カテゴリー別アーカイブ: 私たちが見ている世界はみんな同じなのか?

不思議な感覚~共感覚という世界~

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私たちは同じものを見て、同じ音を聞いたときに、本当にみんな同じように見えたり聞こえたりしているのでしょうか?

もしかすると実際に見えている世界や聞こえている音さえも、人によって微妙に違うのかもしれません。

多くの人では、大人になるにつれ五感も専門性が決まり、1つの感覚受容期が1つの感覚を担当しています。
ところが、中には完全には担当が分かれていない人たちもいます。それが共感覚と呼ばれるものです。
これは、持っていない人からすると、とても不思議な感覚です。

私がその存在を初めて知ったのは、11年ほど前です。共感覚を持つ数学者ダニエル・タメットが書いた「ぼくには数字が風景に見える」というタイトルの本を本屋で見かけたのです。共感覚を持ち合わせていない私にとっては、このタイトルからしてまったく意味不明でした。

共感覚というのは、この本の題名にもあるように数字が色に見えたり、単語に味を感じたり、味が見えたり、音楽に色が見えたりと視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚といった感覚が混ざり合ってしまう状態をいいます。
といっても、共感覚のない人にはピンと来ないですよね。

でも、持っていない人からすると不思議な共感覚、実は赤ちゃんのときにはみんな持っていたのではないかともいわれています。
というのも、最近の研究の結果から光や分子、音波などあらゆる刺激はもともと2つ以上の感覚で認知される可能性があるらしいのです。つまり、目から入ってきた光の刺激から映像を見るだけでなく、音を聞いたり、肌で感じたりすることができていた可能性あるということです。

ただ、脳の成長に伴って、よく使う経路は発達し、使わない経路は廃れていきます。その結果として、視覚刺激に反応するよう領域は音によって反応することは少なくなり、ますます視覚情報のみが届くようになるというわけです。

これは、外から入ってくる刺激をすばやく識別し、攻撃から身を守る手段として発達するのではないかと考えられています。いちいち見ているものに音や香りを感じていたら、情報が多すぎて、判断する時に混乱して、とっさの行動しにくくなってしまいます。

そして、実は、この共感覚、芸術家では持っている人が多いとされています。ただ、その話をしても変な人と思われるとか周りに理解されないといった理由で、わざわざ他人にその話をしていないだけなのです。
私の周りにも共感覚を持っているけど誰にもいわなかったという人が何人もいます。

特に芸術家では、この共感覚を持っている人が多いそうです。
作家ウラジミール・ナボコフもアルファベットの文字の音に異なる色や質感を感じていたといわれています。独特の豊かで個性的な感性が情感豊かな表現を生み出すのかもしれません。

持っていない身からするとちょっと味わってみたい気もしますが、そのいっぽうで、場合によってはこの共感覚は、生活を難しくする場合もあるようです。数字が色に見える人の場合、違う色で数字が書かれていたりすると何とも不快な感じがするそうです。生活の中に数字は溢れています。しかもいろんな色がついて。いちいち不快に感じていたら大変ですよね。

脳の取扱説明書 p158

脳とこころの豆知識 - 私たちが見ている世界はみんな同じなのか

 

うつだと世界は灰色に見える

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私たちは気持ちによって見えている世界が少し違う可能性があります。
自分がどのように感じているのかを色で例えて、「バラ色の人生」や「お先真っ暗」と表現することがありますが、もしかするとこれは本当のことかもしれないのです。

ドイツのフライブルグ大学の研究チームが行った実験です
網膜スキャンを使って、さまざまな白と黒のコントラストに対する網膜の反応を測定しました。

その結果、うつ状態の人では網膜の反応が大幅に低下していたそうです。
しかも、うつ状態がひどいほど網膜の反応も低かったそうです。

つまり、うつ状態だと本当に「灰色の世界」を見ているという事です。

この研究を掲載した雑誌 Biological Psychiatryの編集長 John Krystal氏は、「詩人のWilliam Cowperは『多様さは人生のスパイス』と言っています。人はうつ状態になると、見ている世界のコントラストを感じにくくなり、世界が楽しくなるようだ」と述べています。

逆に、うつ状態の人や不安を感じている人にカラーチャートの中から自分の気分を表す色を選んでもらうとグレーを選ぶ場合が多いそうです。

『脳の取扱説明書』p103

Emanuel Bubl et.al. Seeing gray when feeling blue? Depression can be measured in the eye of diseased. Biological Psychiatry 68(2), 205-208, 2010

脳とこころの豆知識 - 私たちが見ている世界はみんな同じなのか

マガーク効果~共感覚が存在する証拠?~

31共感覚…って聞いたことがありますか?

以前にも触れましたが、数字が色に見えたり、単語に味を感じたり、味が見えたり、音楽に色が見えたり...と音、視覚、触覚、味覚、嗅覚といった感覚が混ざり合ってしまう状態を言います(詳細は下記参照)。

共感覚がない私には頭では理解できない世界ですが、記憶には残っていなくても子供の時にはみんな共感覚を持っていると言われています。もちろん、おとなになってからも持っていらっしゃる方もいます。

では、共感覚がないとは言っても、五感と言われる感覚が独立して存在しているのか…というと決してそうではありません。皆さんもきれいに盛り付けられた食事だと更においしく感じるという経験はあると思います。

共感覚がない人にも、視覚情報が聴覚情報に影響を与えているという事を示すものに『マガーク効果』と呼ばれるものがあります(体感したい人は下記リンク参照)。

「ダ、ダ、ダ」と発声している(ように聞こえる)男性の映像があります。
ところが、目を閉じて音声だけ聞くと「バ、バ、バ」と言っているのがわかります。
さらに、音声を消して口の動きを見てみると「ガ、ガ、ガ」と言っていると感じます。
音声情報が「バ」、視覚情報が「ガ」と情報が一致していないため、脳がつじつまを合わせようとして「ダ」と聞こえるようになるのではないかと考えられています。

もちろん、逆のパターンも知られています。複数の「ビー」という音を聞きながら一回の閃光をみると、光を何回も見たと感じることがあるそうです。

そして、それぞれの感覚が情動と関連する扁桃体に影響を与え、記憶として蓄えられ、次に似たような感覚に触れた時に私たちに様々な感情をもたらします。
私たちが身体を通して経験したこと…見たり、聞いたり、触れたり、味わったり、匂ったり…で、人それぞれ出てくる感情が違ってきているのでしょう。

自分の感覚に意識を向けてみませんか? 不思議な感情に気づくかもしれませんよ。

マガーク効果 – YouTube

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