色がもたらす効果

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美しい景色を見ているだけで心が現れたり、素晴らしい芸術作品を見て感動したりとなにかを見ているだけで心が動かされることがあります。
これは、私たちが目にした情報が、情動を司る辺縁系へと伝わっているためにおこってきます。これは、単に色が違うだけでもその効果は変わってくるようです。

【目次】
1. 赤いユニフォームで勝率アップ
2. 赤色はテストの成績を下げてしまう
3. 色とホルモンの関係
 ・赤色が好きな人はテストステロンが高い


 1. 赤いユニフォームで勝率アップ

私たちは、知らず知らずいろいろなものの影響を受けています。
何気なく見ている光景でさえ、私たちの感情に影響を与えます。なんと私たちが目にしているものの色が変わるだけで、スポーツの勝敗が変わってしまうという報告をしている人までいます。

もちろん、実力が均衡しているという前提は必要です。
イギリスのダーラム大学のヒル博士らが、公平なルールがあるオリンピック大会で行った調査です。

普通、ボクシングの試合では、赤コーナーには強い選手が入ります。当然、入場する時の声援も違いますので、赤コーナーの勝率が高いというのは、ある意味納得がいきます。
それに対し、公平なルールのあるオリンピックでは、赤・青どちらのサイドになるのかというのは、ランダムに割り当てられ、入場も同時に行われます。

つまり、赤コーナーと青コーナーの勝率は、均衡するはずです。
にも拘らず、赤コーナーの勝率の方が10~20%も高いのです。赤いユニフォームやプロテクターをつけるだけで、勝利に一歩近づくというわけです。

では、どうしてそのような違いができるのでしょうか?
その答えが次の実験にあるかもしれません。

Rochester大学のAndrew Elliot博士らが行った実験です。
表紙だけ色を赤・白・緑に変えたIQテストを用意します。そのテストで「易しい問題」と「難しい問題」を選んでもらいます。
すると表紙が赤色のグループでは、他のグループと比べて「易しい問題」を選ぶ確率が高かったのです。

つまり、赤色を目にすることで士気が奪われるのではないかと推察されるわけです。
ヒル博士は、「赤色には無意識に相手を威嚇し、優位に立ちやすい状況を作る効果があるのではないか」と述べています。
試合の時に頻繁に赤色を目にするのは、対戦相手ですものね。

2. 赤色はテストの成績を下げてしまう

ロチェスター大学のエリオット博士らが2つの実験を行いました。
① IQテストの問題の表紙だけを白・赤・緑と違う色を使う。
② アナグラム試験(文字を並び替えて意味のある単語を作る)の問題用紙の右上端のコーナー部分のマーカーの色を黒・赤・緑と違う色にする。

当然、問題の中身は一緒です。
にもかかわらず、赤色の時だけ点数が平均で20%低下してしまうそうです。
白・緑・黒といった他の色では、そういう違いはなかったようです。

では、なぜ赤色だけ試験の成績が低下したのでしょうか?
カナダのアルバータ大学のシンクレア博士らは、赤色や黄色などの長波長の光は「幸福感」と関連していて、充足感が得られ、学習欲を低下させるからではないかと推察しています。

ちなみに、文章のミス探しや説明書の重要事項の記憶には赤色は効果的らしいですよ。
赤色は心理的に回避傾向を生み、警戒心を高め、青色は積極的で好戦的傾向を促すとされています。

極度な集中力が要求されるケースでは赤色が、創造性が要求されるケースでは青色が効果的というデータもあるようなので、試してみてくださいね。

Color and Psychological Functioning: The Effect of Red on Performance Attainment
http://courseware.eduwest.com/courseware/0111/content/ziyuan/wenxian/01.pdf

3. 色とホルモンの関係

色にはホルモンの分泌を促す効果があるとも言われています。有名なところでは、赤。
なんとなく想像がつく方もいると思いますが、アドレナリンの分泌を促すとされています。
アドレナリンには、覚醒度を上げ、注意・集中力を高め、身体と脳を臨戦態勢にするという効果があります。実際、赤には人の購買意欲をそそったり、モチベーションを上げたりする効果があると言われています。

いっぽう、青はセロトニンの分泌を促すとされています。そのため、集中力が高まり、リラックス効果が生まれます。実際、α波が増えたという報告も見られます。
そのせいでしょうか、イギリス北部のグラスゴーのブキャナン通りで、街灯を青色に変えたところ犯罪件数が年間1万件も減少したそうです。日本の各自治体でも導入を始める所がでてきています。
JR西日本では、踏切での人身事故防止策として導入し、効果が得られているそうです。

そして、ピンク。こちらも興味深いです。
基本的には、赤と同じ生理反応をしめしますが、それ以外に女性ホルモンであるエストロゲンとプログステロンを分泌させると言われています。若返りに効果があるそうです。
ちょっと試してみたくなりますよね。
http://www8.plala.or.jp/irodori_bito/03_03about.html

・赤色が好きな人はテストステロンが高い

赤は、やる気になっている時に気になる色とされ、自己アピールに適し、人をアグレッシブな気持ちにし、本能的なエネルギーが増します。
ビジネスでは、販売色カラーといわれ、この色を入れることによって、売り上げが20%伸びるというデータもあるほどです。

そして、男性ホルモンである“テストステロン”の高い男性ほど青色よりも赤色を好み、赤を攻撃や支配の象徴としてとらえているという報告もあります。

ノース・ダコタ州立大学の研究チームが376名の大学生を対象に行った調査があります。
赤と青とどちらが好きかという質問と性格を調べる質問を行いました。
すると、赤色が好きな人は青色が好きな人に比べ怒りの状態にあり、誰かを傷つける可能性が高かったということです。

まぁ、赤と青だけなので、ちょっと説得力には欠けますが…。
ただ、赤色が好きな人ほどテストステロンが高いということなので、その通りなのかもしれません。

テストステロンの主な働きは、下記のものになります。

■筋肉増大
■タンパク質の同化作用の促進
■体毛増加の作用
■男らしい体型を作ってくれる
■やる気促進
■快楽の増加
■痛みを鈍らせる
■闘争本能促進
■孤独願望が強くなる

そのため、「テストステロンが人を攻撃的、利己的にする」と言われています。
ただこれも、数年前にはそれに反論する論文も出てはいますが…

Michael D. Robinson et. al. Extending Color Psychology to the Personality Realm: Interpersonal Hostility Varies by Red Preferences and Perceptual Biases. Journal of Personality 83(1) 106-116, 2015
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jopy.12087/abstract

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