

厚生労働省では、「職場における腰痛予防対策指針」(平成25年6月)において、福祉・医療分野等における看護・介護作業を対象として、腰に負担の少ない介助方法などを示しています。

・指針の対象には、高齢者介護施設、障害児者施設、保育所等の社会福祉施設、医療機関、訪問介護・看護、特別支援学校が含まれます。・訪問介護・看護の訪問先の作業環境について、事業者が各家庭に説明し、腰痛予防対策への理解を得るようにして下さい。

・原則、人力による人の抱え上げは行わせない方向での取組みを検討すること。(ノーリフティング原則の導入)

・「重量物の取扱い」と「人力による人の抱え上げ作業」を区別した考え方をとっている。(人力のみによって取扱う重量物の取扱いの目安は、男性は体重の約40%以下、女性は男性の60%くらいが適当であるとしている。)

・リスクアセスメント・労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)の考え方を導入すること。

腰痛を予防する5つの柱

① 作業環境管理

② 作業管理

③ 健康管理

④ 労働衛生教育

⑤ 総括管理(労働衛生管理体制)

熱中症予防

環境省熱中症予防情報

熱中症とは
熱中症は、高温多湿な環境下において、体内の水分及び塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして、発症する障害の総称であり、さまざまな症状が現れます。

熱中症環境保健マニュアル2018

両立支援

意義

労働者にとって…
疾病にかかったとしても、本人が希望する場合は、疾病を増悪させることがないよう、適切な治療を受けながら、仕事を続けられる可能性が高まる。

事業者にとって…
疾病による従業員の離職を防ぐことで、貴重な人材資源の喪失を防ぐことが可能となるとともに、従業員のモチベーション向上から、労働生産性の維持・向上にもつながる

医療関係者にとって…
仕事を理由とする治療の中断や仕事の過度な負荷による疾病の増悪を防ぐことで、疾病の治療を効果的に進めることが可能となる。

社会にとって…
疾病を抱える労働者の方々も、それぞれの状況に応じた就業の機会を得ることご可能となり、全ての人が生きがい、働きがいを持って各々活躍できる社会の実現に寄与することが期待される。

健康経営

「健康経営」とは、「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても、大きな成果が期待できる」との基盤に立って、健康管理を経営的視点で考え、戦略的に実践することを意味する。

Work Productivity and Activity Impairment Questionnaire: Generate Health V2.0 (WPAi:GH)
仕事の生産性及び活動障害に関する質問票:健康全般V2.0

両立支援とは

広義の両立支援:学業と部活、育児と仕事、介護と仕事…

治療と仕事の両立支援とは?

病院側:
仕事で抜けられないため外来予約を変更する
海外出張のため、長期処方する
患者さんの意思によって、治療方針を決定する

事業者側:
1. 外来受診後、仕事へ(フレックス制度)
2. 有給、休職
3. 働く人の意思によって、配置転換

*両立支援コーディネーター

*肝炎医療コーディネーター

外部リンク

国立がん研究センター

がん情報サービス

厚生労働省

治療と仕事の両立について

両立支援のひろば

平成28年度厚生労働科学研究費補助金がん対策推進総合研究事業(がん政策研究事業)「働くがん患者の就労継続および職場復帰に資する研究」

仕事とがん治療の両立 お役立ちノート

労働者健康安全機構

治療と仕事の両立支援

両立支援マニュアル