無嗅覚症~匂いを感じない世界~

無嗅覚症~匂いを感じない世界~Harmonista

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嗅覚は、視覚や聴覚と比べると軽視されやすい傾向があります。しまし、実際は、私たちが思っているよりも重要な働きをしています。

無嗅覚症という匂いを感じなくなる病気があります。
それにかかると腐った食べ物の判別やガス漏れ、調理の際に鍋を焦がすリスクや食事の楽しみが減ります。
ここまでは、病気にかかっていなくても何となく想像がつきます。

でも、実際にこの病気にかかった人たちに話を聴くと「匂いがしたくなって一番寂しいのは人の匂いがしない事だ」という意見もあります。

私たちがふだん生活をしている時、なかなか人の匂いのことをそこまで気にしていません。そのため、その寂しさを理解しがたいと思います。
しかし、匂いを失った人の立場からすると、人の匂いが全くしないということは、人と一緒にいても何かが欠けた感じになってしまうらしいのです。

身体が自然に発している匂いは、ひとりひとり特別なものであり、個別の「匂いのサイン」を持っているとも言われています。実際、生後数日もすると、自分の母親の匂いを区別することができるそうです。これは、胎内でも匂いを嗅ぐことができ、羊水を通じて母親の匂いになれるようになってきているからではないかと考えられています。

おもしろいことに、一卵性双生児の場合は、たとえ親であっても二人の匂いを区別することはできないそうです。二卵性双生児の場合では、簡単に識別できることから遺伝的関与が考えられています。ここに強く関わっているのが、MHC (major histocompatibility complex)、主要組織適合性複合体と言われるものです。

自分の兄弟や子供、両親は、自分に近い匂いとなるから、他の人と区別しやすくなるのではないかとも言われています。

そして、無嗅覚症の方にとって、苦しみを深める要因になると言われているのが、匂いを感じられない…という障害のつらさを人に理解されないことだそうです。
確かに、本人が言わなければ、障害があることもわからないですし、日常生活に誰かの助けが必要ということもないでしょう。

臭いのない世界を想像すると味気ない感じはしますが、実際のところは、なった当人にしかわからない辛さなのかもしれません。

脳とこころの豆知識 ― その他 ― 香りの効果

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