人は社会的な動物です。そのせいか、「人の悩みのほとんどは人間関係からくる」とまでいわれています。
仕事に対する悩みにおいてさえも、そのほとんどは人間関係だとされています。
このことを裏付けるかのようなデータがあります。
ハーバード大学が75年という長い歳月をかけて、人の幸せが何によって決まるのかということをあらゆる要素から調べたGrant studyというものがあります。
1939-1944年にハーバード大学に在籍した268人の男性を対象に20年以上にわたって、戦争、仕事、結婚や離婚、育児、老後といった彼らの人生を追跡調査したものです。
彼らに対し、まず健康診断と心理テストを行うとともに、研究者が彼らの両親と3世代の親戚にインタビューをしました。
その後も毎年、本人には健康、趣味、家族、政治的見解、仕事に関する質問票に答えてもらい、10-15年ごとに対面でのインタビューを行いました。
この研究を30年間指揮していた George Valliant博士は、年をとってからの幸せと健康、そして温かな人間関係の3つに強い相関関係があり、人生において最も重要なのは人間関係であるとしています。
その結果によると、人間関係は仕事での収入や成功にも影響を与えているようです。
活躍の程度には温かな人間関係が築けているかどうかが重要で、IQ、体型、両親の収入や教養には関係がなかったのです。
少なくとも1人の兄弟と良好な関係を築けている人はそうでない人に比べ、5万1千ドル年収が多く、親密な家庭で育った人はそうでない人に比べ年間8万7千ドルも多く稼いでいました。
温かな人間関係を築けていた上位58人の平均年収は、下位31人と比べると15万ドルも違っていたそうです。
人との関わりって、こういうところにまで影響してくるんですね。
脳の取扱説明書 p182