顕在意識は右脳の考えを理解できない

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私たちは、自分たちが思っている以上に多くのことをわかっています。
よく私たちの意識のことを氷山を例に例えられています。私たちが認識できる顕在意識は、氷山の中の実際に見えている部分。そして、ほとんどが私たちの意識にのぼってこない水面下にある見えない部分の氷山です。

この現象はどうして起きるのでしょうか、捉えているはずの情報をどれくらい認識できていないのでしょうか、とらえている情報をキャッチするためにはどうしたらよいのでしょうか、そのことについてまとめてみました。

【目次】
1. 左脳は右脳の考えを理解できない
2. 左脳は自分のかすかな感情に蓋をするー感情が蓄積する理由ー

3. 左脳は常識に縛られているー分離脳症例からー
4. 左脳はこんなにも右脳のことを分かっていない
ー分離脳症例からー
5. 左手が私の邪魔をするーエイリアンハンドー


1. 左脳は右脳の考えを理解できない

私たちの脳の右と左では、別人格を持っていると言われています。そして、脳梁という場所を通して、右脳と左脳の情報のやり取りをしています。
しかし、普通、私たちは言語野がある左脳の声を主に聴いています。つまり、右脳が考えていることをなんとなく感じることはできても、はっきりと意識的に捉えるというのは難しいのです。

絵を見たり、音楽を聴いたりした時に「どこがどう好きなのか?って言われるとよくわからないけど、なんとなく好きだな…」って感じたり、人にあった時に「あの人、なんとなく好きじゃないかも…なんでって聞かれても困るんだけど…」って感じたりすることはないですか?

これは、右脳ではわかっているのに左脳がはっきりと意識できないためにおこっているのではないか?とされています。

私たちの周囲では、いろいろなことが絶えず起こり、私たちの脳には膨大な量の情報が入ってきています。この膨大な量の情報のうち、私たちが認識できるものというのは、ほんの一部です。残りはというと…私たちの中に入ってくるだけで何の印象も残してはいません。

2. 左脳は自分のかすかな感情に蓋をするー感情が蓄積する理由ー

自分の中で湧きあがってきた一時的な感情の変化においてでさえも、自分自身でさえ全く気付かないということさえあるのです。これも右脳で感じていることが、左脳にまで至っていないためとされています。

もしかすると、思いもよらない時になぜかイライラしたり、理由もなく憂鬱な気分になったりするのは、そういう事が積み重なったことで起きているのかもしれません。

私たちは、言語野がある左脳で起っていることを認識しやすい傾向があります。
そのため、左脳があまり働いていない時には、右脳の状態がそのまま反映され、かすかな気分の揺れを感じやすくなります。

逆に、本を読んだり、おしゃべりをしたりと左脳が活発に働いている時には、右脳で生じた悲しみや不安などの情緒的反応は抑えられ、一時的にそれらの感情が和らぐようです。しかし、これは、「自分の感情に一時的に蓋をしたようなものだ」とも言われています。

理想をいえば、右脳で感じていることをきちんと左脳でも認識してあげる事というのが重要だそうです。
つまり、自分が感じていることを顕在的にも認識する(自覚する)ことです。
そうすることで、はじめて処理が可能になります。

とはいえ、どうすればいいの??って思いますよね。
そこでお勧めなのが、わからなくてもいいから身体で表現してみる事です。何でもいいから書き出すという作業が有効なのもそのためです。
身体を使う事によって、私たちは右脳で感じていることを知ることができるようです。

3. 左脳は常識に縛られているー分離脳症例からー

脳梗塞や手術などによって、右脳と左脳をつなぐ脳梁が障害され、お互いに情報のやり取りができなくなった状態の事を分離脳と言います。右脳で捉えた情報は、脳梁を介して言語野のある左脳に伝わることで顕在意識にのぼるとされています。
そのため、右脳と左脳の連絡がない分離脳では、右脳だけに入った情報は、潜在意識ではわかっていても私たちは認識することができません。

分離脳の男性で行われた実験があります。
この男性、たまたま左脳だけでなく、右脳にも言語能力を持っていました。
その男性に対して、「卒業したら何をしたいですか?」という質問を行います。
男性は「製図工になりたい。そのための勉強もしている」と答えたそうです。

そこで、今度は、右脳にだけ同じ質問をしてみました。どうしたかというと、左視野に入れた刺激は右脳にしか行かないことを利用したのです。
男性には「…したら何をしたいですか」と質問します。そして、左視野に「卒業」という文字を見せました。
そして、右脳が支配している左手で文字ブロックを並べて答えてもらいました。

自分が並べた単語、つまり右脳が出した答えを見て、実験者も本人もとても驚いたそうです。
というのも、そこには「カー・レーサー」という文字があったそうです。

右脳が出した答えが本人も意識していなかった本音なのでしょうか?
だとすると、私たちは無意識に左脳で多くのことを抑制していると思いませんか?

A divided mind: observations of the conscious properties of the separated hemispheres.
LeDoux JE, Wilson DH, Gazzaniga MS. Ann Neurol 2:417-421, 1977
http://people.psych.ucsb.edu/gazzaniga/PDF/A%20divided%20mind.%20Observations%20on%20the%20conscious%20properties%20of%20separated%20hemispheres%20(1977).pdf

4. 左脳はこんなにも右脳のことを分かっていないー分離脳症例からー

左脳がいがに右脳のことを分かっていないかを示す実験があります。
触覚や聴覚、視覚などほとんどの感覚情報は交差性に大脳半球に入ります。例えば、右手の感覚は左の脳にいきます。そして、その例外が嗅覚です。
つまり、左の鼻孔から花の香りをかぐとその情報は左脳に伝わります。

そこで、分離脳の人に右の鼻孔に栓をして左の鼻孔だけでにおいをかいでもらいます。
この場合は、言語野のある左脳に情報が行くため何のにおいであるかがわかり、答えることができます。

でも、逆に右の鼻孔だけでにおいをかいでもらうとそのにおいに気づかないのです。
そのため「なんのにおいもしない」と答えます。

そこで、このにおいが何であるかを仕切りで見えなくしてある所にある模型の中から手探りで選んでもらいます。
すると、右脳が支配する左手で行った場合は、正しいものを選ぶことができたのです。
つまりわからないと思っていただけで、右脳だけはしっかりわかっていたということです。
当然、左脳が支配する右手の場合は、正しいものは選べませんでした。

私たちは自分たちが認識しているよりはるかに多くのものを感じているのかもしれません。

5. 左手が私の邪魔をするーエイリアンハンドー

私たちの右脳と左脳は、私たちが特に意識をしなくても、お互いに密に連絡を取り合っています。そのため、右手と左手が協力し合って、洋服を着たり、料理を作ったり、車を運転したりと日々の生活を送ることができます。これは、実は右脳が左脳の指示に素直に従ってくれているため成り立っています。
なので、いったん連絡が取れなくなると右脳は勝手に行動し始めます。どうも右脳と左脳では、実は考えていることが違うようです。そのため、右脳からの指示を受けている左手が私たちの意思に反して動いてしまうのです。
勝手に動いてしまう事から、『他人の手徴候(エイリアンハンド)』という名前がついています。

例えば、服を着替える時、「じゃあ、今日はこの服を着よう」と思って、右手でその服をとろうとすると、左手が別の服をつかんで離してくれないという事がおきます。
左手は右脳が選んだであろうその服をなかなか離してくれないので、諦めて左手の言う事をきくか、誰か他の人に頼んで左手をその洋服から無理やり話してもらわないといけなくなります。
そしてなぜか右脳が選んでくる洋服…つまり左手がつかんで離さない洋服は、自分が着ようと思っていたものよりもカラフルでハデなことが多いそうです。
おそらく、今日は会議があるからといったTPOは考慮してくれず、そのときの感性に従って選んでいるのでしょう。

他にも、左手はいろいろ邪魔をしてきます。
ズボンをはこうとして右手で引っ張り上げているのに、左手はズボンを下ろそうとするかもしれません。右手が洋服のボタンをかけているのに左手がボタンをはずしていくという事もあります。
洋服を着替えるだけでも一苦労ですよね。

http://www.youtube.com/watch?v=p9Glq9SVSxQ
最初の4分は、分離脳患者に検査を行っているところ。
その後、エイリアンハンドについて。

脳とこころの豆知識 - 認識できるのは潜在意識のごく一部

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